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Creative Confidence & PLAYFUL Network

クリエイティブとは何か?

イノベーションを起こして新たなビジネスを立ち上げたり、iPhoneのような世界中の誰もが欲しがる商品を開発して、世の中を変えていきたいと誰もが考えているのではないでしょうか。

一方で、画期的なアイデアを思いつくことができなかったり、商品・サービスを市場に展開しても成功することができなかったときに、「アイデアを考える才能が自分にはない…そもそも自分はクリエイティブでない…」と落ち込んで自信を失ってしまうケースも見受けられます。 

そこで本記事では、有名なデザインコンサルファームIDEOのトム・ケリー&デイヴィッド・ケリーの著書「クリエイティブ・マインドセット」を題材にして、自分がクリエイティブであると信じる力、つまり「Creative Confidence」を身に付けるのに必要な個人の考え方や環境設定について解説します。

図2

人はみんなクリエイティブだ!

具体的な説明に入る前に、「Creative Confidence」を身に付け、MRIの画期的な子供向けの「体験」を開発したゼネラルエレクトリック社(GE)の社員の有名なエピソードをご紹介します。

彼はGE社のGEヘルスケアでMRIなどの医療用画像診断システムの設計と開発の部門を率いていました。2年半がかりで取り組んできた新しいMRI装置の開発プロジェクトを終え、病院の検査室に設置する様子を見学していたある日のことです。

図3

入院中の幼い女の子が不安げな表情を浮かべて、検査室に入ってきました。
そして女の子はMRI検査をひどく怖がりパニック状態になってしまったため、麻酔専門医によって鎮静されられてMRIの中に入っていきました。

この光景は彼にとってとても衝撃的でした。なぜなら病気の発見や進行具合の確認など困っている人のためになると考えて作り上げたMRIが、子供にとって不安と恐怖を与える機械になっていたからです。そしてMRIが子供を怖がらせてしまっているこの状況を改善する決意を彼はしました。

スタンフォード大学のd.schoolに行き、ワークショップを通じて人間中心のデザインを学び、消費者ニーズやプロトタイプの重要性を理解したことで、自分自身の「Creative Confidence」に火がついたのです。GEヘルスケアに戻った彼は、研究に必要な人材、予算、サポートを集めるのは難しいと感じ、MRIの「体験」を設計し直すことに目をむけました。

図4

そしてMRIをどのように体験しているのか子供の立場に立って考えることで、図のようなMRIの装置一式を子供の冒険物語へと変えたのです。

MRIスキャナー内部の複雑な技術には一切手を加えず、MRIスキャナーの外側にカラフルなイラストを施しました。そして床、天井、壁、その他の医療機器も、冒険しているかのような気分を味わえるイラストにしたのです。その結果、MRIのスキャンを受けたばかりの幼い子供が母親に向かって、「明日もこれに乗れるの?」と聞くようになりました。

図5

心掛けたい8つの方法

「Creative Confidence」を育むには、日常生活でインスピレーションに遭遇する機会を増やし、個人でクリエイティブな力を伸ばすことが必要です。以下の8つの方法を実践して、クリエイティブになりましょう。

図6

①クリエイティブになると決意する

クリエイティブになるための第一歩は、クリエイティブになりたいと決意することが求められます。そして、一から何かを生む出さなくても、唯一無二の創造者にならなくても、自分にできる何かをアイデアに加え、創造的な貢献をすることは、クリエイティブな行動と言えるのです。

②旅行者のように考える

平凡なものでも見慣れたものでも構わないので、外国を訪れる旅行者のように、周囲のものを新しい視点で見てみましょう。ただじっとしていてはいけません。新しいアイデアや体験に身をさらしましょう。そしてインスピレーションという点では、「量」も大事です。シリコンバレーのベンチャーキャピタリストが、ビジネスの手腕に長け、成功している一つの理由は、普通の人よりもたくさんアイデアを見ているからです。

③「リラックスした注意」を払う

ひらめきは、何か作業に没頭しているときではなく、精神がリラックスしているときに訪れやすいです。精神がリラックスしていると、一見すると無関係なアイデア同士に新しい接点があることに気づきやすくなります。目の前の問題に行き詰まったら、20分ほど思考回路をオフにして、しばらくボーっとしてみましょう。突然、落雷のように解決策を閃くかもしれません。

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④エンドユーザーに共感する

商品・サービスの受け手である消費者のニーズや状況を深く理解することで、イノベーティブなアイデアを思いつきやすくなります。共感は自分自身のアイデアやアプローチを際立たせる貴重な洞察を手に入れるための入り口なのです。

⑤現場に行って観察する

人類学者になったつもりで他人を観察すれば、目の前に潜んでいる新しいチャンスに気付くかもしれません。顧客、自分自身、商品・サービスについて、知っていると思い込んでいる物事にだまされてはいけません。周囲を観察し、世界観を改める機会を積極的に求めるために、会議室の外へ飛び出しましょう。

⑥「なぜ」で始まる質問をする

「なぜ」を繰り返すことで、表面的で些細な点から、問題の核心へと迫ることができます。例えば、「なぜ時代遅れの黒電話を自宅で使っているのか?」と黒電話を自宅で使っている人に訪ねれば、実用性よりも心理と結びついた理由を教えてくれるかもしれません。

⑦問題の枠組みを捉え直す

疑問の枠組みを捉え直すことが、絶妙な解決策を生み出す第一歩になることがあります。別の視点から出発すれば、問題の本質にたどりつくきっかけになるのです。適切な疑問の解決に力を注ぐかどうかで、漸進的な改良につながるのか、画期的なイノベーションが生まれるのか、分岐点になるのです。

⑧計画するより行動しよう

名案だけでも緻密な計画だけでも不十分です。行動を起こし、素早いイノベーション・サイクルを開始し、なるべく早く実践から気づきを学ぶことが大事です。すぐに「最高」の成果を出すのは難しく、すばやく改良を続けていかなくてはならないのです。

図8

失敗に対して寛容になる

天才的なイノベーターも、「Creative Confidence」を初めて獲得した人も、自分や周囲の人々の間違いに寛容になれば、もっと良いアイデアをもっと早く思いつけるようになります。失敗に対して寛容なチームを作るために必要な条件をお伝えします。

①自分の失敗を認める文化

失敗から気づきを得るには、失敗したことに責任を持つ必要があります。何がまずかったのか、次はどこをもっとうまくやるべきなのか、突き止めなければいけません。そして間違いを認めることは、前に進むために大事なことなのです。企業の隠蔽、正当化などの落とし穴を避けることができ、また素直さ、誠実さ、謙遜さを通じて、自分自身のブランドを高めることもできます。

②人と比べるのをやめる

他人の成功に追いつくことばかり考えていては、創造的な活動に付きものであるリスクを冒し、新たな道を開拓することができません。私たちは自分の価値が左右されないときには、能力や才能をもっと大胆に発揮することができ、リスクを厭わなくなるのです。

③小さな勇気を広める

周囲に前向きな変化を生み出せるという自信と行動を起こす勇気をチームのメンバーが持つことは最も大事なことです。創造性を発揮するのに、才能や技術など結局のところあまり関係なく、自分が持っている才能と技術で何かができると信じることが大切なのです。そして「やればできる」と勇気を持って振舞うと、失敗しても前向きに取り組むことのできる組織が誕生するのです。

図9

新たな挑戦・遊び心を!

あらゆるすべて人が「Creative Confidence」を持って働けることを目指し、ハーバード大学教育大学院で学習環境デザインを学ばれた同志社女子大学の上田信行特任教授と「PLAYFUL Network」を立ち上げました。

「Creative Confidence」を身に付け、イノベーションを実現していくには、ただ真面目に働くのではなく、「PLAYFUL=遊び心」が必要と考えています。

図10

2019年10月に開催したイベントでは、オフィス空間や働く場所に「PLAYFUL」な要素をどのように取り入れると、イノベーションに効果的な環境設定ができるのか議論を行いました。

また2020年1月に開催したイベントでは、Remote Workやテレワークといった働き方を「PLAYFUL」にしたWorkation(Work+Vacationの造語)というリゾート地などでリラックスしながら仕事をする新しい働き方について議論を交わしました。

「PLAYFUL Network」はまだまだ発展段階ですが、ネットワークの参加人数も徐々に増え、今後も2ヶ月に1回程度の間隔でイベントを開催していく予定です。もし「PLAYFUL Network」にご興味ございましたらお気軽にご連絡ください。

4月17日(金)イベントの案内

お忙しい中、最後までお読み頂きありがとうございました。最後に「PLAYFUL Network」イベントについてのご案内です。

直近にはなりますが4月17日(金)にオンラインイベントを開催します。テーマは「Don’t Worry, Be Lazy 〜より少ない努力でより多くの成果を!〜」。ゲストに異文化コミュニケーションのエキスパートであるロッシェル・カップさんをお招きします。

参加者の皆さんの今の状況や体験談、学習環境デザインの第一人者である上田信行先生のアイデアも交えながら、共に学び合う機会にしたいと思います。ロッシェルさんが今、日本で働く私たちに本当に伝えたいメッセージとは…? 皆さまのご参加をお待ちしております!

日時:2020年4月17日(金)17:00~19:00

株式会社mctについて

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mctは、世界が認める最新の手法、人々に感動を与える創造力、そして障害を乗り越え、実行するチームづくりを通じて人間中心イノベーションのお手伝いをしています。

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