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ペットくん(仮)前編

女風デビューと同時にTwitterを始め11ヶ月くらい経った頃、1通のDMが届いた。
突然のDMは珍しいことではなく、たいていスパムか裏垢男子だ。

この日も「どうせ裏垢男子か。」と思ってDMを開いた指が止まった。

アイコンがイケメンだった。

いつもは完全無視で終わらせるところを、外見至上主義の私はやや惜しい気持ちがして、適当なスタンプを返した。

適当なスタンプで返すと相手も察するもので、その後メッセージは届かなくなることが多いと女風セラピストさんとのやりとりで学んでいた。

どうせもう来ないだろ…と思ってた私の期待はいい意味で裏切られた。
写真付きで追いDMが届いた。

やっぱりイケメンだった。

ペットにしてください

私のツイートをみて、条件に近いとのお申出。
いろいろ聞いてみると「M/Sub」という属性の子だった。

・人間扱いしなくていい
・ペットとして飼われたい

利害関係は一致していた。
それから私達はたくさんのDMを交換した。

依存するまでそんなに時間はかからなかった。もともと依存体質でかまってちゃんの私に、ペット志願者は即レスで応えてくれた。

会いたい

毎日何通ものDMのやり取りは”女風ユーザー”として、好きピへのDMを自分で止めて我慢してる私にはとても心地よく。ペット志願者の「会いたい(無料)」も心地よく。指先だけの関係以上を求めてしまった。

実際に会ってみても女風セラピストさんだったとしても充分通用するであろうイケメンだったので「2人で一緒に生活したら…」「今後2人でやりたいこと…」等々。
そんな話をしながらどんどん妄想は膨らんだ。

ギリギリのところでとどまれていたのは、当時大好きなセラピストさんがいたから。ピッピの存在があったから私の心は半分(無料に)傾くくらいだった。

今思い出しても当時のピッピには本当に感謝している。

顔合わせは無事に終わって2回目のデートも順調だった。

良かったのはここまで。
この後から不穏な空気が流れ始める。

ペット志願者の家族旅行をきっかけに、即レスが徐々に遅くなった。
恋愛に近いような違うような関係は、恋愛と同じく最初の嘘みたいな盛り上がりがなくなり相手の対応が変わってきた。(と当時思ってた。)

そして、金の事で揉めた。

「もしペットになったら毎月いくら必要?」
私の問いに、ペット志願者が提示した金額は諭吉10人。
何もせず、ただ家にいるだけで諭吉10人。

私は普通のサラリーマンで。
ボーナスを原資に月3回くらい女性用風俗が使えるレベルの財力しかない。

ペット志願者に月諭吉10人渡すということは、もうピッピには会えない。

問題は他にもあった。
ペット志願者は未処理だった。
パイチンではない。

11ヶ月の間、女風できちんと処理されたモノしか見てなかったので、ボーボーのソレにはもう抵抗があり、お試しプレイで相性を確認するにも問題があった。

「そうか、自分のペットは自分でトリミング代払わなきゃいけないのか。」

男性の医療脱毛は想像よりも高くて、仲の良い男の子達に聞いたりして情報を集めた。

写真撮影要のモニターで半額!という広告を見つけペット志願者に伝えてみると、意外にも反応が良く、写真撮影にも抵抗がないようだった。

早速ペット志願者が問合せを行い、脱毛の契約をする日を決めてきた。もちろん費用は私。

ここで一つ問題が。
契約時、保護者以外は同伴不可とのこと。
流石に保護者と嘘をつくのは無理があるだろうということで、ペット志願者が契約のお話を聞いてきて実際に契約することになったら、「お金下ろしてきます」とかなんとか言わせて一度お店を出て、近くで私が待機してお金を渡そうということに。

自分で書いてても、まどろっこしいけど、要するに先に現金だけ渡して持ち逃げされるのは嫌だった。

信用してもらえないの悲しいな

現金を受け取って契約に行きたいと主張するペット志願者と、持ち逃げされるリスクを少しでも回避したい私との交渉はハッキリ決裂した。

「信用してもらえない」と言われても、Twitterで知り合って、たった2回しか会っていない人の何を信用すれば良かったのか。
何よりも、被害者視点での物言いが激しく癇に障った。

その後、ペット志願者のコロナ陽性(真相は不明)で3回目のデートはキャンセルになり、即レスだった連絡はピッタリ止まった。

当時大好きだったピッピがセラピ辞めそうだったので、その後すっかりペット志願者の事は忘れてしまった。

ピッピを無事見送り新しいペット候補に出会った時もこの反省を生かして、さっさとやる事やって、お小遣いの取り決めもした。
この経験があったからか、新しいペットくんとはうまくいってると思う。(私は)

ここまでが、3ヶ月前の話。
3ヶ月後に衝撃の事実に出会うまでは、忘れてたような話。

続く

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