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創作のかけら:「白状と、薄情」表

良心の呵責に耐え切れなくなった

🟦

「…君に、謝らなきゃいけないことがある。あの頃、君と広瀬が別れるように手を回したのは俺なんだ」

「あら、そうだったの?私と広瀬くんは、遅かれ早かれ駄目になったと思うから、関係ないわよ。気にしないで、過ぎたことだもの。それより、そんなに思ってくれてたなんて、あなたの気持ちの強さが嬉しいわ」

わけもない、という風に笑う君に拍子抜けした、

しかし、もっと深刻なのは次だ

「それに…その後、すがるような思いで手に入れた、得体の知れない惚れ薬を君に飲ませたのも俺だ」

「あら、そうなの?いつ?全然気づかなかったわ。でも気にしないで、私、あなたといられるだけでとっても幸せなのよ。過程は関係ないんじゃない?過程がどうであろうと、私自身が今、こんなに幸せに感じていることは紛れもない事実だもの。もう、あなたの悪い癖。深く考え過ぎよ」

そう言って、これ以上ないほど優しく微笑んだ

…なんだこの異次元の反応は

俺は君を
操るどころか
消してしまったのか

俺が惚れた
勝ち気で誰のものにもなりそうになかった
無邪気で奔放な本当の君を
潰して
俺にとって都合のいい存在に作り変えて
手に入れてしまったのか  

自分の罪深さに
慄いた

「…そもそも、惚れ薬って、そんなに長く効くものかしら?」

何も知らない少女のような横顔で
そう呟く君を見つめていると
視界がぼやけた

ああ
俺は間違えてしまったのか
じゃあ
どうすれば良かったのだ

誰か
教えてくれ

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