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メタファーを通じて顧客に価値を伝える

我々の世界には重力が存在し、どれだけテクノロジーが進化しようとこの法則から逃れている人は存在しません。そのため「上」に行くことは「下」に行くことよりも難しい認識があり、「上」という概念には単純な高度だけでなく「成果」や「卓越さ」という意味を重ねて考えています。

そのため、もしあなたが同僚から「私は上を目指す」と言われれば、あなたは「努力する・挑戦する」ことを喩えて表現していると容易に理解し、「頑張ってね」と応援することができます。このように何かに喩える表現をメタファーと言います。

このメタファーをうまく活用し 「要は●●のようなものです」と何かに喩えて説明することができると、コミュニケーションの質を高めることができます。特にクラウドやDXといった、誰かに説明するのが難解な商材には有効です。

今回は、このメタファーを用いてユーザの深層心理を理解し、コミュニケーションを改善した事例について紹介していきたいと思います。

P&G「ファブリーズ」

図1

P&G社は「新しい消臭スプレーをどのように商品展開するか」という課題に際し、専業主婦が抱く消臭にまつわる深層心理についてメタファーを用いて探索しました。すると、消臭は「匂いをなくす」だけでなく、「よき母」「責任者」というイメージと深く密接に結びついていました。そこで、その気持ちを尊重した形で商品展開を行ったところ、想定していた2倍の売り上げになりました。

フリトレー社「チートス」

図2

フリトレー社は同社のスナック菓子「チートス」を時代に合わせてリブランディングする際に、チートスにまつわる消費者心理をメタファーを通じて探索しました。すると、チートスには「遊び心・いたずら心によって社会的な責任やツラさを忘れさせてくれる存在」という側面があることが分かりました。そこで、そのイメージを広告に展開したところ、10%強の売り上げ増となりました。

CISCO

図3

IT企業であるCICSO社は顧客のロイヤルティを高めるために、同社ブランドについてメタファーを通じた調査を行いました。すると、CISCOのブランドには「父性」という人物像を中心に「ミステリアス」「賢者」というイメージと結びついていることが明らかになりました。それらを踏まえて展開を図ったところ、ブランドイメージが向上、株価も35%アップという結果になりました。

Michelin

図4

タイヤメーカーのミシュラン社はインタビューを通じて、顧客がタイヤを「防護服」や「セーフティネット」といった、自分を守ってくれる「容れ物(Container)」に喩えていることに気づき、タイヤを「ノアの方舟」に見立てたCMを作りました。タイヤの安全性能を、ノアの方舟(=大洪水から中の動物を守ったと旧約聖書で語られる、安全の象徴)の「メタファー」で表現し、顧客の無意識に訴えたわけです。他のCMでもタイヤ(ミシュラン)に守られている赤ちゃんを演出しています。

図5

このように「メタファー」をコミュニケーションに応用するアプローチはクラウドやDXといった価値を表現しにくい商材であっても非常に有用です。なぜなら、クラウドやDXを適切に表現するメタファーを見つけることができれば、「要は●●のようなものである」とくどくどしい説明をショートカットして一気に本質に迫ることができるからです。

IT・クラウドサービスの魅力を例えると?

図6

過去に「クラウドの魅力」についてメタファーを用いた調査をしたことがありますが、そのとき象徴的だった答えは「ミニマリストの部屋」でした。

室内はすっきりしていて、必要なものだけが用意されている、顔を上げれば必要なものが見つかる、といったイメージです。そんな答えを聞くと、複雑な機能が小さな文字でびっしり書かれているパンフレットを見せるわけにはいきませんよね。

あなたが扱っている商材の価値を何かに喩えるとどのようなものですか?その問いに答えるだけで新たな気づきに出会えるかもしれません。

お忙しい中、最後までお読み頂きありがとうございました。
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