AIで質の高い文章生成をするためのプロンプトチェーンの解説:ChatGPTの指定チェーンプロンプトの使い方
前回はプロンプトチェーンで、質の高い画像生成の方法をご紹介しました。イラストだと一眼でわかるので便宜上、用いましたが、今回はチェーンプロンプトの本丸である文章生成についての解説をしていこうと思います。
このチェーンプロンプトは、ビジネスで使用するレベルのAI文章生成・AIライティングで必須だと思いますので、AIにご興味ある方は是非、最後までご覧ください。
AIでの本の執筆、テキストを書いたり、ブログの結論を書くなどに、とても有効な方法です。具体的な指示プロンプトも載せておきますので、コピペして使ってください。
途中で読むのが面倒な方は、目次から「プロンプト指示文」をコピペしてご利用ください。無料ユーザーでも使用可能なので。
文章生成用のGPTsを作成予定なので、お待ちください🍀
AIを勉強したことある人は「プロンプトチェーン」って聞いたことあると思いますが、このプロンプトチェーンを精密に用いて高品質の文章を生成するのが、今回ご紹介する指定チェーンプロンプトの文章生成です。
※プロンプトチェーン、チェーンプロンプト、指定チェーンプロンプトの説明は前回しましたので、詳しくは前回の記事をご覧ください。
チェーンプロンプトが必須の理由
AIで文章生成する場合、問題になるには、AIには膨大なトレーニングデータがありますが、それのみに依存すると、汎用的な文章になってしまうため、ユーザーの考えが文章に反映しにくくなってしまうことです。そして、そうした文章が巷に溢れると、社会的なレベルで情報劣化が起こるということです。そうした汎用的な文章は、恐らく、今後のSGE(Search Generative Experience)などのAI検索でも評価が低く扱われると思われます。
チェーンプロンプトは、何回かチャットを走らせておき、そのいくつかのチャットの情報を連鎖させ、より質の高い文章を生成するAIライティング・テクニックです。
具体的な指示プロンプトは以下です。
#指示プロンプト
「今までの対話内容を総合し、蓄積された情報を用いて、最終的な応答を生成してください。」
何回かチャットを行うことで、教師データが蓄積しますので、それを連鎖させることをAIに行わせ、最終回答を生成させるというものです。
この指示文がないと、AIは、自分の中のトレーニングデータを参照してしまうため、汎用的な低品質の文章になってしまうのです。
その実例を次項で見ていきましょう。
チェーンプロンプトの評価
まず、このチェーンプロンプトを行うか行わないかで大きく文章生成で差が生まれることを確認していこうと思います。
簡単な文章だと実践レベルを再現できない可能性があるため、今回は高度な概念を用いて説明していきます。今回、用いるのはナーガールジュナの『中論』における「空」の概念です。「空」の意味が理解できなくてもいいので、出力される内容の確認や構造を理解できればOKです。
まず、ChatGPTに
「縁起とは即ち空である」
※これはチャンドラキールティの注釈を参考にしています
と入力します。
次に、以下の文章を入力します。
「空、即ち仮設であり、有と無の両極を避ける中道である」
※チャンドラキールティの注釈を参考にしています
この一回目のチャットと二回目のチャットを連鎖させて生成した文章が以下です。
これを見ると、一回目と二回目のチャットの内容が総合された内容の文章ができたのがわかります。
縁起=空=仮設=中道
と言う、チャンドラキールティの中論の注釈を再現できました。中論は、仏教論理学の中でも難解であり、ここは中核の部分でもありますが、ChatGPTはそれを、それなりのレベルで文章化してくれています。
しかし、このチェーンプロンプトを入力しないと、以下のような文章になります。
これは、チェーンプロンプトを行なっていないので当然ですが、まったく今までの私が入力した中観派の空の説明を無視した文章です。私は中論の注釈の文章を入力してきたのに、ChatGPTはトレーニングデータにある初期仏教の情報を参照してしまっており、私の期待する文章を生成していせん。
蓄積した文章は同じものを使っています。
画像では<1/2>とあるように、最初にこの非チェーンプロンプトを入力し、<2/2>でチェーンプロンプトを入力しています。つまり、同じテキストの文脈を用いたテストを行なっています。
つまり、このチェーンプロンプトを用いると、AIは今までの教師データを参照して質の高い文章を生成してくれるのです。
ただ、本当に質の高い文章を生成するためには、まだ、色々な条件をつけなければいけませんが、話すと長くなりますので、また別の記事でお話ししたいと思います。
指定チェーンプロンプトの活用
前回記事でも述べましたが、どこからどこまでの情報を連鎖させるかを指定するのが「指定チェーンプロンプト」です。
これも、正確な文章を生成するには必須のテクニックです。
例えば、最初のプロンプトエンジニアリングは文章生成の初期設定としては必要ですが、その内容を読者や顧客に伝える必要はありません。なるべく余分な情報は連鎖させずに、最終的な文章を生成させる場合に指定チェーンプロンプトを用います。
質の高い文章を作るには、余分な文章は連鎖させない、その連鎖を制御するのが指定チェーンプロンプトです。
ここでは、わかりやすく、最初にわざと、どうでもいい文章を入力します。そして、そのどうでもいい文章を取り省いた最終的な文章を生成していきます。これは結論を作るのに便利な方法です。
まず一回目の会話、どうでもいい文章です。
空=食う
とは、私が考えたダジャレですw
スジャータの本名がシューニャタというのも嘘ですw
そして、空を悟らせるために釈迦に乳粥を食わせたのが「空=食う」もメチャクチャな話ですw
次に、前述した内容と同じ内容を入力していきます。
そして、これも前述したのと同じ内容を入力していきます。
そして、まず、普通にチェーンプロンプトで、これまでの全ての内容を連鎖させていきます。
すると、このように、私が考えたデタラメな文章が入った結論が出てきます。つまり、質の悪い文章が生成されてしまったことになります。
(まあ、これはこれで面白い回答ですがw)
正確な文章を出すためには、最初の#会話1以外の会話を連鎖させて文章生成することです。それが以下になります。
そうすると、これまでAIと会話した内容の中で指定した部分が連鎖した文章が生成されます。
指示プロンプトは「#1以外の対話内容を総合し・・・」としても、意味は同じなので、意味が通じればOKだと思います。
また、途中の文章を省いて連鎖させることも可能です。例えば、1〜5までの会話があり、3番目の会話のみを省いて連鎖させる、などです。
抽出チェーンプロンプト
また今回の中論のように概念化された単語である場合、チャットナンバーに拘らず、「概念Aと概念Bと概念Cを総合して・・・」とするのも有効です。
この場合のポイントは、「縁起」、「空」、「仮設」、「中道」をChatGPTが理解しているかを人間側がチェックすることです。そして、間違いがあれば訂正し、そこから情報を連鎖させます。
こうした概念を抽出して連鎖させる方法を「抽出チェーンプロンプト」と名付けました。
以下、その定義となります。
この抽出チェーンプロンプトで行った場合ですが、「空=食う」というデタラメな部分は抽出されませんでした。このことについては、また別項で述べたいと思います。
結論
今回もチェーンプロンプトを用いて結論を書きたいと思います。私が手動で書いていいのですが、実験として、以下になります。
プロンプトチェーンを利用する上での最終的なアプローチについて、重要なポイントを総合的に見ていくことが重要です。今回のブログ記事では、特に「チェーンプロンプト」、「指定チェーンプロンプト」、そして「抽出チェーンプロンプト」の概念に焦点を当てました。これらのプロンプトはAI文章生成において、ユーザーの具体的なニーズとAIの能力を最適に組み合わせるために設計されています。
チェーンプロンプトは、複数の対話から派生した情報を統合して、より精度の高い、洗練された文章を生成することを目指します。これにより、単一の応答では得られない深い洞察や総合的な理解が可能になります。一方で、指定チェーンプロンプトはその過程で特定の情報を重視し、不要な部分を排除することで、より目的に沿った内容を生成します。そして、抽出チェーンプロンプトは、さらに特化して、重要な概念やキーワードを抽出し、それらを基に文章を構築します。
これらのプロンプトを活用することで、AIはただ情報を反映するだけでなく、ユーザーの意図を理解し、その意図に基づいて具体的かつ創造的な内容を提供することができます。このプロセスは、特に情報の質を重視するビジネスや学術の分野で非常に価値があります。AIを用いた文章生成の技術が進化するにつれて、これらのプロンプトの適切な使用が、より良い情報提供とコミュニケーションの鍵となるでしょう。
プロンプト指示文
プロンプト指示文は、以下をコピペして使ってください。
「今までの対話内容を総合し、蓄積された情報を用いて、最終的な応答を生成してください。」
※必要に応じて変更してください。
詳しくは前の記事にて説明しています。
それでは、また。
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