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いつか来る緑の騎士たちに、その首を差し出す勇気はあるか

「書く習慣」1ヶ月チャレンジ/30個のテーマに沿って書きます。

今日はここまで読みました。

第2章 習慣になれば書くのが楽しくなる
 「やめたら気まずい」状況をあえてつくろう
 「生産性のない自分」を受け入れよう

書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜

「もくもく会」って長く続く歴史ある会なんですね!
人が「やってる」空間に行くと、私もいつもこんな空間の一員として過ごしてるんです、みたいな顔になれる気がします。いつでも形から入る派。

Day 9:最近泣いたこと

映画『The Green Knight(日本公開未定)』を観て泣きました。

『ガウェイン卿と緑の騎士』

以下に概要を説明しますが、読まなくても大丈夫です。「グリーンナイトなに?バットマンのダークナイトと関係ある?」な人こそ楽しめる作りになっていると思います。

『アーサー王物語』っていう、イングランドの王様が冒険する話のシリーズがあります。アーサー王が仲間を集めて成長したり、すごく戦ったり、国を治めたり、裏切られたり、ついに命を終えたりする話です。

『ガウェイン卿と緑の騎士』はそのスピンオフみたいな話です。アーサー王の仲間になる「ガウェイン卿」が、首を切られても死なない「緑の騎士」と戦って、「1年後に同じことをやり返す(首を切る)から、うちまで来てね」と言われて旅に出る話です。

映画はこの話をベースにして、監督が自分なりの解釈とかを加えて作ったようです。そもそもアーサー王伝説の研究者をやってる人で、オタクが作ったオタク向けじゃない映画に仕上がっています。それってすごいことです。

嫌な予定からは逃げたい

主人公のガウェイン卿はまだ若いにいちゃんで、空気的に断れなくて仕方なく決闘したあげく、首を切った相手がなぜだか死ななくて、「1年後に同じことをやり返す(首を切る)よ。間に合うようにオレのうちまで来てね(場所は教えないけど)」と言われます。

どこにあるかわからない場所を1年以内に探し出して、自分の首を切られに向かわなきゃならない。イヤですよね。な、なんで??え????

でもみんな、「お前はもう立派な大人だ」みたいなことを言って送り出すムードにしてきます。内心めちゃくちゃ行きたくないのに、「そういうものなんだ」とむりやり納得して、ガウェイン卿は旅に出ます。

バリアはあればあるほどいい

大昔のイギリスの話なので、剣と魔法の世界です。魔女っぽいお母さんとか恋人とかから様々な「魔法のアイテム」をもらいます。つよい鎧とかすごい剣とか、お守りの鈴とか、魔法のベルトとかを。

ゲームでも必死になって強いアイテムを集めるものですが、ここは大昔のイギリス。わけのわからん魔法の存在に会いに行くのに、魔法のアイテムがなければマジで命にかかわります。

魔法のアイテムたちは、ガウェイン卿を何度も助けてくれます。

そんなに俺が悪いのか

でも映画なので、こんなに準備してきたのになんでこんなことに?な事件ばかり次々起きて、結局ガウェイン卿は大ピンチになってしまいます。

そもそも何でこんな目にあってるんだっけ?「俺自身が選択したことだ」ってまあそれはそうなんだけど、でもこんな理不尽はあんまりじゃない?

覚悟を決めて死に立ち向かうとか、辛いことを耐え忍んであきらめずに取り組むとか言うけど、なんのためにこんなつらい思いしてるの?

結局死ぬためにがんばってるの? なんで? 死にたくないんですけど??

「責任を取る」ことの価値

映画はあるエンディングに向かって進んで行きます。古い世界の風を感じる音楽と、どこまでも荒涼とした景色が、ガウェイン卿の旅を見届けます。

若者から騎士に「なるしかなかった」ガウェイン卿が、自由な時間を失い、有無を言わさぬ暴力にさらされ、ただ耐え忍び、頭からっぽになっても歩き続けて、やっとたどり着いた「安らげる場所」から荒野へ逆戻りする。

体だけどんどん大人になっていく私たちが、村の外へ、外の社会へ、死の恐怖へ向かって歩き出す様子となんだか似ています。

「責任を取れ」と言われることと、「責任を取ろう」と自分で決めること。
この間を埋める勇気が、映画のあちこちでキラキラ輝いて見えて、最後20分くらいはよくわからない涙がずっと出ていました。

首を差し出すということ

死が自分を待っている。理不尽だけれど納得するしかない理由があり、タイムリミットが迫っている。思えば人生の節目節目で、いつも同じ状況がくりかえしくりかえし起きているような気がします。

絶対に失敗できないテストを受けること。
選ばれなければ後がないオーディションへ行くこと。
朝会社に行くこと。
寝れば朝が来てしまうとわかっている夜。
許してもらえないことについて謝ること。
ミスをしたのは自分だと名乗り出ること(どんな理由があっても)。
批判を受けると知っていながら話すこと。

「自分は緑の騎士に首を差し出せるのか」を考える映画でした。
逃げたいのに逃げられない騎士のようなかっこいいあなたに、ぜひ観てみてほしいです。ひとつの答えが示されていると思います。


寝ます!

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