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マイルズ・ターナーについて思うこと

ペイサーズを代表するビッグマン、マイルズ・ターナー。
今季はほぼすべての項目でキャリアハイの数字を残しており、やっと実力を証明し始めています。

僕は今でも一番好きなNBAプレーヤーはジャーメイン・オニールですが、ターナーが入団した最初のサマーリーグ以来、なぜか彼の背中にジャーメインを見てきました。全然タイプ違うのに。
最近はゴール付近でのオフェンスムーブのバリエーションも増え、ジャーメイン感が増してきたように感じて嬉しいのですが、願わくばもっと存在感を増してほしいと思っています。

これからターナーが個人として、一ペイサーとして、どういう進化をしていけば良いのか、ちょっとNBAのインサイドプレーヤーの歴史も見つつ考えてみたいと思います。

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2014年、ポール・ジョージ率いるペイサーズがイースタン・カンファレンス決勝で2年連続でヒートに敗れた日から約1年後、ロイ・ヒバートはレイカーズにトレードされ、その後どんどんプレータイムとスタッツが下降。たらい回しのように複数のチームと契約・放出を繰り返し、瞬く間にNBAの舞台からはじき出されてしまいました。

2シーズン連続でリーグトップクラスの勝率を記録したチームのセンターが、こんなにも目まぐるしい速さで落ちていくさまを見て、当時の僕は純粋に「なぜ??」と疑問に思いました。
確かに、勝率こそ良かったもののチームとして何か嚙み合っていなかった2013-2014シーズンや、ジョージがいないだけで何もできなかった翌シーズンを見て、そろそろ変化が必要だと僕も感じていたため、ヒバート放出については納得でしたが、その後所属したチームで全然輝けないヒバートに驚きを感じていました。

なぜヒバートが消えてしまったかという問いの答えは、ネットなどで調べた僕の知識によると、2014年以降ステフィン・カリーとクレイ・トンプソンのスプラッシュ・ブラザーズによる、ロングシュートの雨を降らせるようなオフェンスが台頭し、じっくり時間をかけて2点取るインサイドオフェンスが主体だったバスケットボールは、ハイテンポで35~40%のスリーポイントを決めていくスタイルにトレンドが変わっていったことだと思います。
ヒバートはリバウンドやブロックに秀でた正統派センターでしたが、正統派故にスピードは無く、スリーポイントも打てないことから需要が急降下したのではないでしょうか。

ペイサーズも一時期、そのトレンドに乗ろうとテンポ上げようテンポ上げようといつも言っていたように思いますが(モンテ・エリスとかのとき)、僕はこの時に、超人的なシューティングスキルを持った二人を擁するウォーリアーズに対抗しようとしても中途半端なチームが出来るだけだから、逆にインサイドに主砲を据えた方がブルーオーシャンだからむしろ勝てる、みたいな持論を一人で呟いていました。

・・・そうこうしているうちに、現在では、ヨキッチのようにボールハンドリングもスリーポイントも上手いビッグマンが登場し、ポジションレス化が進んでいっていますね。
ヒバートが活躍していた頃から、時代は2段階も進んでしまいました。

考えてみると、どのスポーツも行きつくところはそこなのかもしれません。
スモールフォワードという名のポジションでも、当然体格はビッグの方が良いし、
パワーフォワードという名のポジションでも、力だけじゃなくてスピードがあってシュートも上手い方が良い。
SFやPFといったポジションの呼称が生まれたときには不可能と思われていたような進化を、プレーヤーが遂げたということなのかもしれないですね。

ターナーに話を戻します。
ターナーも、一応何でも出来る系の現代的な器用なセンタープレーヤーですが、頭一つ抜けた存在感が出てきません。なぜなのでしょうか。

僕は、その理由はターナーが得意とするストレッチしてのスリーポイントが、現在スターと呼ばれるビッグマンが当たり前に持っている要素で、普通過ぎるからだと思います。
何か唯一無二の技を、前面に出してほしい。

ジャーメイン・オニールは、パワフルなポストムーブからの必殺ターンアラウンドジャンパーが唯一無二の武器でした。これはシャキール・オニールにもダーク・ノビツキーにも出来なかったはず。

ディフェンス面では、ターナーのヘルプディフェンスとブロックは、リーグでも希少な能力だと思います。今季はブロックに飛ぶ・飛ばないのメリハリを付けることでリバウンドも多く取っており、正当に進化していると言えると思います。

あとはオフェンスです。
今季明らかに昨季よりも多彩になっているゴール下でのムーブを、磨き上げてほしい。
元々、相手ディフェンダーのプレッシャー下でのリム付近のショット精度はかなり高いと思うので、僕はここが唯一無二になれるポテンシャルだと思っています。
これ、サボニス時代を挟んでかなり以前から言っているのですが、やっと現実的になってきました。
ターナーに限ってそれは無いだろという声もあると思いますが、僕はそうは思わないです。

オールドスクールでも良いから、インサイドでのGo-To Guyになろう。
ハリバートンとの相乗効果も相当大きなものになり、チームとしても必要な事であるはず。
スプラッシュブラザーズが作ったようなトレンドを自分から生み出すぐらいの勢いで臨んでほしいと、本気で思います。


JO全盛期とのスタッツ比較

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