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アスパラガスはやっぱりうまい

はやいものでもう1ヶ月ちかくまえになるのだけれど、息子の友人が大挙してやってきた。全員はたちをこえているので、当然のように飲み会だ。実はこの面々、息子の保育園時代の同級生たちで、そのなかには小学校時代の同級生もいるにはいるけれど、何人かは私にとって卒園以来という懐かしい顔だった。けれど、たのしくもりあがった。
いえにつれてくるというのを直前に連絡してくるのもどうかとおもうのだけれど、その時点で既に自分用の晩飯の下準備をすませていた。だから、食材もちこみの宴会でこっちで準備することはなにもないというはなしだったけど、それでも晩飯用のおかずはつくってしまわないわけにいかない。ということで、里芋の煮物とアスパラガスを出すことになった。アスパラは、ベーコンと炒めただけのものだ。ベーコン巻きにするほどのサービス精神は、ない。
そのアスパラ炒め、やたらと好評で、あっという間になくなった。なので、冷蔵庫から出して追加でつくったが、そっちもすぐに消えた。
「ベーコンが残るアスパラベーコンなんて、はじめて」
と、たべてる本人がわらいながらいうのだから、よっぽどだったのだろう。
以前かいたように、この時期、実家の菜園でアスパラガスはどんどんとれる。移植した庭のアスパラガスも、それなりに出るようになった。おおすぎてこまるぐらいだが、実際にはこまらない。ほんのわずか加熱するだけでたべられるのだから、料理が苦にならないし、うまいからいくらたべてもあきることがない。いや、そりゃ、いつかはあきるだろう。けれど、あきるまえに旬がおわる。それをしっているから、どんどんたべる。


庭にはえているのは、たまにやってくる生徒にもってかえってもらったりもする。むりにもたせるつもりはないけれど、「もってきますか?」ときいたら、素直におりとっていく。鮮度のおちた輸入もののアスパラガスでは絶対にあじわえないおいしさがあるから、わたすほうも気が楽だ。そういえば、この生徒ももとはといえば保育園で息子の後輩だったりもする。奇妙な縁が、この地元にできつつあるのだなあとおもう。
4月から5月にかけて、新鮮なアスパラガスだけをくわせるレストランがあってもいいんじゃないかと、ときどき夢想する。だって、9月から3月までの期間限定で牡蠣だけをくわせる専門店だってあるぐらいなんだから。もっともうまいものだけを、もっともうまい時期だけ提供する商売が世の中にあってもいいとおもう。そのぐらいの気もちにさせてくれる、この時期のアスパラガス、今夜もたのしみだ。

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