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町内会の特性

 地域集団としての町内会・自治会は、日本社会の特徴の1つとしてとらえられてきています。都市における社会生活のあり方は、日本では、この組織の影響力を考慮することなく議論することはできません。近江哲男は、町内会の特性を15個あげて、それらを「普遍的にみられる属性」(A群)と「一部の町内会においてみられる属性」(B群)とに区別して説明しました。

町内会の特性(近江哲男)

[A群]普遍的にみられる属性
1. 市町村内の一定の地区の上に結成される地域団体であること。
2. それぞれの区域は、互いに排他的(他と重複しない)なこと。
3. その区域は、地域社会における各種の地区組織の基礎単位となっていること。
4. 構成員の単位が、個人でなく、世帯であること。
5. 区域内のすべての世帯が加入する全加入制であること。
6. 地域住民の親睦和合、相扶連帯をはかる共同体的性格と、地域生活上の便益増進を目的とする機能集団的性格とを、あわせもっていること。
7. 機能が複合的、包括的かつ未分化であること。
8. 公共行政の末端事務の下請を全般的に行なう協力組織であり、また地域住民の要求を公共行政当局に伝える下意上達の組織であること。
9. 公共行政を補完する事業を行ない、また独自の共同事業を行なう、自主的な自治団体であること。
10. 公共行政に対する有力な圧力団体であること。
11. その関心と活動が、地元閉鎖的であること。

[B群]一部の町内会においてみられる属性
12. 神社の祭祀祭礼と関係をもち、氏子集団としての組織を内蔵していること。
13. 保守的・伝統的・地元主義的な思考ならびに行動の様式を温存し、長老的・ボス的な旧中間階級によって支配される世界であること。
14. 地域における各種選挙の有力な基盤であり、地域社会の権力母体となっていること。
15. この団体における役職が地域における個人の社会的地位を決定し、この団体自体が一種の威光と権力の場であること。



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