~マントル細胞リンパ腫闘病記~ 18.まとめ1 マントル細胞リンパ腫(MCL)について
1.はじめに
私の罹患した「マントル細胞リンパ腫」とは、どんな病気か説明します。
まずは、リンパ球について、それから悪性リンパ腫、そして、その一種である「マントル細胞リンパ腫」と説明していきます。
2.リンパ球
(1)リンパ球とは
血液細胞とは、文字通り血液中の細胞のことで、赤血球、白血球、血小板などがあります。
その血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で、造血幹細胞からつくられます。
造血幹細胞は、成長過程で、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれます。
骨髄系幹細胞からは、赤血球や血小板、好中球などがつくられます。
リンパ球は、リンパ系幹細胞からつくられた白血球の一種で、B細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)があります。
(2)リンパ球の働き
それぞれのリンパ球の働きは、以下の通りです。
自然免疫応用技研株式会社のHP(https://www.macrophi.co.jp/special/1990/)を参考にしています。
① B細胞(Bリンパ球)
B細胞(Bリンパ球)は白血球のおおよそ20〜40%の割合を占める免疫細胞です。
侵入した異物(抗原)が危険であるかどうかを判断し、ウイルスなどを排除する働きがあります。
このB細胞が成熟すると、形質細胞になります。形質細胞は、ヘルパーT細胞と協力して、抗体を作り、放出する役割を持ちます。
分かりやすく例えると、形質細胞は、侵入者に対する専用の武器を作り、みんなに渡して、侵入者をやっつける手伝いをするってことですね。
抗原と戦ったB細胞の一部はメモリーB細胞となって次回の感染に備えます。メモリーと言うだけあって、メモリーB細胞は、一度侵入したことのある抗原の情報を記憶しておくことができ、次回の感染時により早く対応できるようになります。
② T細胞(Tリンパ球)
T細胞(Tリンパ球)は、血液中に存在するリンパ球のうち、おおよそ60〜80%の割合を占める細胞で、ヘルパーT細胞,キラーT細胞,制御性T細胞があります。
ヘルパーT細胞は、樹状細胞(皮膚や血液中に存在する免疫細胞)から抗原の情報を伝達してもらい(抗原掲示)、キラーT細胞に指示をしたり、B細胞やマクロファージを活性させたりします。
マクロファージは全身に広がっている免疫細胞で、体内に侵入した抗原を食べて消化、殺菌することで、細菌感染を防ぐ働きを持ちます。
さらに、キラーT細胞は、ヘルパーT細胞から指令を受け、ウイルスなどに感染してしまった細胞を壊します。
そして、働く細胞が過剰に働きすぎないようにコントロールするのが制御性T細胞です。各細胞に攻撃の終了を指示することで、免疫異常を防いでくれます。
③ ナチュラルキラー細胞(NK細胞)
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、血液中に存在するリンパ球の約10〜30%を占めています。殺傷能力の高い免疫細胞で、全身を巡回し、がん細胞やウイルスなどを見つけたら直ちに攻撃するという特徴があります。また、生まれつき体に備わっている免疫細胞(自然免疫)に分類されます。
なおNK細胞には、レセプター(受容体)と呼ばれる、抗原を調べるためのアンテナのようなものが2種類備わっています。これらをうまく使い分けることで、ウイルスなどに感染した細胞と健康な細胞を見分けています。
3.悪性リンパ腫
(1)悪性リンパ腫とは
悪性リンパ腫は、白血球のうちリンパ球ががん化して異常に増え続ける病気です。
全身に張りめぐらされているリンパ管の途中にあるリンパ節や、胸腺・脾臓・扁桃などのリンパ組織に腫瘤とよばれるかたまりをつくって、いろいろな症状を引き起こします。
(2)悪性リンパ腫の種類
悪性リンパ腫は、がん細胞の形態や性質によって、非ホジキンリンパ腫とホジキンリンパ腫に分かれます。
欧米では、ホジキンリンパ腫の患者が多いようですが、日本人の患者に占める割合は、約10%です。なので、日本では、非ホジキンリンパ腫が多数を占めます。
さらに非ホジキンリンパ腫は、B細胞リンパ腫、T/NK細胞リンパ腫に分かれ、それぞれが細かく分類されて、数十種類ものタイプがあります。
わたしは、初めは「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」と診断されました。これは、3種類のリンパ球のうちB細胞ががん化する病気で、B細胞リンパ腫の中では、そこそこ一般的なタイプだということです。
また、寛解率が高く、初めて入院した時の説明では「寛解率80%」と説明を受けて、安心したものです。
(3)病期(ステージ)
悪性リンパ腫の病期(ステージ)も、4期に分かれますが、臓器癌とは内容が異なります。
Ⅰ期:一つのリンパ節領域のみのリンパ節が腫れている。
Ⅱ期:上半身または下半身のみの2カ所以上のリンパ節領域が腫れている。
Ⅲ期:上半身、下半身両方のリンパ節領域が侵されている。
Ⅳ期:臓器を侵していたり、骨髄や血液中に悪性細胞が拡がっている。
私の場合、初めの診断時の触診で、首と足の付け根のリンパ節の腫れが確認できたので、Ⅲ期は確定していました。
その後の骨髄液を採取しての検査で、悪性細胞が見つかったので最終的にⅣ期となりました。
人に「Ⅳ期だ。」と話すと、臓器癌のイメージで末期を想像されてしまいます。しかし、Ⅳ期でも治療すれば寛解することも十分にあります。
4.マントル細胞リンパ腫(MCL)
初めの診断で「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」だったのが、詳細検査の結果、「マントル細胞リンパ腫」に変わりました。
(1)マントル細胞リンパ腫とは
マントル細胞リンパ腫とは、悪性リンパ腫の中で、がん化したB細胞がリンパ節のマントル帯に由来するものを言います。
リンパ節は、リンパ管の途中にある器官で、米粒~ソラマメ大の大きさです。
この中の胚中心(ろ胞)を囲んでいるのが、マントル帯です。
詳細検査の結果診断されたマントル細胞リンパ腫は、全悪性リンパ腫の約3%と非常に珍しいタイプです。また、60歳代半ばで発病することが多く、女性よりも男性に多いようです。
私が診断された2019年の悪性リンパ腫の罹患者数は、36,638人(がん情報サービスより)で、そのうちの3%は1,099人となり、ざっくり10万人に1人の割合です。ちょっとした宝くじ並みの確率ですね。
担当医からは、再発性・難治性の結構タチが悪いタイプであると説明されました。
その時は、「ああ、そうですか。」くらいの軽い気持ちで聞いていたのですが、再発、再々発を経験して、そのしつこさを身をもって体験することになりました。
(2)症状
症状としては、首や腋わきの下、足の付け根などリンパ節の多いところに、腫はれやしこりがあらわれます。多くの場合、痛みを伴いません。また、発熱、体重減少、盗汗(とうかん:大量の寝汗)といった症状があらわれることもあり、これらの症状を「B症状」といいます。
私の場合、自覚症状は喉の腫れと右首と足の付け根のリンパ節の腫れのみで、「B症状」はありませんでした。なので、よけいに軽く考えていました。
(3)悪性リンパ腫の進行度
また、悪性リンパ腫は、病気の進行度で下の3タイプに分かれます。
・年単位でゆっくり進行:マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫等
・月単位で進行:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
・週単位で進行:バーキットリンパ腫
私の場合、年単位でゆっくり進行に分類されるMCLでしたが、喉の腫れの進行が早く、実感としては週単位の印象でした。
5.おわりに
以上、簡単に私の罹患した病気について説明してきました。
初めの治療で寛解した時は、少なくとも数年は大丈夫だと思っていたので、たった数ヶ月で再発した時は、ショックでした。
特に、再々発時のショックは大きかったです。
次は、治療についてまとめていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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