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大根葉は、きらいじゃないんだけど

コロナのおかげで、大学生の息子が家にいることになった。この春、私の母、つまり彼の祖母の家にひっこしたのだが、早々に出もどってきた。オンライン授業にきりかわったせいで、登校が週に1回になったからだ。まだ通信環境の整備ができていない祖母宅では、オンライン授業をうけるのがいまひとつおもうようにいかないらしい。
数日前、その息子と晩飯をたべようとして、「大根、あるってゆうてたやんね」と指摘された。焼き鯖だったから、たしかに大根おろしがあればよりうまい。そして、庭の片隅には、冬をこしたひねくれた大根が一本、はえている。そのことはたしかに、息子との話のなかででていたことだ。
あるにはあるのだけれど、おいしいかどうかわからない。それでも庭にでて収穫し、みすぼらしい皮はむいてしまっておろしたら、それなりに焼き魚のおともていどにはなった。億劫がらずに利用できるものは利用すべきなんだとあらためておもった。
さて、大根はおろしたのだけれど、葉っぱがのこった。大根葉は、少々かたいけれど、たべられる。「青菜に塩」という言葉の「青菜」は大根葉のことだ。さっと湯がいてこまかくきざみ、塩をしてたきたての飯にまぜると菜飯になる。だからすてるのはもったいない。もったいないのだけれど、八百屋なんかでは平気ですてている。正直なところ、そこまでうまいものでもないのだ。私もいまよりひろい畑で大根をつくっていたときには、ぬいた大根についた泥を葉っぱでぬぐってすてていた。もったいないけれど、もってかえってもしなびてしまうだけだ。たまにたべれば、「うまいなあ、こういうのをすてるのはもったいないよなあ」とおもうけれど、毎日のようにたべたいものでもない。
大根葉は、とりあえずなら炒めものにするのがてっとりばやい。しらす干しがすこしあればなおいい。胡麻油をしいて先にしらす干しをいれてカリッとさせ、こまかくきざんだ大根葉をいれて加熱する。すこししんなりとしてきたら、味醂と醤油で味をつける。どこまで加熱するかはこのみだろう。私の場合、むかしはすぐに火をとめていたものだけれど、近頃はけっこうながく加熱する。

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焼き鯖につかった大根の葉っぱ、数日のあいだ冷蔵庫でねていたのだけれど、息子が祖母宅にいった夜、炒めものにしてたべた。はえているときにはずいぶんとかさがはって「2、3日分かな」とおもっても、いためたら一人前だった。ちなみに、祖母宅にいったのは、週に1回の実習が対面授業となっているからで、その前日は祖母宅にとまることにした。ここから学校までは、すこしとおすぎるのだ。ただ、実習は午後おそくからはじまるのに、それまではオンライン授業がある。直前の授業を自宅でうけて学校にむかったのでは授業時間にまにあわない。だから、朝から学校にいって学校でオンライン授業をうけるという奇妙なことをやっている。このようすだと、しばらくそういうサイクルがつづくのだろう。

大根は秋から冬にかけてがおいしい野菜だけれど、庭にはだいたい周年ではえている。虫がつきにくいから、菜っ葉用のつもりだ。夏の大根は、からいばかりで辟易する。けれど、葉っぱは、さしてうまくもないけれど、まずくもない。すこしずつならうれしい箸休めにもなる。きざんで塩をすれば、それこそ「青菜に塩」ですぐに漬物になる。鉢にいれてれいぞうこにいれておけば、1週間ぐらいたのしめる。この春にまいた大根も、そろそろ緑の葉をのばしはじめている。

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