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長期成長線と短期成長線

テクニカル分析というと、短期的な分析と思われているのではないでしょうか。私は長期保有を考えているので、長期的なテクニカル分析を考えてみました。それが以前、ご紹介した本来線という考え方です。

前回は恒常性維持機能・ホメオスタシスという概念の方が馴染みやすいと思い、ホメオスタシスの応用について述べました。

しかし、厳密に言うと動的な変化の維持、適応なので、株価が上昇していく場合、アロスタシス(動的適応能)の概念が適用されるのではないかなと考えます。

企業にも成長期・成熟期・衰退期というライフサイクルがあり、この成長期を支えるのが企業アロスタシスであり、株価チャートでは成長維持線として現れてくると考えます。

成長期の企業にはいくつかの成長維持線があると考えます。もちろん、これは主観で出しているので、参考程度にしてください。

例えばテスラの成長維持線ですが、基本成長線(本来線)の上に三つの期待成長線があると考えます。その成長線上のどこかを変動しつつ、基本成長線に戻って来ると考えます。

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これはテスラのチャートですが、一番下の緑の線が基本線(本来線)です。その上に期待値の高い黄色の線が期待成長線です。これはテスラがライジングし始めた時のラインでもあります。そして、その上のオレンジの線が暴騰線です。S&P500指数に採用された時などに見られる架空の線となります。そして、バブル線とも呼べるラインが赤の線です。

緑の基本線は、金利が上昇し、業績相場になった時に現れる線であると想定します。今後、利上げが行われますので、この線に戻ってくる可能性があります。しかし、私は「戻って来る」のではなく、ここが本来のテスラの成長線だと考えています。

金利が上昇すると金融相場から業績相場へと移行します。私は、金融緩和が行われる金融相場の方が特殊であり、業績相場の方が通常だと思います。ですから利上げは、期待値で買われたグロース株が本来の株価になるだけだと思っています。ですから、金利上昇で調整を受けた緑の線を基本線(本来線)としているのです。

この考えに基づいた場合、今のテスラの株価は900ドルくらいが妥当ではないかと思われます。では、すぐにテスラの株価がそこまで落ちて来るかというと、どうなるかはわかりません。そこから横這いに動き、基本線と交わる可能性もあるからです。しかし、これからの金利上昇の局面では、どの銘柄も、この基本線を意識していくのがよいと思います。

次に短期成長線です。

これも蝋燭足が多く通るところの真ん中をとります。短期の場合はボリンジャーバンドの中央が直線になったようなイメージです。

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アマゾンの基本成長線は2015年くらいからライジングし始めた白い線となります。そこから2020年3月16日のコロナショックの直後から短期的に暴騰します。これが赤の線で、短期に成長するので短期成長線とします。その後に高い位置でレンジもしくは緩やかな上昇となります。この紫色の線上で横這いで動き、白色の基本線に交わる場合、成長企業でしたら再び白い基本線上を上昇します。しかし、白い線と交わっても紫の線上を動いていくなら、その企業は成長期が終わり、成熟期に入ったと考えます。つまり、紫の線は成熟線となります。

アマゾンの基本成長線はECサイトのトップとしてライジングして来た評価だと思います。そして、赤い短期成長線は低金利によるアマゾンのクラウド事業を長期に織り込んだのと、コロナ禍でのECサイトの優位性が重なっていると私は考えます。そして、それが基本線に戻ってこないということは、その織り込みが確実性が高いという人々の評価なのだと思います。ここがテスラと違う部分です。

テスラが基本線にまで戻って来てしまうのは、期待値が高すぎて実質成長が追いつかないからだと考えられます。アマゾンは実質的な成長が既に見込めるから、暴騰後も高い位置で横這いできるのだと思います。

短期成長線が出て来たら、それは暴騰の可能性がありますが、その時に、

「期待感だけで上がっていないか?」

「実質的な部分はあるか?」

と問いかけてチャートを見ると良いと思います。

今後、利上げによって金利が上昇します。それと共にバリュエーションの高い株は調整を受けます。しかし、それは正常なことであり、低金利で期待値だけで株価が上がる方が異常だと思った方がよいと思います。しかし、暴騰を妥当だと見えてしまう場合、それは欲望というフレームを通して見ているにすぎないと思うのです。

この記事は全て私の個人的意見です。投資は自己責任でお願いします。

では、また。

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