ツボは買うものではない、おさえるものだ

大体悪事を行っている者、虚偽の申し立てを大袈裟にしている者、言いがかりをつけてきた者は派手で刺激的な表現や感情的暴走によって周囲を自分のペースに引きずり込もうとするものだ。

売り言葉に買い言葉でこちらまでそれに付き合うのは相手の思うつぼである。そのツボを買ってはいけない。ツボは買うのではなく押さえなければならない。昔話、相手が先に仕掛けてきたという話、態度が悪いだの悪口を言われただの、当事者にとっては一大事なのだろうが、そんなことは第三者にとってはどうでもよいことが多い。その手の水掛け論が続くうちに真相がぼやけていき、第三者が「けんか両成敗」などと寝ぼけたことを言うようになる。

冗談ではない。

ではこの場合の「ツボ」はどうすれば押さえることができるのか?

自分の正当性に自信があるのなら、ただ淡々と証明できる事実確認のみに徹する。証拠や証明ができない話は自分からは一切しないことだ。

当然、相手にもそれを求める。「私は根拠、証拠があって証明できることしか言わない。そちらもそうすべきだ」として相殺する。相手が何か発言するたびに「証拠は?」「証明は?」と聞く。証拠がなく証明できないことはノーカウントにしていく。こうすると真実のみが浮かび上がってくる。

貴方が真実の側に立つ人間ならばこれで負けることはない。ただし、相手の非を証明できるだけの証拠は最低限必要だがね(笑)。

事実や人質の使い方、交渉カードの使い方のコツは「細分化」にある。

ダークな話をするが、作り話の悪役は人質を取るまでは上手だが、人質の使い方はヘタクソだ。・・・まあ物語の都合上そうなる必然があるわけだが。

本当に悪辣な悪役なら、人質を「分けて」使う。生きているか死んでいるかの2段階ではなく、一部を切り分けて使うのだ。(吐き気を催す話だが事実でもある)。

証拠や証跡も同じだ。一度に全部を出すか出さないかの2択ではなく、部分的に提供したりちらつかせるなどの使い方が非常に効果的である。特に切り札は切るタイミングに細心の注意が必要である。交渉や駆け引きは細やかなものが有利に立つようにできている。調整弁がない相手は2パターン読むだけだから、その分岐点さえ注意すればわかりやすく、読まれやすいものだ。
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CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。