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パンを焼く その3 - わりとまじめな鍋焼きパンづくり

東京で、いまでいえば在宅ワークの自営業、当時の感覚なら無職の遊び人かプータロー的な生活を5年ほどつづけたあと、私は流浪の身になった。さすがに住所不定というわけではなく地方都市にアパートをかり、のちには田舎家をかりたりもしたが、あちらこちらと、であるいていることのほうがおおかった。旅さきではいろんなものを手づくりしているひとにであうこともあった。そんなときにパンづくりの経験は、話をもりあげるのにやくにたった。けれど、この時期、自分でパンを焼くことはなかった。おちついたくらしではなかったわけだ。
そんな不安定な日々を7、8年もつづけただろうか、私は縁あって結婚し、子どももできた。子どもが小学校にかようことになってしばらくしたころだとおもう、私はふたたび、パンを焼きはじめた。
今回もまた、おもな動機は経済的なものだ。いろいろあった時代をとおりすぎて、私はまたも在宅ワークの自営業におちついていた。妻は勤め先をみつけて仕事にでる。子どもは小学校にいく。昼食はひとりでたべることになるけれど、一人親方の自営業だから、携帯電話やメールの着信が気になってあまり外にでられない。家で一人分の料理をするのはめんどうだ。だったらパンでもかじるかとおもったが、パンはけっしてやすくない。じゃあ、以前のように自分で焼こうか、ということになった。

この時期にはもう、私はブログをかいていた。そのネタにするために、そのころのパンのつくりかたを写真に記録していた。それを掲載したブログはもう閉鎖になっている。だから、ここに写真を再掲する。

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まず、ボウルに小麦粉をいれ、塩をひとさじ、ドライイーストをひとふりいれる。ドライイーストはごくわずかでいい。箱にかいてある分量の3分の1か4分の1でいい。

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水は適当にいれる。計量すべきなんだろうけれど、そもそも粉もはかってないから、感覚でいれていく。すくなければたせばいい。おおすぎたら、粉のほうをたせばどうにかなる。

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箸でぐちゃぐちゃと撹拌する。最初から手をつっこむと、ベトベトになって始末がわるい。ある程度まとまるまでは箸のほうがいい。

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そこそこにまとまったら、手をつっこんでこねる。いまやってる方法とはこのあたりからちがうのだけれど、それは次回にでも説明する。このころには、わりとしっかりとこねていた。

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よくパンづくりの本にかいてある「耳たぶぐらいのかたさ」というやつだろう。けっこうまじめに生地をつくっているのがわかる。

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パンは1食分ずつ焼いていた。小麦粉にして80gぐらいだろう。ただ、写真を見るともうすこしおおいようなので、このときは2食分を焼いたのかもしれない。まとめると、ボウルのそこにおにぎりぐらいに小さくまとまる。

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それが発酵すると、ぷうっとふくらむ。これはなかなかおもしろい。ガスぬきをしてフライパンのうえにのせる。そう、この時期は、なべやきパンではなく、フライパンでパンを焼いていた。

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フライパンにはあらかじめ油をしいておく。生地は、ドーナツのように穴まではあけないけれど、まんなかをくぼませている。これはフライパンで焼くときのくふうで、中心部に火がとおらないのをさけるためだ。

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ふたをしてしばらく二次発酵させると、ふたたびフライパンいっぱいにふくらむ。ここにふたをして、じっくりと弱火で加熱する。

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ちなみに、このふたは、百均のステンレスプレートと鍋のつまみをくみあわせて自作したものだ。いまだに愛用している。

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ホットケーキではないのだけれど、とちゅうでひっくりかえす。そこはやっぱり、オーブンのようにはいかない。どのくらいの時間だったかもうおぼえていないけれど、たぶん、片面10分あまりだったのではないだろうか。

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裏面も焼いたものがこれだ。これで完成。カットしたものの写真は、トップに掲載してある。いまみても、けっこううまそうだ。

こういうパンを、断続的に焼くようになった。2年ぐらいつづけただろうか。そうこうするうち、また生活スタイルもすこし変化し、そして、それにともなうようにして、パンを焼く方法もすこし変化した。次回は、もっとかんたんな方法をかこうとおもう。

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