エリザベス女王杯2019全頭考察

エリザベス女王杯2019全頭考察

エリザベス女王杯出走予定馬の全頭考察になります。評価は☆~★★★★★の10段階です。★=1、☆=0.5で評価しています。★★★☆なら星3.5です。[]内の数字は過去15年のものとなっております。


1.アルメリアブルーム CS系 評価★


ドリームジャーニー×ネオユニヴァースのCS系。父はC系の種牡馬で母父はS系の種牡馬になる。父のドリームジャーニーはC系の割には体力があって高速上がり指数が低いのが特徴で、同馬も2走前の速い上がりのレースで凡走した後に、前走小回りのそこそこ速いペースを差し切ったのがその最たる例。前走条件戦組は[0-1-1-33]。エリザベス女王杯は格レースとして有名で、基本条件戦勝ち馬は好走していなかった。その常識を覆したのは鮮度を持ったディープ産駒であり、よっぽど好リズムの馬以外は厳しいという評価になる。同馬も激走後に外回りの延長で速い上がりが要求されるレースだと適性面からも厳しいだろう。


2.ウラヌスチャーム CS系 評価★★★


ルーラーシップ×フジキセキのCS系。父は体力優勢のL(LC)系の種牡馬で、母父はC系の種牡馬になる。同馬は父の体力と母父のCを受け継いだCS系になる。よく言えば良いとこ取りだし、悪く言えば器用貧乏。ただフジキセキ自体は母父に入ると量のあるM系っぽくなるので、ここまでCっぽい走りを披露する馬も珍しいが。前走京都大賞典組は[1-2-0-12]。以前は有力なステップだったが、近年は不振で2010年以降連対馬が出ていない。短縮なので先行しているのが望ましく、3角7番手以下に限定すると[0-0-0-6]。同馬もこれに該当する。最後の砦は逆ショッカー。脚余し王大野からマーフィー替わりは大きく、内枠から中団に付けてCを活かせれば。


3.クロコスミア S(CL)系 評価★★★☆


ステイゴールド×ボストンハーバーのS(CL)系。父はC系種牡馬で、母父はSやLの強い一本調子な種牡馬になる。同馬は晩年のステゴ産駒ということに加え、母父が米国のダート種牡馬ということもあり、ズレたステゴ産駒。G1でしぶとく走れる面もありつつ、京都非根幹の邪魔されない番手競馬を好む等、全要素を保有している。前走府中牝馬S組は[3-6-6-82]。格の落ちる延長臨戦ということもあり、率は若干落ちるステップではある。昨年は同じローテで6人5着から9人2着と好走し、今年は3人5着からになるので、負け方は昨年より綺麗な形。問題は穴人気すると途端に走らなくなる点。5人気前後で果たして勝ち切れるかどうか。逃げのオプションは欲しい。


4.クロノジェネシス LS系 評価★★☆


バゴ×クロフネのLS系。父はSM~M系種牡馬で、母父はパワー型のS系種牡馬になる。同馬はバゴの最高傑作といえる存在で、体力>量のバゴにしては量に秀でており、異質の存在であることは確か。アイビーS、クイーンCの内容からスムーズな量勝負を好む。秋華賞は内枠をこなしたものの、休み明けの人気落ちが大きかった。前走秋華賞組は[5-3-3-44]で、1着馬は[2-1-1-5]。降着だったカワカミプリンセスを考慮すれば[3-1-1-4]になる。4着以下に敗れた4頭には共通点があって、3角で全馬9番手以下だった。逆に言えば3角8番手以内だと[3-1-1-0]になる。同馬は3角5番手なので、ローテ面では十分にクリア。しかしそれでもHペースを4人1着で押し切ったのは反動が出ると見るが…。


5.ゴージャスランチ L系 評価★☆


マンハッタンカフェ×Seeking the GoldのL系。父はL系の種牡馬で、母父は米国産のダート馬でS系の種牡馬になる。戦績を見ても分かるように、少頭数のスロー戦を好む典型的なL系馬で、父の産駒の特徴そのままである。エリザベス女王杯は非根幹の京都芝2200mとうこともあり、L系が得意の舞台ではあるが、だからといってここまでLが強すぎるのも問題。単純に多頭数替わりのG1という面もあるわけで、一定のアップ適性も欲しい。前走条件戦組は[0-1-1-33]。同馬は年内全レース掲示板確保しながらの前走1人1着後なので、一応リズムは保有している。だがやはり前走の超スローでの逃げられなかった逃げ馬で辛勝という内容からは、G1で通用するレベルには達していない。


6.サトノガーネット LM系 評価★☆


ディープインパクト×Victory NoteのLM系。父はM系の種牡馬で、母父は現役時アメリカ産の仏2000ギニーを制した種牡馬になる。同馬は初のG1だった秋華賞で10着に敗退し、条件戦1人1着後に臨んだクイーンSで6着。そして前走府中牝馬Sも8着と敗れた。クイーンSで3番人気は可哀想だったとはいえ、ディープのリズム的には掲示板は欲しかった局面になる。そう考えるとちょっと能力的に足りるかと言われれば疑問符が付く。まあ前走は出遅れながら0.9差なのでまずまずだが。前走府中牝馬S組は[3-6-6-82]で、6着以下は[0-1-2-46]と壊滅的。記憶に新しいシングウィズジョイも重賞を2勝していた。一応ディープインパクト産駒古馬初G1というカードは残っているので、そのカード1枚でどこまで抵抗できるか。


7.サラキア M系 評価★★★☆


ディープインパクト×LomitasのM系。父はM系の種牡馬で、母父はデインドリームの父としても有名な欧州の種牡馬になる。母が独オークス馬、母父もニジンスキー系で重厚な血統になるが、同馬自体は典型的なディープ産駒らしい軽いタイプのM系で、母方の影響を受けているようにはあまり映らない。前走OP特別組は[0-0-0-12]。エリザベス女王杯は前述したように格レースで、前走重賞以外からのステップは相性が悪い。前走も凡走後に延長スローの逃げられなかった逃げ馬での3着と考えれば、かなり厳しいと言わざるを得ないだろう。しかし関屋記念が惨敗すると思っていただけに、そこでの5着には違和感が残った。G1のGR的にも4着以来で初の古馬G1戦と鮮度は保有している。ノーマークなら。


8.シャドウディーヴァ M系 評価★★☆


ハーツクライ×DansiliのM系。父は体力優勢のS主導の種牡馬で、母父はダンチヒ系でまとまった種牡馬になる。ハーツクライ産駒は体力と闘争心(S)を活かして強い相手に食い下がっていくタイプが多い。ところが、同馬は母父の影響もあって、まとまったタイプになっている。安定感がある分ハーツらしい破壊力には乏しい。前走秋華賞組は[5-3-3-44]で、秋華賞4~5着馬は[0-0-0-9]。秋華賞で中途半端に負けた馬は相性が悪い。そもそも秋華賞で6着以下からの巻き返しも2頭しかおらず、延長の重賞になるのでリズムも必要となってくる。秋華賞組はリズムと疲労のバランスが大事。前走人気急落の13人4着をどう取るか。2走前が条件戦なら考えたかもだが。


9.スカーレットカラー SC系 評価★★


ヴィクトワールピサ×ウォーエンブレムのSC系。父はS~SM系の種牡馬で、母父は一本調子なS系の種牡馬。ヴィクトワールは父のネオユニヴァースと似たようなタイプになるが、ネオよりはSが弱くまとまっている。だが、同馬は母父のおかげで精神構造のしっかりしたSC系にレベルアップしていて、混戦での強さも恐らくここから。前走府中牝馬S組は[3-6-6-82]で、1着馬は[1-2-1-7]。5人気以内で1着した馬に限定すると[1-2-1-5]まで率は上がる。母父からかなりのSを供給しているのは明白で、今のこの充実した臨戦はS系の連チャン期とも取れる。しかしそれでも14番手から4人気1着後の延長臨戦は常識的にはかなり厳しい。同馬は同じネオユニのイタリアンレッドと見た


10.センテリュオ M系 評価★★


ディープインパクト×エンドスウィープのM系。父は量が豊富なM系の種牡馬で、母父はS系の種牡馬になる。同馬はディープ産駒の割には小回りのレースで強く、広いコースのレースでよく取りこぼしている。兄のトーセンスターダムもG1で弾かれ早々にダウンに反応していたように、この血統はディープの本質からはややズレているのかもしれない。前走芝2000mの重賞組は[0-0-1-5]。モズカッチャンが札幌記念3着から唯一馬券内に入っている。ディープ的には異端臨戦な上に初G1という鮮度も保有しているため、臨戦的にはむしろ面白いだろう。ただ先程も述べたようにディープの中でもズレたタイプなので、その点は気掛かり。能力もちょっと足りないか。


11.フロンテアクイーン LC(S)系 評価★★


メイショウサムソン×サンデーサイレンスのLC(S)系。父はLM~M系の種牡馬で、母父はSやCを供給する種牡馬になる。再三述べているが、メイショウサムソンはサドラー系ということもあり、休み明けと道悪が特注の種牡馬。同馬の前走は休み明け+道悪+人気急落と条件が揃っていた。しかもレース中もペースが上がり、高速上がりへの不安も払拭。これだけ条件が揃っていたので私は◎にしたし、その通り走っただけなので、ここに対してどうこうということはない。前走府中牝馬S組は[3-6-6-82]で、2着馬は[1-1-0-10]。連対馬は2人気以内で、3人気以上で2着の馬は[0-0-0-10]。昨年あれだけリズムが良い中で人気据え置きだったのに7着。これが同馬の能力、適性の限界点。今年も軽視で。


12.ブライトムーン LC系 評価★


ルーラーシップ×フジキセキのLC系。父は体力優勢のL(LC)系の種牡馬で、母父はC系の種牡馬になる。血統的にはウラヌスチャームと同配合になるが、同馬はルーラーシップ寄りでL要素が強い印象を受ける。2走前外枠から少頭数の平均ペースで勝利し、前走は内枠からスロー戦で、馬群を苦にしながら切れ負けを喫した。ルーラーシップ産駒は外枠から体力を活かして緩急のないペースをスムーズに走らせて強いタイプが多く、同馬もおそらくそのタイプだろう。能力はどれくらいあるか、まだまだ未知数ではあるが、さすがに足りないか。重賞でも2度弾かれており、アップ戦での魅力も感じない。血統は悪くないだけに、もう少しスピードの証明があれば面白いが…。


13.ポンデザール SM系 評価★★


ハーツクライ×RossiniのSM系。父は体力優勢のS主導の種牡馬で、母父はMiswakiの直子の短距離種牡馬。母父が短距離馬なので距離適性が短めに出てもいいところだが、同馬は現時点ではハーツらしい中長距離馬となっている。前走は50キロの斤量とはいえ、タイセイトレイル、ドレッドノータス等、後のG2を連対した馬に0.6差で圧勝した。前走OP特別組は[0-0-0-12]。2600mのOP特別からの馬は5頭いて[0-0-0-5]。全馬8着以下に敗れている。やはり小回りの2600mということで、スピードの証明が乏しい馬が多い。最低でもバウンド式は欲しい。ダート経験があり4連勝での圧勝後なので、S系の連チャン期の可能性も否定できないが、ローテ的には推しづらい。


14.ミスマンマミーア S系 評価★★☆


タニノギムレット×サンデーサイレンスのS系。父はS系の種牡馬で、母父はSやCを供給する種牡馬になる。同馬は地方出身でダートを走っているように、S主導のタイプ。短縮の混戦多頭数では常に注意を払いたい。前走条件戦組は[0-1-1-33]。この内、条件戦で2着以下だった馬は[0-0-0-12]と全馬4着以下と不振。しかし、条件戦組の中では一番面白そうな臨戦過程には映る。6走前までダートを走っていて芝自体に鮮度があるし、前走もアフリカンゴールドとタイセイトレイルに上がり負けしただけで、もう少し持続質なら浮上があっても良い。問題は近走2200m以上続きという飽きと、差し、追い込み実績のみというところ。一度先行活性化が欲しかった。


15.ラッキーライラック CS(L)系 評価★★★★


オルフェーヴル×Flower AlleyのCS(L)系。父はS系の種牡馬で、母父は米国産のダート馬でこちらもS系か。オルフェーブル産駒は量が乏しく、エポカドーロやロックディスタウン等、一度切れると不振に入る馬が多い。だが同馬には量が供給されており、不振期に入らないのが長所。上がり勝負や休み明けにも対応している。前走府中牝馬S組は[3-6-6-82]で、3着馬は[1-1-0-5](降着が無かった場合の着順)。2番人気で速いペースを自分から動いて勝ちに行き、2人気3着という内容は綺麗な負け方だった。叩き2戦目で馬体を絞ってのスミヨン鞍上と勝負気配も高い。本質は2000m以下の混戦向きだと思うので、延長をこなせるかが鍵。


16.ラヴズオンリーユー M系 評価★★★★


ディープインパクト×Storm CatのM系。父は量が豊富なM系種牡馬で、母父はLやS、量を供給する種牡馬になっている。リアルスティールの全妹で、鮮度要求率の高いオーソドックスなディープインパクトの配合馬。重賞を一度も使わずにG1をいきなり勝ったことからもその血は受け継がれている。つまり鮮度>慣れということ。前走20週以上間隔を開けてきた馬は過去5頭いて[0-0-1-4]。唯一好走したのは宝塚記念からのミッキークイーン。同馬は先程も述べたように鮮度が重要な配合になるので、鮮度をキープできる休み明けの臨戦はベスト。ましてこのエリザベス女王杯でまだ重賞2戦目。しかも古馬混合は初。憎いくらいの切りづらい臨戦。


17.レイホーロマンス LC系 評価☆


ハービンジャー×サンデーサイレンスのLC系。父は体力、量優勢のL系種牡馬で、母父はSやCを供給する種牡馬になる。ハービンジャー産駒というとモズやペルシアンの新生ハービンジャーを除いては典型的なL系馬で、休み明けや少頭数戦を好み、坂や平均ペースでキンカメやディープ程ではない上がりを誤魔化すというのが基本形。ただ同馬は馬体が軽いせいもあってか、結構C要素も保有しておりなかなかしぶとい。1000万下から2階級アップだった愛知杯で好走しながらも、さらに中山牝馬Sで好走したのがその証拠になる。ただパラメーターがCに振られた反動なのか、量がそこまで供給されず今は均衡から停滞へ。年齢的にも再浮上は厳しい。


18.レッドランディーニ LC系 評価★★


ディープインパクト×Mr. GreeleyのLC系。父は量が豊富なM系種牡馬で、母父は米国産でS系の種牡馬になる。この配合にはミスパスカリの産駒にポポカテペトル、マウントロブソン兄弟がいる。基本は母父からいい意味でも悪い意味でもパワーを受け継いでしまい、重いタイプとなっている。ただ同馬の場合は上記の兄弟より馬体が軽く、機動力も完備。3走前は33.0の上がりで勝ち切ったりもしている。前走府中牝馬S組は[3-6-6-82]で、6着以下は[0-1-2-46]とほとんど来ていないが、ディープ初G1というカードは残っている。サトノガーネットとの違いは2走前に重賞連対歴があり、連続凡走ではない点。交互に持っていける可能性が少なからずある。

総評

☆ラッキーライラック
☆ラヴズオンリーユー
☆クロコスミア
☆サラキア

特に評価したいのはこの4頭。マリアライトが勝ったときみたいな重い馬場設定なら差し~追い込み馬も評価したいのですが、基本的には逃げ~好位差しが有利だとは思います。速い馬場ならL>C、量>体力って図式なので、そこは意識したいですね。まあ今開催は雨が多いので、比較的時計は掛かって外も伸びてますが…。そこは土曜日の馬場を見て色々考えを巡らせたいと思います。もし参考になったよ~って方がいましたらサポート頂けると嬉しいです(^^) 今週のMラジには香奈さんがゲストに来てくださいますので、そちらもお楽しみに~。

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