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ふたりは ともだち

作 アーノルド・ローベル
訳 三木 卓

この本はショートストーリーがいくつか入っている短編集みたいなもので、その中で好きなのは「おてがみ」という話。
「手紙をもらったことがないから悲しい」というがまくんのために、かえるくんが手紙を書き、それをかたつむりくんに託し、届くまで二人で待つ。
その一見シンプル極まりないストーリーにも関わらず、がまくんとかえるくんの失望、友情、期待、焦燥、感謝などの感情が手に取るように共感できる。
手紙は素敵なものだ。
便箋と書きやすいペンを用意して、少し緊張しながら書き始める。
自分の現状報告と相手の近況をうかがう言葉。
素直な気持ちを表現し、相手にストレスを感じさせないよう簡潔な文章を心がける。
そして丁寧に封をした後、ポストに投函。
数日後に届く手紙を受け取った相手の顔を想像する。
そして、季節二つ分くらいの間、小さな期待をして返信を待つ。
最近はこれくらいのんびりしたやりとりが心地良い。
学生の頃はもっと頻繁な往復だった。。
私にとって手紙は、明日になれば消えてしまう突発的な感情を伝えるモノではなく、日頃から自分の中に深く静かに流れている思考や感情の話をするのにとても良いコミュニケーションだ。

手紙は不思議なもの。
文通を終わらせるのはカンタンで、
どちらかが面倒くさくなって書くのをやめれば終了。
そして緊急に何かを相手に知らせたければ、今や電話やメールがある。
でもこの手紙の関係が何年も続いているのは。。。
なんでもかんでも理由を述べるのも無粋な気がする。
とにかく、手紙が好きだ。


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