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パン粉でグラタンもどき

実家の冷蔵庫にかぎらない、パン粉のような乾物は、どこの台所でもふるびてしまう傾向がある。たとえば青のりなんか、私の台所でも気がついたら賞味期限が切れている。毎日つかうものではないからだ。パン粉もその代表で、ハンバーグやとんかつをつくるときにはなくてならないものだけれど、ハンバーグやとんかつをそうそうしょっちゅうつくるものでもない。結果としていつのまにかふるびている。母の冷蔵庫にもパン粉がずっとあることは知っていたのだけれど、今回、整理しはじめてから「ひょっとしたら」とおもったら、案の定、数年まえに切れていた。平成時代につくられたもの、といっても、まあほかのそうそうたる面々にくらべればたいしたことはない。

このパン粉、どうするか。パン粉としてつかおうとおもったら、ハンバーグでもつくるしかない(私はめんどうなので揚げ物はしない)。けれど、めったにつくらないハンバーグだから、ふるびる場所が母の台所から私の台所にかわるだけだ。ここは一気につかってしまいたい。パン粉は基本的にパンだ。重さをはかると80グラムぐらいあったから、ちょうど1食分のパンに相当する。ただ、このままたべるのはあんまりだし、ふるいものだからやっぱり加熱調理はしておきたい。だったら、チーズをかけて焼けばグラタンっぽくなるのではないかとおもった。

さっそく昼飯をそれにするとして、グラタン皿にパン粉をしきつめ、シュレッドチーズをちらして、(これは私の冷蔵庫で賞味期限が切れていた)ケチャップの瓶をさらえていろどりにした。ただし、これではグラタンにはならんなとおもったので、牛乳(正確にはスキムミルク)を上からふりかけてオーブントースターでやいた。

やきあがりは、一見、グラタン。うまそうだ。おもいがけずごちそうができたなと、わくわくしてスプーンを立てた。

ただ、残念なことに、パン粉のパン粉たる実力を見くびっていた。とろりとけたチーズ、牛乳がまとめることができたパン粉は一部分で、最後まで粉っぽいのがのこった。まずくはなかったのだけれど、せめて牛乳をコップ1杯分くらいは入れればよかったかなとおもう。

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