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ヴェラキッカ考察感想4-ただ愛されただけ-

作演出:末満健一さんのTRUMPシリーズ最新作。
ミュージカル『ヴェラキッカ』の考察感想まとめ、4回目になります。

過去記事はこちらから↓

3回目はジョーについて考察というかほぼ妄想でお送りしました。
今回はキャンディについて、考察と感想をまとめていきたいと思います。

それではさっそく始めていきましょう、の前にワンクッション。


※ゆうて4回しか見ていないので、台詞や展開など間違っているところがほぼ確であります(円盤が出てから確認予定です)
※同シリーズ他作品含め、ネタバレの連続なのでご注意ください
※考察するとはいったものの記載時点の内容になります。今後、加筆修正が入る点、ご留意ください
※楽曲リストはパンフレットを参考にしています

キャンディ・ヴェラキッカ

演:平野綾

本作のストーリーテラー。
冒頭の名前はキャンディス・ベーカー。
家族を火事で亡くしたキャンディ、身寄りのなくなった彼女がヴェラキッカ家に養子として引き取られるところから物語が始まります。

・キャンディ:人物像について

クランで繭期を過ごしていた彼女の元に届けられた訃報。
家族を火事で亡くした彼女は、ヴェラキッカ家に養子として引き取られることになります。
急な環境の変化に熱烈すぎる歓迎、そして濃いキャラしかいない面々と特殊なただひとつの家訓に戸惑い慌てふためくキャンディの感情は観客が抱くそれとリンクして、まさにストーリーテラーとしての役割を果たすのですが……

割とすぐに観客を置いてヴェラキッカ家に馴染みます。

常識枠なんていなかったんだ……!!

<S 06:見たぞ>以前のキャンディは、ヴェラキッカ家の濃い面々や家訓、そして自然とノラを愛している自分に戸惑い、翻弄され、あっぷあっぷとしています。
<S 02:ヴェラキッカの一族>のキャンディは戸惑い全開でとても可愛いです。
この曲すっごい耳に残りますよね。

しかし、ノラを愛する自分自身を受け入れてからは、早い早い。
観客置いてけぼりのスピードで、すっかり他のヴェラキッカ家の面々と同様にノラを愛し、一家に馴染んでいきます。
(物語内としては時間が結構経っているのかもですが)

特に、面倒を見てくれているジョーと気にかけてくれているシオンとは仲良しのようで、
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「あなたがどのカンパニーに行くのか楽しみにしているわ」
「頑張るんだぞ」
「うん!」
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ここのやりとりが、すっかり家族というか、キャンディが2人に心を許して懐いていることがわかって和みました。
優しい姉と兄ができてよかったねキャンディ〜〜
本作の貴重なほっこりパートです。

ずっとこの3人のやりとりを見ていたかったんじゃ。。。

ジョーとシオンと特に仲良し、というよりは、他の面々とはそこまで交流をしていないだけなのかもしれません。

物語開始時点でキャンディは繭期を越してクランを卒業している年なんだと思います。
養子たちよりも年上、という台詞はあったし、クラン卒業後に引き取られたんでしょうか。
ロビンとの交流もないなら、街で職業訓練的なことをしているのかもしれませんね。

将来、ヴェラキッカ家を支える一員となるように期待されて養子となったキャンディ。
彼女がノラに愛されたことで、養子たちのバランスが大きく崩れ、物語が動き始めます。

・異物としてのキャンディ

キャンディはノラから愛されてしまったことで、異物として養子たちから警戒されるようになります。
ノラは、養子たちが喧嘩をしていると、家族みんな仲良くするように求めて宥めていました。

家族は仲良くするもの、みんなも仲良くしてほしい、というのがノラの願いだったんだと思いますし、それはこれまでも伝えられていたんだろうなと思います。
ですが、それも効かないほどにキャンディは異物として扱われ、警戒されます。

ノラの願いを聞くことができなくなるほど、養子たちにとってノラから愛されることは大きな意味を持っていたということなんでしょう。

ノラからの愛をめぐるマウントゲームって作中でも言われていましたし、ぽっとでのキャンディがノラの愛を掻っ攫っていったら、まぁそりゃ気に食わないですよね。

普通なら。

ヴェラキッカ家が今の形になってからどれぐらいの時間が経っているのかわかりませんが、これまで一度もマウントゲームのバランスが崩れたことはなかったのでしょうか。
これまではノラが誰も愛さなかったから、という理由だけで片付けるには疑問が残ります。

情緒不安定になる繭期の子供や、繭期よりもヤバい大人もいたのに、そんなことが可能なんでしょうか。

よほど統制が取れていないと、維持できないと思います。
宝塚のファンの皆様方のように、ぴっしりと統制が取れていないと無理ですよね(俄知識)。
ヴェラキッカ家には、代表として統率をとっているような人はいません。

でも、イニシアチブはあります。

ノラの願いは何をおいても叶えないといけないとイニシアチブで命じられていたなら、納得がいきます。
ノラがみんなから愛されたいと、家族は仲良くと願い、イニシアチブによって叶えなければならないものとして強固に認識されていたから、バランスが保たれていたんじゃないでしょうか。

キャンディが異物として扱われるに至ったこと自体がイニシアチブでの制御が甘くなった表現であり、共同幻想の綻び始めを示しているように思いました。

キャンディはただ愛されただけなのにね(タイトル回収)。

・キャンディと愛

キャンディ自身が「ノラをおもう気持ちは、亡くした家族をおもう気持ちと一緒」と言っていたように、キャンディからのノラへの愛は亡くなった家族をおもう愛をベースに作られたものでした。

家族愛ということよりも、愛を与えている相手がこの世には実在しない、という点が気になっています。

幻想のノラは、本来この世にいない存在です。
ノラの考察が済んでいないので微妙ですが、キャンディがこの世には存在しない相手をおもっていたからこそ、ノラがキャンディを愛せた愛を返せた。
キャンディとノラが愛し愛されたのはそういう理由があった可能性はないかなぁ〜〜〜〜〜〜〜と思った次第です。

ところでオタクはこの世(3次元)に実在しない存在に対して愛を捧げていることがたくさんありますよね。
ということは我々オタクの愛が上書きされたらノラは我々オタクに愛を返してくれたりするんじゃないですかどうなんでしょうか。どうなんでしょうか!!!?

・キャンディのその後

キャンディについて考えた時にもっとも疑問に思ったのは、なぜ共同幻想から醒めたキャンディがヴェラキッカ家を去ったのかでした。

そもそもキャンディは身寄りがなくなったからヴェラキッカ家に引き取られたはずで、その恩義はノラがいなくなったとしても変わらないと思います。

ノラがいなくなった時点で、ある程度荘園を運営するスタッフとして教育を受けていたはずで、わざわざ育てた養子が去ることを認めた理由がわからないんですよね。。。

ここからは完全に妄想ですが、ことの次第が発覚し、デリコ家や血盟議会が介入したとしたら、ヴェラキッカ家が実質取り潰しになって養子たちが散開した可能性もあるんじゃないでしょうか。
去ったのはキャンディだけではないんじゃないかなと。
特にマギーはデリコ家に戻ってもおかしくない気がします。

TRUMPよりもかなり前の時点で取り潰された家だから、同シリーズ他作品において、ヴェラキッカの名前が一切出てこなかったんじゃないかなと。
思ったり思わなかったり。

・キャンディ:演者について

キャンディを演じられたのは、声優であり舞台女優の平野綾さん!
かなり以前から存じ上げていましたが、ちゃんと拝見したのは今回が初めてでした。

キャンディはストーリーテラーとしての役割と、作中のキャラクターとしての役割を持っていました。
しっとりと響くような静かな語り部としてのキャンディと、愛嬌も感情も豊かなキャラクターとしてのキャンディ。
キャンディがどちらの役割を担っていたのかは、声色で表現されているように思いました。

流石声のプロ、声優さん。
朴さんの時もそうでしたが、目に見えての演技だけではなく、声の演技でここまで表現できるものなのかと脱帽です。

っていうかね、あーやかわいい!!!

あーや とにかく かわいい !!!!

平野さん演じるキャンディがとにかく可愛いシーンはいくつもありますが、私のお気に入りは<S 09:身の程を知れ!>でウィンターや繭期の養子たちにビビったり、ツッコミをいれたり、ファイティングポーズを決めているキャンディです。
あそことにかく可愛い。ほんとに。
下記動画、2:43あたりから少し見れます。
こわいぃ〜〜〜って言ってるキャンディがめちゃんこ可愛いので全人類見てほしい。

正直あの、平野綾さんをそんなに存じ上げていなかったので、どうなんかなーと思ってしまっていました。過去の私をぶん殴りたい。
心の中でタコ殴りですよ。

この記事を読んで、多少印象が変わっていたのですが、それを差し引いても不安がありました。
当時の私的には色々と理由があったのですが、一番はレ・ミゼラブルのエポニーヌについて、エポニーヌではなく平野綾さんだなと思ってしまったからなんですが

そんな不安は開演すぐにぶっ飛びましたよ。
すっぱーーーーーーーん! ともう気持ちがいいぐらいにぶっ叩かれました。 気持ち的に。
そこからはもう安心して過去の自分をタコ殴りにしながら見ることができました。

ちゃんと拝見することができてよかった。
舞台女優、平野綾さんの素晴らしさを、この目で見ることができて私は幸せです。

お人形さんのように華奢で愛らしいキャンディは、平野綾さんにしか演じることはできないと、思っています。

あと上記の記事で平野さんが涼宮ハルヒの憂鬱についてお話をされていらっしゃって、私はハルヒに詳しくもないし特にファンというわけではないのですが、
平野さんの涼宮ハルヒという作品への誠実なリスペクトと大きな愛を感じて、ファンはこれ以上なく嬉しいだろうなと思いました。

ハルヒほど、とは流石に言いませんが、キャンディが平野さんにとって愛するキャラクターの一員になっていたら、TRUMPシリーズファンとして、これ以上なく嬉しいことだと思います。

まとめと次回予告

いかがでしたでしょうか。
キャンディ自身については、去った理由以外は作中でほとんど語られていたので、作中におけるキャンディの効果や意味についてを中心に考察していきました。

ただ、ノラやシオンを考察すると、もう少しキャンディに関しても考えられる要素が出てくるのではないかと思っています。

まぁもうあの2人は2人だけの世界で完結しちゃっているような気もしているんですけれどね。

さて、次回以降ですが、キャラクターとしては、ロビン→カイ→ノラとシオンの順番で考察していきたいなと思っています。
そしてキャラクター考察が済んだら、いよいよリリウムとの比較をやっていこうかなと。

すでにこれで4回目、小休憩をいれたら5回目の更新となりますが、折り返し地点まではきたかなと思います。
いや、考察要素モリモリの大物組を残してしまっているので折り返しになるのか。。。
一体この一連の記事が何文字になるのかわかりませんが、この後もどうぞお付き合いくださいませ。

それでは、また次回。

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