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ハーブティーというにはあまりに雑草な

庭に何種類かのハーブがはえている。たねをまいた記憶があるのはひとつだけで、それもほんとうにまいたのかどうか、かなりうすぼんやりとしている。すきなひとはいろいろためすのだろうが、私はそこまでハーブに興味はない。「ハーブ」というのは、西洋由来の香草のことだ。英語では紫蘇や葱はもちろん、うっかりすると菠薐草や菜っ葉までherbの範疇に入れられてしまいそうなので、そのことばはうっかりつかえない。カタカナでハーブといっておけば、ふつうは誤解されないだろう。
ハーブをはじめて自分の畑でそだてたのは、結婚してまもないころ、とおくの知人がたくさんの苗をおくってくれたときだ。タイムが2種、ミントが3種、ほかにもあったようにおもうが、わすれてしまった。荷物のなかでかなりくたびれた苗だったが、うまく活着して、そこから私とハーブのつきあいがはじまった。
ただ、このときのハーブは、ひっこしのときにうつすことができなかった。最後に回収しようとおもってはいたのだけれど、時間切れだったかなんだったかでもちだせなかった。どのみち、ひっこしさきのアパートには畑もなくて、鉢でそだてる準備もできていなかった。ここでいったん、私とハーブの縁は切れた。
いまの家にひっこして、なにもない庭に、実家の母親が小さなローズマリーの鉢をプレゼントしてくれた。それを片すみにうえたのが、いまは生け垣のようにそだっている。

ミントのたねをまいたのは、たぶんそのころだったとおもう。ミントは雑草化するからなるべくすみのほうにまいたのに、気がついたらあちこちにひろがった。ただ、このミントはそこまでつよくないので、はびこってこまるほどではない。毎年いくつかの株が、おもいもかけないところからはえる。

もう1種類のミントは、知人を訪問したときに、庭先にはえていたものをひと枝いただいてきたものだ。コップにさしておいて根がみえてきたところで鉢にうつした。こっちのミントははびこる種類にみえるので、用心して鉢から出さないようにしている。

これら3種のハーブ、ときどきつんできては、お茶にしてのんでいる。やかんを火にかけておいてからつみに出たのでちょうどいい。さっとあらって、お湯をそそぐ。何の芸もない。

ひとりだから、急須もつかわない。茶こしに入れて、お湯をぶっかけるだけだ。

味わいがないとさみしいので、少しだけ、茶葉もいれることがおおい。

こういう雑なハーブティー、雑草のようにはえてくるハーブにふさわしかもしれない。ただ、残念なことに、私以外はだれもよろこんでのまない。雑草は、しょせん雑草でしかないようだ。


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