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初物のししとうと謎の香辛料

5月に母の菜園にうえた唐辛子類がはやくも実をつけはじめた。たぶん、甘長唐辛子と獅子唐辛子とパプリカとあと1種類ぐらい、ぜんぶ1株ずつあるとおもう。母はいろいろと変わったものが好きなので、苗を買うときには「あれもこれも」となって種類がふえる。おもしろいのは、ここ数年、いろいろな種類があることに頓着せず、収穫のときにはぜんぶおなじものとしてあつかうことだ。数種類あったことを収穫時にはわすれているからなのだろうが、若いころには重要だった品種ごとのちいさなちがいがもう気にならなくなっているのだろう。この春も、何度いっても絹莢豌豆とスナップ豌豆を区別せずに収穫し、区別せずに料理していた。いや、そこは別物でしょうとおもうのだけれど、もうどうでもいいようだ。なので、この唐辛子類もぜんぶ「ししとう」ということになる。いきおいこっちも、まとめてもらって、ぜんぶ同じ料理につっこむことになる。
いそがしかったのでこの夜は豚肉の炒めものときめていた。ししとうはそこにいいだろう。味つけをどうするかという問題がある。炒めものは多くの場合、母のパントリーから回収したインスタントラーメンのスープを半袋だけつかう。母がインスタントラーメンをよくつくっていたのは15年も前、私の父親がまだ自宅に併設していた工場で仕事をしていたころだ。そのころにつかいのこしたラーメンスープがけっこうたくさんのこっていたのを去年回収して、それを調理につかってきた。だが、そのラーメンスープもようやくつかいきりつつある。ちょうどそのタイミングで、母のパントリーから「ドラゴンペッパー」なる怪しげなスパイスを回収していた。ただ、これは珍しく賞味期限が切れてまだ1年ほどしかたっていない。ということは2年か3年前には入手していたものだろう。

不思議なのは、そのころはコロナ騒ぎのまっさいちゅうで、買い物は基本的に私がやっていた。私が母にたのまれる買い物のレパートリーはごく限定されているので、これがその時期に母のパントリーにやってきたのは別の経路によるものだろう。おそらくだれかの土産物にちがいあるまい。袋をあけてみると、いろいろな粒が混ざっている。どういう配合でどういう味なのか想像がつかない。つかってみるしかなかろう。

ということで、玉ねぎと豚肉とししとうを炒めあわせたうえに小さじ半分ほどをかけてみた。これは辛すぎた。島唐辛子をなめてはいけなかったようだ。島唐辛子は沖縄在来のキダチトウガラシらしく、けっこう辛い。もうちょっと遠慮してつかうべきだったようだ。一汗かいてしまった。

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