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卒業。
なにかを、ちゃんと卒業したのなんて小学生以来かもしれない。中学はおろか、高校の卒業式の記憶はない。あんまりいい思い出がなかったのかな、忘れちゃった。

昨日はそんなわたしの、橙幻郷のメイドとしての卒業式でした。生誕に続いて雨女っぷりを発揮してしまったね(今日すごい晴れてるじゃん…)。
こんなご時世でお店も休業している為、こちらも同じく、生誕に続いて配信での卒業式になってしまってしまいました。寂しいね。配信見てくれた皆さん、ありがとうございました。
いわゆる"卒業式"ではなくパーティーみたいな明るいものがいいなあと思っていたので、理想の配信になった気がします。メリハリのあるカチッとしたのも考えたけど、しんみりしているよりわたしぽくていいかなと。来てくれたメイドさんも楽しそうにしてくれていて、嬉しかった。終始穏やかだった。お給仕したかったなあ。

とはいえなんだかんだで緊張していたんだと思う。最後あまりにもうまく話せなくて、伝えたいことがたくさんあって、でもいろんなこと考えながら言葉を選んでいたら何を言っているか分からなくなってしまった…。ので文章にしました。少し長いけど読んでくれたら嬉しいです。


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去年の春頃、会社を辞めた。簡潔に言えば、仕事が辛かったうえに一緒に組んでいた気の合う仲のいい先輩が突然辞めることになったから。最初はびっくりしたけど、この人が居なくなった後もここにいたら、私はきっと壊れてしまうだろうなあとぼんやり考えていたらいつのまにか上司に退職のメールを送っていた。
季節が過ぎていくよりも早く職場を後にした私は、新しい仕事を探しながら、ふと地元に一つしかないメイド喫茶のことを思い出していた。なんにもない田舎の、繁華街からちょっと離れたところにあるメイド喫茶。

その当時高校生のわたしは良く言えばアクティブ、悪く言えば世間知らずの自由奔放で、ある日キャリーバッグ1つ引いて親に黙ってこっそり家を出て、ちっちゃくて狭いキャラメルの箱みたいな夜行バスに乗って、東京まで行ったことがある(よく捜索願出されなかったな)。
18時間詰め込まれた先、その日初めて見た秋葉原はずっと憧れていた画面の向こうの世界だった。

その時からかもしれない。
メイドさんという職業はどこか神聖なものだと思っている。本格的なメイドというより、この秋葉原やメイド喫茶におけるメイドとご主人様の関係性が好きなんだと思う。やっていることは非日常で、でもそれが日常で。あまりにも繊細で、甘くて、どこか不安定な危ういそういう関係が好きだった。誰かの夢みたいで。

そんな存在に自分がなれるわけないと思っていたけれど、冒頭でも言ったように、仕事を辞めた私は何か面白くて新しいことがしたかった。死ぬまでにやってみたいと思っていたけど出来ていないこと。その中の一つがメイドになることだった。

そんな思いつきと勢いだけで橙幻郷に応募して、メイドになってちょうど1年。時間が過ぎるのはあっという間だなと思うし、まだ1年なんだなという感覚。
現実は楽しいことばかりではなかったし、自信のなさから他人と比べて凹んだり、理想との違いに思い悩んだこともあった。元からわたし自身、自己肯定力が強くない。すごく弱いわけでもないけれど、それは"かわいいの呪い"みたいなもので自分に言い聞かせていないと心が折れてしまうからという、とても情けのない呪い。そうしていないと生きていけない。そんな人間が誰かに好いてもらえるのか、常に不安だった。
それでも頑張れたのは、そんなわたしの存在に気づいてくれた他の誰でもないあなたのおかげです。本当に、見つけてくれてありがとう。


お給仕が好き。誰かのためにご飯やお菓子を作ること、それを食べているのを見ることが好き。いろんな話を聞かせてくれるのが好き。私の話を聞いてくれている時の表情を見るのが好き。推しを見ている時の顔を観察するのが好き。チェキを大事にお財布に入れたりケースに入れてくれてるのを見るのが好き。おかえりなさいといってらっしゃいをするのが好き。たくさんの好きをくれたあなたが好き。

短い間だったけれど、すごく特別な時間でした。
あなたが、なんでもないただのわたしを、"餅月つかさ"という人間を意味のある存在にしてくれました。
これからもっと仲良くなりたかったなとか、最後のお別れすら出来なかったなとか、あの話したかったなとか、もう一回会いたかったなとか、思い残すことは5億個くらいあるし当然寂しいけれど、橙幻郷に入ったことも橙幻郷を卒業することにも後悔はありません。
わたし推しじゃなくても、どんな関係であれ、みんなの記憶のどこかにいられたら嬉しいです。わたしはきっとこの1年をいつまでも忘れないし、1度でも好きだと言ってくれた人のことは何度も思い出すと思う。(怖いな)


長々とお別れのような言葉を書いたけれど、橙幻郷卒業はわたしの一区切りです。まだまだ楽しいことしたいし、やりたいことも、会いたい人もいる。これからわたしはわたしの夢を見ます。一緒に見てくれたら、すごく嬉しいな。


会いたいとか、支えてくれたとか、いつもありがとうとか、そんなのわたしだって思ってるよ。わたしにとってあなたはいつまでもかけがえのないご主人様です。
出会ってくれてありがとう。


また会える日まで。
どうか、健やかにお過ごしください。

今までありがとう。
これからも、よろしくね。


2020.05.16 餅月つかさ


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これは私のおやつ代