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スピリチュアル卒業記 (2)

ニューエイジ思想やスピリチュアル系理論に関する懸念点、「文化的文脈からの切り取り行為」について書いてみたいと思います。

「スピリチュアルからはもうそろそろ卒業かな」と思った時期にヨガ、坐禅、写経など、古来から存在するナレッジにも触れました。しかし、これらを根付かせ、発展させた文化的・社会的背景を知らずに実践するのは、無理があるように思いました。

そこで、ノウハウを育んだ国の神話体系、信仰、歴史などの文化について学んでみると、「ニューエイジ」に該当する思想やメソッドには、世界各国に伝わる思想や健康法の都合の良い部分だけが切り取られ、新たな解釈が加えられているケースが非常に多いことを認識させられました。"引用元"は各地の宗教思想や各国の先住民の文化史のほか、現在は無効とされる科学や心理学の学説など、多岐に渡ります。

”切り取り行為”への疑問

調べていくうちにこうした文化・思想の「切り取り」行為が、出典である文化や信仰の文脈を無視し、実践者にも混乱を来たす行為ではないかという懸念が強くなりました。個人的にはインド思想に由来する「カルマ(業)」や「過去世」の概念が、しっかりした解説のないまま濫用されている点が気になりました。

馴染みのない習慣や思想を取り入れる際は、それらが本来はどういう社会的・政治的役割を担っていたかについて、考えてみても良いのではないかと思います。歴史的に悪用された事実はないか、後世にどんな影響を及ぼしたか、現代風にアレンジされたものとどこが違うか…などです。面倒であれば「これは誰が1番得するシステムか」と考えるだけでも見え方が違ってきます。

スピリチュアルまたはニューエイジな習慣を日常生活に取り入れる前に、それらが自分の思考に及ぼす影響について、注意を払う必要があると思います。

科学から切り取ったものは疑似科学に

切り取られるのは伝統的な思想体系だけではありません。科学の文脈から切り取られたものは、「疑似科学」と言う形でスピリチュアル・ニューエイジに組み込まれることもあります。こんな調子で科学的・医学的な効果が立証されていない"ヒーリング"メソッドが乱立している状況も心配です。

色々混ぜるとおかしなことに

1つのスピリチュアルなメソッドを紐解いていくと、元は異なる思想体系から生まれた複数の要素を組み合わせるケースが多く見受けられます。 矛盾する要素を組み合わせた(※)結果、辻褄が合わなくなるのも無理はありません。

期待した効果が得られないまま次から次へと試していくうちに、疑問だけが増えて精神的にとても混乱した記憶があります。スピリチュアルを辞めたのは、お金が続かなくなったり病気になったこと以外にも、様々な疑問に対する答えが得られなかったことにも原因があります。

※エンジェルオラクル、エンジェルヒーリングなどは分かりやすい例ではないかと思います。これらにはユダヤ教やキリスト教由来の天使の他、イエス・キリストや聖母マリアも人間の願いを叶える存在として登場します。しかし、原典である聖書では、占いやチャネリング(託宣)の類を固く禁じているようです。

その矛盾に気づいたエンジェルオラクルの第一人者が、数年前にニューエイジを退いてキリスト教徒(プロテスタント教派の中でも厳格な教派だそうです)になった時は、かなりの話題になっていたようです。

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