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文系大学教授になる5:英語

 学部生の頃は、大学教授はみんな英語ペラペラと思い込んでいて、そんなこと自分には絶対に無理と思って、進路をまずは食べていくためにという発想で公認会計士に舵を取りました。大学院の5年間を修了(単位取得満期退学)した頃、オーバードクター(大学院研究員)になっていましたが、恩師から地方大学の専任講師のポストを紹介されて、あれこれと自分なりに努力をした結果(=本当は周りの支援がほぼほぼ全部)、無事に着任。公認会計士としてぼちぼち社会活動をして、この地方大学で教育に従事させていただき、これで満足。ここなら語学も必要はないと、たかをくくって、5年ほど過ごしていました。
 ところが人生、希望しない方が好転する典型で、母校への復帰を打診する声。学部ではなく研究所教員としてのポストで、ここなら大学院の担当もないし、英語も不要と2回目のたかをくくって良き人生を送っていました。この時期は、公認会計士と大学助教授で、経済的にも一番潤った時期です。ちなみに40代以降、公認会計士は登録だけ。年10万円ほどの会費を支払い続けていますが、公認会計士報酬はずっとZERO😅。
 ところでx2、人生、想像すらしない果てしない事が実現することもあって、学内人事異動で大学院教員にならないかと、当時の学長先生からの本当にありがたい示唆。実は私はここで、心を入れ替えて、国際的な研究者を目指そうと改心をしました。40歳のころです。なので、自慢でもなんでもないですが、英語力は本当に悲惨。遊びに行く海外旅行でも、電話でレストランの予約やフロントとのやり取りもできないレベル。TOEICなんて恥ずかしくて受ける気にもならない・・・。
 ところが、人生不思議なもので、英語をカバーするために海外の研究者との人間関係形成を重視し、とにもかくにも直接に対面で国内外で、研究会だけでなく、旅行や視察他なんでもご一緒しようと心がけたところ、「おもろいやつ」ということで、特に英国の先生方からは仲間に入れていただけました。エジンバラ大学はじめ3大学で名誉教授(Honorary Professor)のポストをいただきました。結局、研究者としての英語は、直接に研究者と対峙することで磨かれる、というのが私の経験則です。未熟な英語でも、そのうちなおってきますし、研究者にとっての英語は所詮ツール。完璧である必要などまったくないわけです。英会話学校に必死に行くよりも、専門領域の近い先生とメール、Zoom、短中長期の留学で人間関係(できれば一部ご家族も含めて)を英語で磨くこと。これが一番大切だと思います。ちなみにいくら英語ができても、海外の先生と仲良くなれない研究者もたくさんおられます。個人的には、それでは意味がない、と思うのですが、これは英語ができない者の遠吠えかもしれません。
(2022.05.22)

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