見出し画像

満ちたい人

※この記事では『満ちたい人たち』という公演の内容に触れます。映像配信とかは未定らしいですが、配信される場合がなきにしもあらず(*)であり、ネタバレになるので一応の警告です。
面白かったので配信あったらそっちを観たほうがいいです。
【追記】公式より配信されたっぽいです。

(*)「なきにしもあらず」の品詞分解。

なき…「なし」の連体形。形容詞でありク活用。連体形のみで「もの・こと」の意味を省略しつつも表すことができる。

に…「にあり・にはべり・にて・にや・にか」と続く「に」は、断定の助動詞「なり」の連用形。今回のケースは「しも」が間に挟まっているがこれは強意の助詞であり、省略しても意味上問題はないため無視できる。よって「にあり」の組み合わせが該当する。

しも…前述の通り強意の助詞。一度「なき」という形容詞を使っているが全体としては「あり得る」という逆の意味を伝えたいため、強調している。

あら…ラ行変格活用動詞「あり」の未然形。現代語の「ある」と同じ意味。

ず…打消の助動詞「ず」の終止形。接続する用言は未然形になる。

【現代語訳】無いことというわけでは(必ずしも)ない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回の記事で映画を観る集中力がなくなってしまったんですわ~という話をしましたが、月1,2くらいで演劇を観に行っています。

これは個人的に知ってる人が出てたりとか、臨場感があってダイレクトに感情や雰囲気が伝わってくるところとかが映画と違うところで、集中力切らさず見ることができちゃうんですね。

そんなことで!

ぼちぼちやる派『満ちたい人たち』を観に行きました。

普段あんまり演劇見てもnoteを書かないんですけど、今回のはなんというか、見たことありそうで見たことないというか、作品見ると毎回似た作品にこういうのあるよね~というのを思いつくのですが、あまり似たものを提示できないというか、作品内の要素としては類似するトピックは思いつくけど、複数の要素が合わさると丁度ちっちゃい空集合に位置するというか、そんな不思議な感覚が残ったので、その感覚が面白くて書いています。

前半の流れとしては、新型コロナウイルスの流行で人の外出が少なくなった頃、満員電車に乗ることが好きだったが最近乗れておらず心寂しいという3人が集まり、満員電車と近い感覚を得られる代替物を探しに行きます。

前半は、「物理的距離は近いが自分のことを意識していない」という主張は確かに…とちょっと納得したり、そういった状況で意識していないという素振りを見せることに「儀礼的無関心」という名前がついてることを社会心理学の講義で言ってたな~と思い出したり、観客が共感しにくい趣味などで登場人物がいわゆる「一軍」でないことを表現する作品って割とあるな~と思ったり、代替物の案のひとつとしてウォーターベッドを体験しにラブホテルへ行くシーンで、そういえば電車の車内を模したラブホの部屋を見たことがあるな~と思い出したり、観ながら思考があっちこっち行っていました。

でも、途中のいくつかの非現実的な演出によって、少しずつのめり込んでいきます。

さて、途中で、狭い部屋の一室を借りてSNSなどで人を呼び込み、皆でその部屋にギュウギュウで入ることで、満員電車を疑似体験できるイベントを企画します。そこで事件が起こります。
劇の初めからうっすらと「痴漢」というワードが会話の中で散見されていたのですが、それが登場人物の一人に降りかかります。いつぞやのブラックボックス展のイベントで起こった事件的なやつです。
「おもろい人たちがおもろいことをし始める」の次のフェイズの「おもんない人が参入してくる」に差し掛かり、害を被ってしまうのです。

そこまでは正直予想できてしまっていたのですが、一番心に残ったのは被害者の妹の心情。
登場人物は4人います。満員電車同好会(勝手に名付けた)の3人と、そのうちの一人の妹です。妹は人間との関わりが苦手な性格ですが、姉の住む賃貸に同居させてもらっているのに加え、姉から支払われるという時給に誘われ、満員電車の代替物を探すのを手伝っているうちに、人間との関わりが悪いことばかりではないことに気づき始めます。しかし、一連の事件によってリバウンドし、人が少なく自然の多い地域に引っ越してしまいます。

当事者の姉は、COVID-19のピークが去った後、立つことは怖くなってしまっていますが電車に乗ることはできており、満員電車同好会(勝手に名付けた)の仲間もいます。
対して妹は間接的ではありますがトラウマが植え付けられ、未来の可能性が狭まってしまいます。
ボカロPのきくおのケース(人里離れた場所で暮らしているって、プロフェッショナルで言ってた)もありますが、まだ二十歳である妹の今後は、あまり明るくないという印象を受けました。物語の一番の被害者は妹ではないかと。

あ、あと、事件後のイベントをどうするかという話し合いのシーンで、イベントをやりたい派である登場人物の一人の演技がやや狂気じみていて、そこが好きでしたね。
「ある一つのコンテンツに自分のアイデンティティを乗っけすぎていると、そのコンテンツの存続が危うくなった際に、人は精神的に危なくなってしまう」ということを数年前から幾度となく感じていて、それが見事に表現されて居たような気がします。

私が主宰の方に勝手にシンパシーを感じている「ぼちぼちやる派」、今後も注目です。

さて、ここからは最近私の心を満たしているマイブームをいくつか。
今回長めになりそう。

最近はAPEXにハマっています。友達が遊んでいたのに便乗して一緒に遊んでいます。難しいゲームですが、サバイバルで一位になったときの気持ちよさはあまり他では感じられません。
武器の名前と特性、それにつけられるアタッチメント、キャラクターのスキルの仕様を把握するのに精いっぱい。
お気に入りキャラはワットソン(電流の流れる柵を張って妨害する)とライフライン(味方の回復や蘇生が得意)。前線張るよりサポートに回るのがやはり好きです。今後はヴァルキリーとかカタリストあたりが楽しそうなので解放したいと思っています。
友達にかなりキャリーされていますがこれからも練習です。読んでる人でやってる人いましたら、一緒にプレイしましょう。

あとは、Netflixのトークサバイバーを観ています。前もこの話どっかでした気がするな、どうだっけ。どうでしたっけ、皆さん。
ドラマパートとトークパートのギャップが面白すぎる。今はシーズン1を観終えてシーズン2に入ったところです。
お笑い芸人がトークを絞り出す苦しみと、それでも綺麗にオチに持っていく技術も見どころのひとつです。観ていない方は是非。
今日も一日頑張ろう。

そんなもんですかね、最近ひどい咳に苦しめられています。皆さん、体はお大事に。そんなに長くならなかったね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?