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【あたわったもの~お利口に生きないススメ】

わかっちゃいるんだよ。
自分のキャパくらい。
それを超えたらツライってことも。

でも
負けず嫌いだったり
無駄なまでに
意地っ張りだったりするとさ

キツイとわかっているのに
キャパ超えのとこまで
背負ってしまう訳さ。

そうやって
大した器も持ち合わせていないくせに
肩肘張りまくって
半世紀生きてきた私の頭を
ガツンとぶん殴ってくれる
ばあちゃんの生き方に
出逢わせてもらったんだ。

【あたわったものを
 素直に受け入れて生きろ】

ってね。

今回お見送りの司会を務めさせてもらった
ばあちゃんは91歳。

穏やかで
いつも穏やかで
本当の意味で賢い人だったのだと
ご家族が胸を張ったお打ち合わせの席。

「ウチのばあちゃんね
 91年間。まともに
 掃除が出来るようにならなかったの(笑)

 ちなみに料理もダメ。
 
 でもね。人一倍働き者なの。
 田んぼも畑もばあちゃんが
 守ってきたんだもの。

 これね。
 ばあちゃんの賢さなのよ(^ー^)」

ん?
家事が全くダメで賢い?

首をかしげた私に
長男のお嫁さんがこんな話を
教えてくれたんだ。

「ばあちゃんの生家は裕福なお宅でね
 乳母が身の回りのことは
 なんでもやってもらえるような
 お嬢さま育ちだったらしいの。

 でも嫁いだ先は
 普通の農家。

 乳母もお手伝いさんもいない訳よ。

 最初は戸惑ったらしいのよ。
 家事も出来ない。
 田んぼ仕事なんかしたことない。

 ないないづくしなんだから。

 でも。ここからが
 ばあちゃんの賢いとこ。

 両方やるのは無理。
 きっと余裕がなくなるって
 判断したみたいでね。

 だから。
 家事は諦めて
 ぜーんぶ姑さんに任せたんだって。

 で。自分は美味い米を作ることだけに
 没頭したの。

 そして。
 姑さんが高齢になって動けなくなる頃
 私が嫁にきたんだけど。

 ばあちゃんはね
 今度は
 私に家のことだけを任せたの。

 田んぼは出んでいいから
 家のことを頼むってね。

 手も出さない代わりに
 口も出さない。

 なんでも美味しいねーって食べてくれる。
 だからね。
 争いになんかなる訳がないのよ。

 一度たりともケンカもなければ
 嫌だと思ったこともない。

 ばあちゃんにはね
 変な意地も無駄なプライドも
 なかったんだもの。

 あったのは
 確固たる自信だけ。

 田んぼを守ってきたっていう自信。
 一つ事を極めた自信。

 ね?かしこいでしょ?」

ばあちゃんの口癖は
「あたわったものだから」

そうだ。
人はみな
それぞれにあたわったものがあって
あたわったもの以上になろうとしたり
他に背負いこもうとしたりすると
バランスを崩して
イライラしたり
トゲトゲしたり
心が荒れだすのかもしれない。

あたわったモノの中で
ベストを尽くしていくのが大事。

いい嫁だと思われたいとか
出来る人だと思われたいとか
そんないやらしい心が
自分で自分を追い込んだりするんだよね。

「成長するために努力すること」と
「無理をして大きく見せようとすること」は
違うんだってことをわかって進むか?否か?で
人生の充実度は変わってくる。

そういえば。
昔。聞いたことがある。

「人にはみんな
 それぞれに色んな形の様々な容量の
 器を持っていて。
 その器に水を入れて歩いているんだ。
 形も容量もみんな違ってみんないい。
 のだけれど。
 一番ダメなのはその形や容量に
 自分が気がつかないまんま
 水をこぼして生きることなんだよ。
 イライラしたり
 必要以上に人につらく当たりだしたら
 水がこぼれ始めているってこと。
 そうなったらね
 考えればいいんだ。
 何が余計かな?ってさ。
 何を余計に背負ってるかな?ってさ。
 気づいたら下ろせばいいんだ。
 それを繰り返しているうちに
 人は自分の器の正しい形と容量をしる。
 水は半分入ってりゃばんばんやよ。」

まさに。
このばあちゃんは
水を半分だけ入れて歩いてきた人なんよね。

賢いと嫁さんに
言わしめるだけあるわ。

ガツンと音がしたんじゃないか?と
そう思うくらい
頭をぶん殴られた気がした。

お利口に生きないことが
実は最高に賢いのだ。

一度しかない人生。
無駄に心乱して生きるのはもったいない。
出来ないことなんか
山ほどあっていい。
得意な人に頼めばいい。

疲れたら
スーパーの惣菜に助けてもらってもいいし
ウーバーイーツ使いまくってもいい。
掃除が苦手なら
プロに頼んじゃっても全然いい。

本を読むのが苦手なら
読まなくていい。
その代わりになるものを探せばいい。

お利口になるより
賢くなろう(^ー^)

あたわったものを
素直に受け入れて生きよう。

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