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【それぞれの葬儀のカタチ】


亡くなったばあちゃんは
じいちゃんの唄う「越中おわら節」に
合わせて踊るのが大好きだったという。

「おらもよ
 おらのヘタクソな唄に
 合わせてくれてよ
 笑いながら
 踊ってる婆さんが
 1番好きやったんよぉ。」と

遺されたじいちゃんも言う。

ならば。
この葬送の最期は

じいちゃんに
越中おわら節を
唄ってもらうしかないじゃない⤴️

「え?そんなんしていいが?
 葬儀で?
 寺さん怒らんけ?
 ふざけるな。って言われんけ?」

私の提案に
娘さん方はビックリしていたけれど。

葬儀は亡き人と
その死に心を痛める人たちの為に 
あるんだもの。
ならば。
その人たちがみんな喜ぶならば
しちゃならん事なんかないと
粘ったワタシ。

自宅で行う家族葬。
お参りされるのは
少しの親族と
ばあちゃんの
仲良しだったご近所さんたちだけ。

「やっちゃお😁」

そう言ったワタシ。

「やっちゃおーか😁」

乗ってきた娘さん方。

「やろーやろー」と

やたらノリノリになったじいちゃん笑

そしてそれは
ばあちゃんの葬儀の最期に
実行されたんだ😁

「じゃじいちゃん。
 出番やよー☺️
 唄ってあげて下さいな」

そう言ったワタシ。

お参りの方々から
ちょっとした歓声が上がり

「ばあちゃん踊れなあ。
 おら唄うからよー
 踊れなー」

そう言ったじいちゃんが
唄い始めた。

じいちゃんはもう90過ぎ。
高音はかすれる。
でもそれがまた
何とも言えない哀愁になる。

会場は
いつしか手拍子に包まれた。

みんなが笑顔で泣いていた最期。
きっときっと
ばあちゃんも笑っていたと
そう思ったお見送り。

「ばあちゃん
 喜んでくれてると思います。
 おらの唄に付き合ってくれて
 ありがとございました。
 ばあちゃん居なくなって
 さみしてならんがで
 早く迎えに来てもらおう
 思とりますが
 迎えに来てくれるまで
 皆さんまた宜しく頼みます」

唄い終わったあと
そう挨拶したじいちゃんに
皆が拍手を送った
そんなお見送り。

葬儀は
亡き人と
その死に心を痛める人たちのモノだ。

お経はもちろん必要だけれど。
それ以外は
こうじゃなきゃならないという
決まりなんかない。

手拍子が起こっても
笑い声が上がっても
拍手が起こっても
全然ダメじゃない。
逆にそれがいい供養になる事も
あるのだと改めて見せてもらった
そんなお見送り。

これからも。
その人に合った
そのお宅に合った
型にはまらないお見送りを
全力で作っていきたいと思う。

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