浣腸は定期的にしてもいいですか?
地域医療ジャーナル 2021年8月号 vol.7(8)
記者:bycomet
医師/編集長
今回は、自宅で長期臥床状態にある高齢者について。
下剤で効果がみられない頑固な慢性便秘に対して、自宅で定期的な浣腸を行う指示を訪問看護師へ依頼することがしばしばあります。
そんな対応をしていた、ある高齢女性についての話が発端です。
浣腸を繰り返すと効果が弱くなりますか?
先日、訪問で下剤や浣腸の処方調整を行っている薬剤師から、「訪問薬剤管理指導報告書」にこのようなコメントをいただきました。
一般的にそのように言われていることは知っていますが、むしろうまくコントロールできるようになったり、介護負担が軽減できたりすることも多いような印象でした。
効果が減弱するというエビデンスが、あるのでしょうか。ちょっと気になります。
PECOで定式化
そこで、EBMの5つのステップに従って、調べてみることにしました。
まず、疑問の定式化から。PECO(P:どんな人に、E:何をすると、C:何と比べて、O:どうなるか)の項目で、疑問を整理しておきます。
「効果が減弱する」を評価するための項目(O)って、一体何でしょうか?
とりあえず、「排便回数が少なくなるか」「下剤使用量が少なくなるか」としておきました。
添付文書の記載
薬の添付文書はどのように記載されているのでしょうか。添付文書・インタビューフォームを確認してみました。
確かに、記載がありました。
「耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになる」ということですね。
ところが、ここに引用文献はありません。
この記述の根拠は何か、製薬会社に問い合わせてみました。
そこで、意外な回答をいただくことになります。
ここから先は
7,520字
¥ 100
いただいたサポートは記事充実のために活用させていただきます。