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フィルターを使おう!重ねて混ぜるmixUPとフィルターの原理


●初めに

当記事は「VRDJ Advent Calendar 2023」12/15の記事です。
#VRDJAdC

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※当記事はDJ向けです。
フィルター、使ってますか?
コレですコレ。

フィルター。セクシー。


捻ってますか?弄ってますか?
好きでしょう突起を弄るの。僕は大好きです。
この記事はこのツマミをぐりぐりするとあんなことやこんなことが出来るようになりますという記事です。

●実際に何が出来るのさ?

ミックス(つなぎ)の際に
☆綺麗に☆
◇音楽的に◇
◎演奏的に◎
音を重ねてつなげるようになります。先ずはエグザンプル。

EX1.フィルターを用いた繋ぎ

デッキAのこの曲から

デッキBのこの曲へ

フィルターを使ってつなぐとこんな感じ。

EQで繋ぐのと何が違うかを説明しますと、混ざりだした後に混ざり具合と重なり具合を自由に調整できるところ。そしてそれをリズムに合わせて可変できるところ。EQに比べこれらが自由にできる原理は後述します。


EX2.フィルターを用いたコーラスマッシュアップ

EX.1のデッキBの曲にデッキAのサビのコーラスをマッシュアップします。
こんな感じ

重ねる側のデッキ曲の中の
どの音域の音色を使うか=どの音域まで削るか
を自由に動的に調整できるのがフィルターの強みです。


EX3.カットイン-EQを用いた繋ぎとの比較-

イントロを重ねてカットインする際
EQを使用してLo入れ替えな繋ぎがこう

Filterを使うとこう

そんなに違いが無いように聞こえる…かもしれませんが、フィルターで繋いだverでは繋いだ後Aメロに入った後もリズムの上物が混ざっているのが解るでしょうか?
人がリズムを感じる時、違和感を感じない為の要素として「刻み」の音色や音量、リズムがガクッと変化しないことが大事です。
繋いだ後のAメロは楽曲のハイハット・シンバルの音が弱いため、徐々に音の変化に慣らすためにフィルターで刻み以外の音を殺した前デッキの曲をBメロ頭までリズムに合わせて重ねています。
クロスフェーダーとフィルターでドラムマシンの鳴り物を作っていると言えます。


EX4.楽曲に有機的なうねりを生み出す

楽曲を再生中、「この辺り一寸変化に乏しいナ……しかしbeatjumpする余裕は無い……」と湾岸ミッドナイトのような顔になる事が有りませんか。
そんな時はリズムに合わせてフィルターを振りましょう。
通常再生がこう

フィルターを振るとこう

後半、メロディーラインが消えた後にも有機的なうねりを出せます。
Daftpunkの初期のシンセサウンドを特徴づけているエフェクトと原理的には同じ手法だったりします。

類似の手法として、再生デッキそのものでフィルターを振ると音が細くなる問題を解決したい場合はこう

左右デッキで同じ楽曲を再生した上で、片方のデッキのみをハイパス側にフィルターを振り、クロスフェーダーで重ね具合をリズミカルにパンニングします。とても楽しい。
地味ながら「フロアの揺れ方」をコントロール可能になるテクニックです。


●どういう原理なんです!成原博士!

EQとジッサイ何が違うのか。それを理解する事でフィルターの使い方・使いどころ・EQとの使い分けが身につきます。座学の時間。
ジッサイカッコイイ。

Step1 音域と担当楽器を理解しよう

楽曲は様々な楽器・ボーカルの音が重なり合って構成されています。
非常に抽象化した図で示すとこんな感じ。

楽器ごとの周波数帯での居場所

Step2 3BAND EQの調整範囲を理解しよう

3BndEQ(HI MId LOW)はこの辺を増減できる

DJの基本、ミキサーの3BAND EQはそれぞれこの辺の音域を増減できます。
機種によって増減量やピーク、カーブは異なる。
※アイソレータはマイナス側が0dBまで完全に切れるのがEQと違う点。

Step3 Filterを理解しよう

フィルターノブの左右には右にHi 左にLoと書いてあります。

フィルター。EQとは違う「回しまくる」事を意識した丈夫でセクシーなノブ

HI側に回すとハイパスフィルター=高音を通すフィルター
LO側に回すとローパスフィルター=低音だけを通すフィルター
図で示すとこんな感じ(※あくまでイメージ図)

ハイパスに回すと低音からカットされていく
ローパスに回すと高音からカットされていく

EQとの最大の違いはエリアが固定されず「上から下まで自由にカットオフする境目を調整できる」事。
「下から削っていってコーラスだけ残す」
「上から削ってベースだけ残す」
と言ったことが出来ます。EQと併用もできるので
ハイパス+EQ Hiを削る事で中高域残し
ローパス+EQ LOを削る事で中低域残し
と、狙った音や楽器だけを残せるというのがフィルターの自由度です。
更にそれを一つのツマミで低音から高音迄瞬時にコントロール可能。
ミックスでは低音がぶつからないようLOWを切って入れ替えていく事が多いですが、フィルターなら切りながらクロスフェーダーを振っていく事も簡単にできます。

●使いこなそう!実践編

練習あるのみ!まずは回してみましょう。
どのくらい回すとどの辺りまで音域が消えていくのか
其れを確かめて掴んでいけば簡単です。
EQのローをぐりッと限界(時計7時)まで下げたところまで低音を切るのに、フィルタなら時計2時位ハイパスに振るだけで切れます。

EQよりもダイナミック且つ無段階に調整が可能なので、繋ぎの最中にローや基音を複数回切り替える事も可能です。
上記の動画は一度左デッキへローと伴奏を切り替えた後、右デッキにローと伴奏をもう一度担当させた後更に切り返してつないでいます。

動的にフィルターを回すことで、ギターやトランペットのワウ演奏のような効果を与える事が出来ます。
繋ぐ前デッキの音をあえて残し、その音をフィルターで楽器の様に演奏する事でただ重ねて入れ替えるのとは違う個性あふれるミックスが可能となります。

●終わりに

如何でしたでしょうか。
時々ギュッと捻る以外の使い方を見出して頂けたら幸いです。
とりわけLOWを切る事についてはEQやアイソレータよりも効率的ですし、フィルターノブは激しい操作を前提として金属ノブになっていることも多く、LOWの回しすぎでゴム製のEQノブが変形してしまった……なんてことも防げます。
勿論正解は人の数だけありますが、DJミキサーやコントローラーは実に色んな機能を持っています。
是非触ったことのないツマミやボタンを積極的に触ってみてください。
大丈夫!自爆ボタンは有りませんよ!
最後に、VRDJ Advent Calendar 2023の立ち上げと声掛けをされたゆーいぢ氏に感謝申し上げます。

書いた人:Mazzn1987 https://twitter.com/Mazzn1987_TRPG


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