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覗いてみよう!生物の不思議 #04

 サバンナに生息する生き物はとても屈強だと思いませんか?その中でも、特にシマウマは奇妙な模様をしています。名前にある通りシマウマは白と黒の縞模様で、サバンナにいる他の動物はほとんど茶色い模様をしているのに郡を抜いて不思議な模様です。
 
 では、なぜシマウマは白黒の縞模様なのでしょうか?本日はシマウマについて見ていきましょう。
 
 シマウマは、ヤマシマウマ、サバンナシマウマ、グレビーシマウマの全部で3種類あり、全てアフリカの草原地帯に生息しています。これらのシマウマは馬の中でも性格が乱暴なことが有名で人類が家畜として飼い慣らすことができませんでした。
 
 このように個性の強いシマウマは、長い間、生物学者を苦しめてきました。
 
 まず、シマウマは白地に黒い線があるのか、はたまた黒地に白い線があるのかについて議論になっていました。この疑問に関しては、黒地に白い線があることが正しいです。シマウマの胎児は黒い肌で、出産前に白い線が付きます 。それだけでなく、シマウマの縞模様は草原という環境に似合わず、なぜこの縞模様がサバンナで生き残るのに有利だったのかが、生物学者たちの最大の関心事にもなっていました。
 
 縞模様の仮説として、進化学者のウィリス博士はカモフラージュ用だと主張しました。ストライプのガラは捕食者を混乱させるために最適だとして、非常に有力なものでした。ライオンのような捕食者たちは色弱で、草原の草とシマウマの色を上手く区別できません。したがって、シマウマは草むらにいることで捕食者の視野に入るのを防ぐことができました。

 このカモフラージュ用だったという説は、シマウマの縞模様を説明する最も伝統的な仮説であり、その中でも代表的なのが「錯視効果」でした。シマウマが何頭か集まっていると一種の「ダズル迷彩」みたいな効果を出すことができるという主張です。ダズル迷彩とは、物のサイズをわかりにくくしたり、進行方向や速度の認識を阻害する効果があります。シマウマの縞模様も同じで、複数のシマウマが集まることで捕食者からはシマウマが巨大な一つのパターンに見えて、このパターンの中から獲物を一頭だけに絞ることが大変だというのです。例えるなら、理容室のクルクル回るサインポールの回る向きが、横ではなく縦に回転するように見えたりするということです。
 
 しかし、このカモフラージュ説には致命的な弱点があり、シマウマはライオンの主な獲物だったということです。
 
 じゃあ何が本当の理由なの!と思うかもしれませんが驚くべきことに、近年、最も説得力のある主張は「吸血バエ説」です。
 
 シマウマの縞模様は、吸血バエに嚙まれるのを防ぐために進化したというのです。吸血バエとは動物の血を吸うハエを総称する言葉で、一匹の牛がこの吸血バエの群れに吸われる血の量は最大で500ccにも達することがわかっています。

 シマウマはサバンナにいる他の動物に比べて明らかに毛が短く、吸血バエに血を吸われやすくなっています。そのため、シマウマは吸血バエを混乱させるために縞模様に進化していきました。シマウマに吸血バエがどのくらい群がるのかという実験を行った際に、黒や茶色の一般的な馬と比較すると、約2.5%ほどしかシマウマには集まりませんでした。吸血バエがシマウマの縞模様に近付くと、ふらついたり方向を180度変えて飛行することがわかっていたりもします。
 
 それでも、これらはただの仮説に過ぎないので、真実がどうかまでは知る由がありません。シマウマの縞模様がなんのために進化していったのか、これからも様々な憶測が飛び交いそうで、本当に興味が尽きませんね。