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Get Back エクステンデッドバージョンの展望

Revolver特別版のリリースニュースが気になる今日この頃だけど、その前にまとめておきたかった、Get Back エクステンデッドバージョンの話。

Get Backの監督ピータージャクソンは、作品公開前・後とも多くのプロモーション活動を行ってくれており、大手メディアからビートルマニア向コアメディアまでさまざまな場所で、契約をすり抜けながら(?)多くの証言を残してくれている。
その中で繰り返し語られているのが「エクステンデッドバージョン」の存在だ。

❶制作経緯

もともと、ビートルズ初期中期のツアームービー「Eight Days A Week」の続編として検討されていたこの作品は、2時間半の映画館公開作品になる予定だった。

しかし2020年9月の公開前に、COVIDが世界中で大流行。映画館は一時的な閉鎖などを迫られ、公開予定映画は続々と延期となった。Get Backもその例外にもれず、2021年9月への公開延期がアナウンスされた。

一方制作側はというと、約60時間に及ぶ映像と、分離して存在する150時間の音源をという膨大な資料を、いずれもデジタル技術でブラシュアップしながら、繋げるという作業に終始した。
1969年1月のセッションとルーフトップライブによって構成された膨大な資料を、約18時間のラフな作品にまとめたとピーターは語っている。

2020年末に、COVIDが蔓延し映画が延期となったファンたちを元気づけようと公開されたショートムービー。この時点ではまだ「映画館上映」予定とされている。

時間軸は明確ではないがおそらく制作、公開環境の両面に配慮し、ディズニー・アップル・ピーターはGet Backの公開方法を映画館公開からストリーミング配信に切り替えることを決定。2021年6月、9月の映画公開は中止され、11月にディズニー+で配信されることが発表された。

上記ショートムービーに日本語訳が付けられ、配信の先行特別映像として公開。

そして、10月に公開された予告映像では配信作品が、1月の出来事を時系列で追う作品になることが伺える。


この時点で作品は配信3日間で各2時間の全長6時間とうたわれていたが、実際に11月に公開された作品は各パート2時間20分〜2時間50分に延長され、全長約8時間の超大作となった。

尚、配信に先立って100分の短縮バーションがプレミアム試写会で上映された。また配信開始後の、翌2022年1・2月には、IMAX劇場限定でルーフトップライブをメインとした65分の映画が映画館で公開された。

IMAX公開バージョンは、配信から若干の修正が施されているものの、基本的には配信版の抜粋。ルーフトップライブの場面は3分割画面になるなど、当初から映画館のような大画面での公開を想定して作られているように感じられる。


❷エクステンデッドバージョンの存在と展望

ピータージャクソンはロードオブザリング同様、エクステンデッドバージョンの公開が当然と思っていた節がある。映画ロードオブザリングは約3時間(!)の3部作を映画館で公開後、それぞれ30〜50分の未公開シーンを加えたDVDをリリースしている。公開当時1年毎のリリースだったにもかかわらず、通常盤とエクステンデッドバージョンのDVDを3部揃えると、さらに特別映像やグッズが貰える企画があって、ファンたちは盲目に全て揃えた。私も大好きな作品だったので、全部揃えた(笑)
さらにコスプレイヤーや撮影地ニュージーランドを訪れる愛好家が後をたたず、イギリス著者の原作とは全く関係なく、ピーターの地元で撮影ゆかりの地ニュージーランドに博物館が建てられるなど大きなムーブメントを作り出した。

ゲットバックの監督を務める前からのビートルズファン、というかゲットバックセッションのナグラ音源ブートレッグを個人収集するほどのビートルマニアなピータージャクソンは、ロードオブザリングファンよりも歴史が長く世界中に存在するビートルマニアの存在を認識していたに違いないし、エクステンデッドバージョンの需要・市場を理解しているはずだ。通常配信で各2時間の3部作を公開後、マニア向けに各1.5〜2時間を追加したディスク作品をリリースするなんてことを考えていたんじゃないか。

が、配信作品公開前にディズニーにエクステンデッドバージョンをリリースする意向がないことがわかった。そこで再度お蔵入りとなってはもったいなすぎる部分を急遽配信作品に押し込んだ。これが公開作品が6時間から8時間に急遽変更された背景だ、とピーターは語っている。この延長についてはディズニーから了承を取らずに行ったが、特に突っ込まれもせずにそのまま公開されたと明かした。
この背景を踏まえ、ビートルマニア向けポッドキャストインタビューでは、ファンからエクステンデッドバージョンの公開をぜひプッシュしてほしいとっている。


インタビュー公開後、ファンによるエクステンデッドバージョンリリースの嘆願署名集めも行われたが、結局リリースのアナウンスはない。それどころかピーターは直近のインタビューで、アップルがエクステンデッドバージョンの市場がないと考えていると語っている。

最後の2分くらいにエクステンデッドのネタが出てくる

ブートレッガーたちと長年戦い、インターポールまで使ってデットバックセッション音源を取り戻しているアップルが、その市場の存在を否定することなんてあるんだろうか?ポールのソロ作品は明らかにマニア・収集家狙いのリリースをしているのに、ビートルズ作品の方がパイが少ないと考えることなんてあるんだろうか?もしアップルがストップをかけているんだとしたら、リボルバー特別版との重複リリースを避けているのかもしれない。

ピーター自身は、配信されている作品以外に、5・6時間の公開可能なフテージがあると語っている。現代の技術で映像も音声もブラシュアップされたこれらの資料が、またアップル関係者にしか手の届かない存在に戻ってしまうのはあまりにももったいない。当時一部始終を撮影されていた本人たちのストレスはさておき(笑)、ぜひぜひ公開を待ち望みたいところだ。

ピーターがんばれっと言わず、ファンからも、アップル・ディズニーにことある毎に呼びかけていきましょう✊


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