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弓道の魅力#1

 突然ですが皆さんは弓道を知っているでしょうか。ほとんどの人が聞いたことがあると思います。では、実際に体験したことや試合を見た事があるか、と聞かれたらほとんどの人はないと答えるでしょう。

 弓道にはプロがいません。それは弓道はただ中てるだけの競技ではないからです。

 弓道に似た競技でアーチェリーが挙げられますが、アーチェリーは的に点数がついており中心に近づくにつれ点数が上昇していきます。これに対して弓道は的に点数がありません。

 理由は、弓道は中てること自体が目的ではないからです。弓道の代表的な大会である天皇杯などは中りだけでなく弓を引く型、射形も審査の対象になっています。実例をあげますと、とある大会で予選で全て的中したにも関わらず予選敗退という例もあります。
また、弓道には「正しい射をすれば正しく中る」という言葉があります。つまりアーチェリーと弓道の違いは中てることが目的か否かというところにあるのです。

 ですが今中っているからと言ってそれが正しい射なのかと聞かれたら「はい」と答える弓道家は少ないでしょう。理由は簡単で正しい射がどんな射なのかがわからないからだと考えます。

 弓道教本という本がありますがそれに載っている射形が出来ているのか。出来ていたとしてそれが自分の骨格に合ったものなのか。そもそもそれを誰が判断出来るのか。と、このように弓道には基準が不確かなものが多いのです。それは先ほど記述した目的の違いでしょう。

 中てる事は確かに残り形として見えるものです。それに対し、正しい射は目的自体が不明瞭なためそれに付随するものが不確かなものになりやすいのです。ですが私はそれこそが弓道の最大の魅力だと感じています。

 私は弓道を究極の自分との戦いだと感じています。理由は多数ありますがその中の一つを紹介させていただきます。それは相手がいないことです。
 
 メジャーな競技であるサッカーや野球、同じ武道の柔剣道には明確な相手がいます。それに対し弓道は明確な対戦相手がいません。それは高校インターハイなどでも同じで、どちらがより的中したかではなくどちらがより正しい射をしたかの勝負になるからです。強いて言えば最大の敵は自分といった所でしょうか。
対戦相手と向き合うのは比較的容易でしょう。事前に相手の戦術や癖などを調べ、それに合わせて対抗策を練れるからです。しかし、弓道の場合はそうはいきません。

相手に合わせて自分の射形を変えることなんて出来ませんし、昨日まで中っていたのに急に中らなくなったりもします。しかしそんな自分に打ち勝った時こそが自分自身が成長した証なのだと考えます。