議論に勝ちやすい方法
【議論の意義となりたち】
人間は異なる価値観を持つのが当然。なので「価値観(意見)の違い」自体を悪と断じてしまうこと自体が悪になりやすい。むしろ異なる価値観を認め相互尊重できることが現在流行の「多様性の理解や尊重」につながるわけだが。
現実を見るに「自分と異なる意見は悪だ」どころか「自分と異なる意見を信じる連中は悪だ」までイッちゃっている人がまあまあ多い。そういう過激な方々は悪目立ちしやすい。たとえば他者攻撃的な持論を唱える時は「表現の自由」を用いて、反対意見には「誹謗中傷」と主張する方は一見生じるその自己矛盾を説明する必要があるだろう。
人間は不完全であり間違うことも多い。謙虚な姿勢がなければ学びは得られない。すでに自分が「完全で完璧だ」と思ってるやつは成長しない。
あくまでも議論は互いに一定以上に論理を重んじることのできる2者以上が「異なる意見、価値観」を披歴、比較し、結果として議論前よりも発展的な結論に至ることを目指すものと定義したい。戦うのはポケモン(意見)であって、各主張者(ポケモンマスター)の人格攻撃などは論外ということだ。また「一定以上の論理性」を有しない人間は議論ができない。そういった「生物学上は人間」ながら「実質動物」的な相手への対処も併記していく。
このあたりを踏まえて現時点で私が考える「建設的な議論ができる方法」を述べていく。ただ敢えて「議論に勝ちやすい方法」「勝ち負け」「攻撃や防御」として語るほうがわかりやすいのでそういう語り口になります。私も男の子なもので(笑)。
【議論における防御の姿勢】
議論において重要なのは実は防御。相手を論破することという攻撃目標を掲げる相手にはそれこそ「絶対に負けるわけがない」です。…私、あとで「絶対を使うと不利になる」とも書いていますが、それでも防御は「絶対」大丈夫なんです。
なにかというと「あなた自身の意見を変えることができるのはあなたが許可した時だけ」という事実を理解することです。たとえ相手が「天才的な詐欺師」だろうが「伝説のセールスマン」だろうが「議論最強の弁護士」だろうがこの防御壁は絶対に破れません。
「内心の自由」はあなた自身が崩さない限り「金剛不壊」なのです。
過去に書いてきた「オウム返し防御法」などもそうですね。相手が何かあなたの同意をとろうとしても「相手の言葉の一部を疑問形にして返し続ける」だけで相手の攻撃は完全に防御できます。これは何もあなたが「決定をしない」からです。決定をしない相手を説得や論破することはできないわけですね。これは自分だけでなく相手についても同様です。
これを踏まえて「攻撃」を考えていきます。
【議論における攻撃】
まずは自論を述べるわけですが。議論における攻撃目標は「相手を説得し理解してもらう事」です。なぜなら相手の意見を変えるには相手の許可が必要なわけで、謙虚に誠実に訴えかける必要があるわけです。
なので相手が攻撃的でこちらを論破してくる雰囲気だと「あ、こいつわかってないなぁ」と苦笑することになります。
「一定の論理性を有しないわからず屋」で動物のような相手に対してはこの目標は達成できません。その場合は説得する目標を議論相手ではなくて第三者に切り替えます。「KO勝ちは不可能ないので判定勝ち狙い」という感じでしょうか? タイマンの議論ではらちが明かないので公開討論にして「どちらがより多数の第三者の賛同を得られるか?」に切り替えます。
自論を述べる際に重視すべきは論理的な主張ができているかということです。論理的主張というのは「証拠(前提・理由)」があるうえで「主張(結論・結果)」があるという構図。その関連が強固かどうか。因果関係が逆転していないかというあたりです。関連のない証拠を提示してもそこをつつかれるだけですので。
また、今までの流れで分かるように際どい議論においては「絶対」「全部」「一切」などの表現を主張に用いるべきではないでしょう。よく政治家の弁明なので「天地神明に誓って」などの強い表現が見られますが、表現を強くすることで説得力を感じるのは人間に感情があるからですが、それはまともな証拠を提示して立証できないという「己の無能さ」の自己証明でもあるわけです。たとえば悪魔の証明を求められて困った場合は「立証責任はそちらにありますよね」としか言いようがありません。信じてほしいからといって涙を流して訴求するという方法を私はお勧めしません(まあ最後の最後でしょうか)。
【切り返し】
相手の主張の一部を取り入れたうえで、相手の主張を攻撃すること。攻防一体の交叉法であり、強烈なカウンターになりやすい。特に第三者を交えた公開討論では決め手(一歩手前)になることが多い。相手の自己矛盾、自己撞着を指摘する。
「一歩手前」である理由は「相手の矛盾の指摘をしただけ」であり「自論が立証されたわけではない」ことが多いから。とはいえ鮮やかな切り返しは非常にインパクトが強いので私も多用している。
議論が幅広くなると論点や争点が増えていき、そのうち矛盾が生じる。相手の主張を全否定するのではなく、「それを認めた場合に生じる矛盾は何か?」という視点が大事だ。
CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。