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時計遍歴の話

腕時計が好き、とnoteの自己紹介欄に書いているのに時計について触れていないのはなんだかバツが悪いので、振り返りも兼ねて、時計の遍歴を書いてみようと思う。需要があるとは思っていない。Xの過去のポストと同じ内容を多く含むので、ナンダヨマタカヨな話です。

①FORTIS Freiger Professional Day-Date

20年くらい前、御徒町の時計店•TSホリウチさんで買った。12万円くらいだったはず。正式名称はフリーガーかパイロットか未だによく分かっていない。箱も保証書もどっかいった。初めての機械式時計。

国内各地と海外を一緒に渡り歩き、辛い時期を一緒に過ごした元祖相棒時計。しばらくこの時計のワンウォッチガイとして生きてきました。2度のOHを経て今でも快調、安心安全さすがETA。

5年前、歩いていたら突然ブレスがバラバラに分解して手首から外れ、本体も地面に落ちそうになった。左手首から落ちていく時計を左の掌で掴めた時に、ブレスが壊れたというのに謎の感動があったw その後ホリウチさんにブレス単体の新品在庫を取り寄せていただいて、傷だらけだったブレスは綺麗なものと交換した。綺麗になったのは嬉しかったが少し寂しくもあった。

購入した時はリューズがプッシュ式だったのが、初めてOHした時、ねじ込み式になって戻ってきた。防水性向上のためにサービスで改良してくれたのだ。これはめちゃくちゃ嬉しかった。

抜群の視認性に軽い着け心地。歴史を共にしてきた1本なので、この個体じゃないといけない。資産として価値はゼロでも俺には特別なのだ。


②Knot Chronograph CC-39SVWH1

結婚した年に奥さんと色違いのペアを購入。バウハウスっぽいデザインが好きです。ノモス買えよとは言わないでくれ、これはこれでいいんすよ。ディープな腕時計好きにはあまり好まれないブランドかもしれないけど、クォーツの軽さとストラップ選びの楽しさの普及にKnotは貢献していると思います。


③Tissot Seastar1000 Japan Limited Edition

時計沼に入水するきっかけになった1本。代官山のティソ ブティックで誕生日に購入。メタルブレス 、ラバーベルト、帆布ストラップを同時に買ったのにラバーベルトの装着感が良すぎて、ここ最近はずっとこのスタイルのままです。

径43mmと数字上はデカくても、実際にはさほど大きく感じさせない。セラミックベゼルはまったく傷つかず、ダイバーズゆえの安心感があります。多少雑に使ってもダメージにならないのはマジありがてえ。秒針の先っちょだけ赤くして日本限定というのはどうなんや?とは思うけどw グレーのサンレイダイヤルが綺麗で気に入っています。日付窓から翌日のカレンダーの数字がチラ見するところだけが唯一の不満点w


④SEIKO Alpinist SARB017

2020年8月にAmazonで購入。入手した時点ではアルピニストの定番カラーのグリーン文字盤だった。が!入手して間もなく、米国限定の青文字盤モデル(HODINKEE専売)SPB089の存在を知り『青文字盤カッケエ!メチャクチャホヒイ!』とアホの子になってワナワナしていたものの、知った時点で既に限定1959本は完売済み。二次市場では買えるもののプレ値で手が届かず悶々としていたところ、某オークションで青文字盤と針とカレンダーの純正パーツが販売されているのを発見してしまい、反射的にそれをポチッた。

ほどなくそれは届いたものの、自力でパーツを換装する知恵も技術も無く、時計とパーツを時計店に持ち込んでお願いしてみたが『なんで交換するの?』と根も葉もない回答で、引き受けてくれるところはなかなか見つからなかった。ネットで見つけた上野にあるカスタマイズショップに持ち込んで、店主のグダグダ話を5時間も我慢して聞き続けて、やっと引き受けてくれることになり、ひと月待って完成。

純正のアルピニストはブラウンの型押しクロコベルトだったが、当時メタルブレス信者だった俺は、アルピニストの社外ブレスといえば定番のタイコノートをポチって使ってみた。だが何故かしっくりこず、ネットを彷徨っていると、Redditという米国の2ちゃんねる的な掲示板で『GINAULTというメーカーのブレスの弓カンがアルピニストにピッタリ合うらしいよ』という怪しい情報を見つけた。さっそくそれをポチって個人輸入。で、つけてみたらマジだピッタリ合う!と感動して、今の↑の写真の見た目になって、俺はやっと満足して完結した。

結果としてそれなりのコストが掛かってしまい、それなら始めからプレ値のオリジナルを買っとけよという声は聞かないようにしています笑 限定モデルの個人による増産は完全純正原理主義の人からすると御法度かもしれないけど、売って利益を得たりはしないので、そっとスルーしといてください。

プロスペックスのXマークは好きでも嫌いでもないけど、このアルピニストのデザインには無い方がいいかなと思っています。搭載ムーブメント6R15は精度イマイチという評価もありますが、機械式時計は動いていてくれればそれでいいやの民である俺はそれも気にならないっす。


⑤SEIKO TYPE II Ref.7546-8350 QHK221

2020年11月、ヤフオクで3万イェンで落札。デッドストックの未使用品で、状態がとても良くて嬉しかったな〜。

1978年製造、36mm。ブレスがとてもよく出来ていて、軽くてサッと着けて外に出たい時によく選択している。絹目仕上げの文字盤がカットガラスの光の反射で濃い色や薄い色に変化するのが本当に楽しい。手首くるくるおじさんになる。インスタでよく売ってくれのDMをもらう1本。


⑥SEIKO SARB005

2021年にヤフオクで激戦の末に落札した1本。
インスタで発見して以来頭から離れず、探しまくった。いろんな時計店のウィッシュリストに登録して、オークションサイトで日々検索して、既にカットガラスの時計を所有されている方にDMで入社方法を訊ねたり、手に入れるまでにかなり努力をした思い出。某オクに出品されたのを見つけて狂喜した。競りはかなり激しかったが何とか落札できて、手元に届いた時は感激した。その後メーカーOHに出したら、裏蓋は錆で交換、ムーブメントは片振れで交換、風防は傷有りで交換という、ブレスとケース以外ほぼ全取っ替えじゃねーか的な大規模改造を施されて戻ってきた。

このカットガラスはサファイアなので傷もつきにくくて、無反射コーティングもあって、綺麗に光を反射してくれる。径38.5mmのサイズと、廉価帯のセイコーには珍しくこのブレスレットの造りがとても良い。こんなにぶっといラグも見たことない笑

この時計に取り憑かれてしまった人たちが特に海外にたくさん居て、オーナーがなかなか手放さないということもあって、2007年の発売当時の定価は6万円弱だったのが今やオークション落札相場は30万イェンにまで高騰している。ハウマッチのDMがめっちゃくる。

この時計の満足度が高すぎて、カットガラスはもうこれでいったんいいやとなりました。


⑦CASIO G-SHOCK GMW-B5000GD-1JF

2021年2月、ヨドバシカメラで購入。

G-SHOCKが1本欲しい→いろいろ見まくる→オリジンカッチョE→全部黒カッチョE、で、これ。反転液晶は昔見にくかった気がするけど今はもう全然そんなことはなくて、とても見やすくてカッコ良い。特にこのモデルはベゼルの縦目のヘアラインがカッコ良い。表、裏蓋、ボタン、ブレス、すべてが黒一色で統一されていて、高級感があった。そんで重かった。

実用性とタフネス、信頼性という意味ではどんな腕時計もG-SHOCKには勝てないのではないか。

甥っ子の成人の記念にプレゼントしたため今はもう手元にない。甥っ子はめちゃくちゃ気に入って普段使いしてくれている様子。俺は同じものを買い直そうか迷っている笑


⑧SEIKO 5 Sports SBSA137

2021年8月、発売日にTicTacで予約購入。
セイコーのウェブサイトでダイヤルカラーなどをユーザーが自由にカスタマイズして、これが良い!と思ったものを登録して、それらの作品の中から投票で1位になったものを実際に発売するというCustom Watch Beatmakerキャンペーンで1位になったのがこれ。約4万8000のカスタマイズモデルが登録されて、それらに対して約1,600万もの投票があった中、約850万の最多投票を獲得した。世界限定2021本のうち国内流通は300本ということで、急いで抑えて手に入れた。当日完売したらしい。

このデザインは言わずと知れた『セイコーポーグ』と呼ばれる、NASAのスカイラブ計画的に参加したウィリアム・ポーグ大佐が私物として宇宙ステーションに持ち込んだモデルが原型になっている。

セイコーミュージアムでオリジナルのポーグをみて雰囲気にビビビが来て以来、俺は状態の良いポーグを探していた。そんななか、ポーグと同じカラーリングの現行モデルが出るとなったらもう我慢できず。

5スポーツのブレスはいかにもここでコストカットしました的なシャリシャリしていたものだったのですぐに外した。その後いろんなベルトを試したがピンとくるものがなく、松下庵で相談した結果、レザーNATOストラップはどうか、と提案されて秒でこれに決定。

松下庵の素晴らしさは追って語りたいのでここではやめとくけど、この組み合わせを凄く気に入ってます。ポップで派手なカラーリングなのにベルトの硬派な雰囲気が全体を引き締めてくれた。

これが発売された年は東京オリンピックだった。イタリアはオリンピック史上最高のメダル数を獲得していた。日本メーカーが作った金メダルのような時計ってことで、イタリアで人気が出たようで、インスタでイタリア人から『俺用に手に入れてくれないか』のDMがめっちゃ来た。


⑨FURLAN MARRI Ref.1011A “Tasti-Tondi”

2021年8月に着弾。
KickStarterでクラウドファンディングローンチをしたファーランマリのファーストモデル。Xでその存在を知った。宣材写真がただならぬ雰囲気で、プロジェクトを応援することに決定。アーリーバードで350ドル、当時のレートで4万イェン未満だったのが今でも信じられない。

外装に全振りした思い切りの良さが魅力。この青針は焼きなんすよ。マジかよ。パテックのRef.1643やヴァシュロンのコルヌドゥによく似た外観で、もちろんそれらの超高級時計とは異なるものの、選ばれた民しか手にすることができないそれらの時計の雰囲気を気軽に楽しみたいという願望を叶えてくれる。

ブランドはこのシリーズで大成功を納め今や本格的な機械式時計を発表するまでになった。応援したい。


⑩STEINHART Ocean One Vintage GMT

2021年8月、公式サイトより個人輸入で購入。
スタインハートはオマージュウォッチメーカーとしては知られた存在で、中華の廉価オマージュなどと比較すると圧倒的に造りが良く、本気で作っているご様子。オマージュとはいえスイスメイドの意地が見えます。

エクII Ref.1655のデザインがめちゃくちゃ好きなのだけれどオリジナルはもうえげつない価格なので、遠い目で口を開けて写真を眺めていた。1655のオマージュは他のメーカーも発売しているが、それらの写真を食い入るように見比べた結果、スタインハートが最も本気のようだと判断して購入。

径43mm、中身はETA2893、ケースはSUS316Lで300m防水。オリジナルにはない堅牢スペックだが、とにかくクッソ重い笑 あとはロゴが好きになれない。良い時計なのだけれど登板機会が減っている。ドナドナしようか思案中…。ちなみに購入価格は8万イェンくらいでした。


⑪Hamilton PSR

2022年11月、ヨッメからサプライズプレゼントで受け取った。

LEDウォッチが欲しくて探していたらパルサーの復刻版としてPSRがリリースされた。赤LEDのゴールドケースモデルやマトリックスVerのオールブラックモデルを見てハァハァしていたところこのグリーンLEDが出てきてハゥハゥッッ!!!となり、ホヒィホヒィと騒いでいたある日、宅配便が届いて???となってヨッメを見たらニヤニヤしていたので瞬時に察した。

これは良い時計ですよ。特にブレスが素晴らしい。何度もXでそう言ってるからわ〜ったよってなってるかもですけど。しなやかでマジで良いんよ。

機能的には時刻表示、ボタン押すと秒が表示されるだけ。日付も曜日も分からない、ストップウォッチ機能も何もない笑 時間はボタン押さないとLED光らないので見にくい。だがそれがいい。この外装がすべて。


⑫Aquastar DEEPSTAR II Glay Dial

2021年11月にポチる→2022年7月に着弾。
たぶんHODINKEEだったと思うけど写真を見た瞬間に一目惚れ。公式サイトで300本の限定発売と知り、実物を触ることもなく即オーダー。枠は3日で売り切れたそうです。受注生産で、発注してから到着まで7ヶ月待った。

待ってる間にブランドの歴史をいろいろと調べていて、DOXAのリック・マレイ氏がアクアスターの経営に参画したと知った。なんかドクサにも似てる雰囲気ありますよね。

他にはまず見ないデザインの独自性と、プロのダイバー向けのブランドの哲学が本当に素敵。ライスブレスは独特な形状(米粒の真ん中に稜線がある)で反射光が美しい。シートベルト素材のNATOベルトも選べる。ラグ幅19mm。径38.75mm、厚さ12mmなので使い勝手は抜群。

余談ですがリックマレイ氏はトロピックラバーベルトの開発者でもあります。トロピックも合いそうだよね。


⑬Cartier Tank solo SM

2022年3月、中野のジャックロードさんにて購入。
それまではまったく気にも留めていなかったのに、突然レクタンギュラーが気になる病気にかかった。レベルソかタンクか、という選択になったわけだが、デザインと歴史やエピソードを知れば知るほどタンクに惹かれた。

このタンクは既に廃番のタンクソロというモデルで、ケースの上面が風防と水平の形状になっている。そのおかげか現行のタンクマストと比較するとシャープな印象で、個人的にはこちらの方が好み。サイズはもっとも小ぶりなSMを選択。先日松下庵でアビエ式バネ棒のストラップを2本作っていただいて、やっとヨッメとシェアして使えるようになった。


⑭CASIO G-SHOCK GA-B001SF-7AJF

2023年8月にヨドバシカメラで購入。
リスペクトしているXのフォロワーさんのポストで存在を知った。甥にフルメタルG-SHOCKをプレゼントして手持ちにG-SHOCKが無くなり、夏用に白い時計が欲しいというのもあって購入した。

G-SHOCKはオリジンやカシオークといった定番デザインも素晴らしいのだけれど、ベルトとケースが一体構造になったこの近未来的なデザインは目に新鮮で惹かれた。白いベルトに黒文字盤はマジでカッコいい組合せだと思う。

イッヌの散歩時に大活躍してくれています。


⑮PANERAI Luminor Base pam00219

2023年4月、銀座のラシンさんで購入。
仲良くさせていただいているXのフォロワーさんのツイートでパネライを気にし始めていた。タンクで小径の良さを知ったので、デカ厚はどうなん?という興味があった。手巻きムーブは未経験だったのでそれにも興味があった。

レフティ・二針・ノンデイト・サンドウィッチダイヤル・手巻き・魔改造ユニタス・6振動・裏スケ・スワンネック、本当に大好き。

そしてこの時計の魅力を最大限に引き出してくれる松下庵のM74 Custom Order Strap。今はバックプロテクターを装着して、完璧なルックスと装着感になりました。これから先どんなに金に困ってもこれは売りません。パネライのリセールはあま(自重w)一生使います。この時計のおかげで、欲しい時計を盲目的に蒐集することから脱した気がする。その代わりに松下庵沼という新たな沼に入ってしまった気もする笑

サントスを買おうと思ってお店に入ったらこれが目に留まって、揺れに揺れて鞍替えした1本。あの時の選択は正解だったと思っている。


⑯松下庵 M74 Vintage California

2024年7月4日、松下庵さんの公式サイトで購入。
タンクのベルトを相談しに松下庵にお邪魔した際、発売前のこの時計を初めて見せてもらった。以来、頭から離れなくなってしまった。カリフォルニアダイヤルに惹かれて、パネライ?ロレックス?いろんな時計を物色していてウーンとなっていたタイミングもドンピシャだった。

ワイヤーラグにクッションケースはラジオミールのオマージュとも言えるけど、この時計を単なるオマージュとは言いたくない。ダイヤル、ケース、ムーブメントに施されたエイジングは限りなくリアルさを追求していて、世にある多くの時計とはだいぶ異なる、極めて稀な攻めた時計なことは触ればすぐに分かる。そこに松下庵のベンズレザーストラップが付属。このレザー1枚革のストラップは見た目がめちゃくちゃカッコいい。試着して47mmも何とか扱えそうと分かり、買うことに決定。

10本だけ作られた個体はそれぞれに違った表情があったなか、最も欲しかった個体を手に入れられて喜んでいる。ダメージが入ったヴィンテージの復刻版ジーンズを買ったような気持ちになっている。この顔で防水バリバリ効いていて普段使いできるというのが嬉しすぎる。


Xで絡んでいただいている皆様は既にお分かりのことと思うけど、俺は100万イェン以上の時計は買ったことがない。(買えないw)ので、造りがどう、仕上げがどう、というのは今でもあまりよく分かっていない。ただ、普段から凄い時計の写真をよく見せていただいていることで、ちょっとは分かるようになってきた。前にオフ会で触らせていただいた高級機にはハッとさせられた。たけぇ時計すげぇ!と分かりやすく驚いた笑

ムーブメントのことについてもよく分かっていないのに、動いている様子を見るのが好き。ユニタスしか経験ないけど。手巻きの裏スケなら最高だが、自動巻きのありがたみもよく分かる。クォーツの手軽さも好き。つまり節操がない。

自分の好みを今までよく分からなかったけれど、こうして手持ちの時計を見直してみて、たぶん俺はクラシックな顔の時計が好きなのだろうとやっと自覚した。

次はゴールドケースの時計が欲しいと思っている。金無垢は俺には果てしなく遠いところにいるので、現実的にはゴールドPVDのモデルになるだろう。BALTICの金x黒文字盤、あれかっこいいよなあー。

アガりの時計についてもいろいろ考えるが、サントス、ストリームライナー、レッセンスを手に入れられたら凄く嬉しいんだろうなと思う。

同時に、これ以上時計を増やすのはどうなのかなと思っている。ケースに入れられて使われない時計というのは悲しい。腕時計は使われてこそ生きると思うから、無闇に欲しいというだけで手に入れるのはもういったんおしまいにするのが良いんだろうな。

おしまい。

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