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the most innovative bass player

ディズニープラスでMcCartney321が公開されました、ね。

ダイジェストにも使われているこの作品のベストシーンの一つ、リックルービンがジョンレノンの言葉を読み上げるシーンが好きすぎるので、紐解いてみます。

ダイジェストで1:50辺りから始まるこのシーンは、本編第5部のラストに挿入されてます。

本編で読み上げられた全文はこんな感じ。

「ポールは屈指の革新的なベーシスト。現状の半分はビートルズ時代からの盗用だ。自分のベースは語らないが、偉大なミュージシャンだ。」

この言葉を初めて聞いたポールは「僕が書いた?」とおどけてみせますが、ジョンの言葉と知ると、ジョン自身にぶつけたかったかのように「ジョニーめ」と呟き、「素晴らしい」「僕は初耳だ、でも人に言ったのはうれしい。驚きだ」と顔を綻ばせていました。

ポールの言葉をもう少し直訳すると、「僕自身に言うことはなかったけど、誰かに話してくれたのは嬉しい」と。じゃあジョンはいつだれにこんな話をしたのか?答えは、1980年9月にプレイボーイ誌用に行われた、デイビッド・シェフとのインタビューの中で出てきた発言です。前後も載せるとこんな感じ。

PLAYBOY: What about Ringo’s drumming?

 LENNON: Ringo’s a damn good drummer. He was always a good drummer. He’s not technically good, but I think Ringo’s drumming is underrated the same way as Paul’s bass playing is underrated. Paul was one of the most innovative bass players that ever played bass, and half the stuff that’s going on now is directly ripped off from his Beatles period. He was coy about his bass playing. He’s an egomaniac about everything else, but his bass playing he was always a bit coy about. He is a great musician who plays the bass like few other people could play it. If you compare his bass playing with the Rolling Stones’ bass playing and you compare Ringo’s drumming with Charlie Watts’s drumming, they are equal to them, if not better. I always objected to the fact that because Charlie came on a little more “arty” than Ringo, and knew jazz and did cartoons, that he got credit. I think that Charlie’s a damn good drummer and the other guy’s a good bass player. But I think Paul and Ringo stand up anywhere with any of the rock musicians. Not technically great. None of us were technical musicians. None of us could read music. None of us can write it. But as pure musicians, as inspired humans to make noise, they’re as good as anybody!

ざっくりいうと、「リンゴのドラム」についての質問に対し、「リンゴのドラムも、ポールのベースも評価が低すぎる」という文脈で、ポールのベースをベタ褒めしだす流れ。

「リンゴのドラムはポールのベースと同じくらい評価が低すぎると思うよ。ポールはベースプレイヤーの中で最も革新的なプレイヤーの一人で、今の時代のベースの半分は彼のビートルズ時代の演奏を直にパクってる。あいつはベースに関しては語らないんだよ。他の全てのことにはエゴマニアックなのに、自分のベースに関してはいつも寡黙だ。彼はほとんどの人が真似できないようなベースを弾く、素晴らしいミュージシャンだ。」

リックが「他の全てのことにはエゴマニアックなのに」という一節を抜いてくれたおかげで、本編では素晴らしい流れになってます。

それにしても、ビートルズの解散から10年が経過している1980年に、「半分はビートルズ時代のパクリ」って言ってるのは、相当な褒め言葉。

1980年のジョンは、「ポールのカミングアップに刺激された」と言ったり、「ポールとは、いい時も悪い時もあったし、ケンカもしたけど、すべてやり尽くしたら、僕は彼のためなら何でもするし、彼も僕のために何でもすると思うよ」と言うくらい、ポールとの関係を客観的に振り返れるようになっていたので、改めてその先があったならなあと思ってしまいました。

ちなみにリックの抜粋は、ググっても出てこなかったのでおそらくジョンのインタビューから自分で拾った発言ですが、一番頭の部分は2018年にジョンのSNSアカウントがポールのバースデイメッセージに使ってました。


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