情報の見え方を考えて自分で作る!インフォグラフィックのコツ【第5回】
地域医療ジャーナル 2020年11月号 vol.6(11)
記者:noriyoshi_kawana
デザインディレクター/情報設計・編集者
こんにちは。デザイナーの川名です。医療分野を専門に扱っていて医薬品、医学書、医療施設、官公庁や教育機関などの仕事をしています。医療に関わる情報が的確・正確に伝わることに、グラフィックやウェブのデザインを通して携わっています。
エレベーターは反対側に入口があります
肌寒くなってきましたね。先日のお休みのとき、1歳の娘と一緒にベビーカーでお出かけしてきました。
久しぶりに娘と電車に乗りました。お出かけした先の駅で、ベビーカーを使っているので、ホームから改札に上がるときにエレベーターを使おうと思いました。その時、電車から降りてエレベーターを探していたら、ホームの柱にこのようなサインを見かけました。
皆さんはどこにエレベーターがあると、思いましたか?
私は、これを見た瞬間、「エレベーターは後ろか」と思って、逆の方向に向けて歩きだしたんですよ。でも少し歩くと、進行方向に何もないと気づいて、もう一度確かめに戻ったんですね。そうしたら、エレベーターはこの看板がついた柱の裏側でした。これは反対側というより裏側といった方が正しいように思われました。
「エレベーターは反対側に入り口があります」は「エレベーターは(この柱の)裏側に入り口があります」がより正確だったんじゃないかと。矢印の方向もちょっとわかりづらいように思います。
言葉の意味はふとした拍子に両義的となる
この看板を考えた方々は、当然この駅を庭のごとく知り尽くしていらっしゃるでしょうから、この文言で問題ないと思ってしまったわけです。
しかし、この看板は「エレベーターは柱の裏側にある」ことを前提として認識している人にきいても、あまり意味がなく、何も知らない初心者や素人の視点を持ち込まなくてはいけません。
頭のいい人とかやる気がある人、経験豊富な人を集めても仕方なくて、何も知らない人、やる気がない人、素人さんに訊かないとわからないこと、訊けばすぐわかることって結構あって、デザインの解決のヒントって、どちらかというとそっちにあります。
これは誰かに情報を伝える際にとても大事なことです。
あっ、私が間違えたから、屁理屈をこねているわけではないですよ。けっして。
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