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10冊目 「自由研究には向かない殺人」

 皆さん、新たなる年が明けてしまいましたね。本年もできる限り多くの本を紹介できるように頑張っていきたい所存であります。お付き合いいただければ幸いです。
 
 さて、今回はホリー・ジャクソンさんの「自由研究には向かない殺人」を紹介していきたいと思います。
 推理小説なのでネタバレなしで、おすすめポイントだけさらっていきます。

おすすめポイント① 口調が柔らかい

 まずは、なんといっても文体です。

 主人公がお茶目で活発な頭脳派の十七歳女子高生だからこそ、堅い口調ではなく、ポップに書かれています。だからこそ、読みやすいんだと思います。
 僕の場合、大体の探偵役が神妙で堅い語り口だからか、どうしても読んでるうちに辛くなってきます。推理小説が続くのは苦手だなと思っていましたが、口調によって、この苦手が解消されるんだなと、この小説を読んで分かりました。

 また、口調のせいなのか、この作品は児童文学のカーネギー賞候補作になっています。児童文学として見られるような側面も持っているということは、ミステリの場合はかなり特殊なのかなと思いました。

おすすめポイント② すべての謎が解ける

 大体主人公は大人の男で、なぞ解きをし、起こる殺人はおぞましさが前面に出たような描かれ方をする。
 多くのミステリがこの傾向に当てはまると思います。

 その点、この作品では殺人の実際の現場を見るようなことはしませんし、血が飛び散っている現場など出てきません。過去のデータに残るあらゆる情報を使って謎を解いていく。それがこの作品の特徴です。だから、児童文学作品の中でも優れた作品としてノミネートしたんだと思います。

 また、この作品では出てきた証拠だけで、読者が犯人を特定することもできます。そして、一発で推理は当たりません。ある結論まで達してから、別の可能性が見えてくる。それを繰り返して、すべての謎を解き明かしてくれます。だから、読み終わってから、「結局あれはどうだったんだろう」と思い悩むことはありません。動機も犯人の自白のおかげで全て分かります。


おすすめポイント③ ついにこういう形態のも出てきたか…

 この作品を読み進めていくとすぐ分かりますが、書かれている文章や書かれている物は主に三つに分類できます。セリフと主人公のピッパの考えていること、そして、調査資料です。地の文と調査資料の区別を見てみましょう。

 まず、本を手に取ってパラパラめくってください。手元にない人は想像してください。見ると、ところどころ太文字で書かれた文書が出てきたり、途中ではメッセージの吹き出しも出てきます。
 このような手法は前々からありました。僕の記事では「アラサーがVTuberになった話。」で使われていましたね。
 何が驚くべきかって、お堅い小説を中心に出している会社でも、このような形式を使うんだなと思ったことです。


おわりに

 ということで、今回もこんな感じでオススメ本の紹介を終わりたいと思います。
 いつもグダグダですみません。そして、今回は特に短くてすみません。記事を書くリハビリ頑張ります。

 さて、前回の記事から一か月ぐらいの間で十冊ぐらい読んでいたんですが、小説はこの本を含めて五冊読みました。今回の以外で読んだのは次の四冊です。

僕たちは本気の勉強がしたい
とある魔術の禁書目録
株で勝てる俺もカワイイ女子高生には勝てない
方舟

 えー、まず、記事を書かないのは、記事を書きたい欲求がわかないときです。なので、面白いとかそういうのじゃないです。あと、めんどくさいと思ったときも書きません。ということで、気になったタイトルがあれば読んでみてください。簡単に感想をまとめておきますね。

・僕たちは本気の勉強がしたい
 まあ、面白いのではなかろうか。ストーリーは起伏が小さく、ワクワク感はないかも。でも、この先どうなるんだろう、と何度も思います。

・とある魔術の禁書目録
 まあ、面白いと思う。出したっきり全然出てこないキャラがいたりしてモヤモヤは残りますが。まあ、かなり長いシリーズなので、先の物語で登場する人物として出しているのかもしれませんしね。とりあえず、この後も読んでみたいと思います。

・株で勝てる俺もカワイイ女子高生には勝てない
 とりあえず、まあ、こういう設定やストーリーがあってもいいと思います。もっとなんかあれば面白くなるのになと思いました。

・方舟
 ツイッターでバズってたやつです。面白いとは思います。ちょっと時間なくて、「提示された証拠だけで読者が推理できるか問題」を片付けていないので推理小説としての完成度は分かりませんが、上手い作りしているなと思いました。

 ということで、これで今回の記事は終わりなわけですが、次回も遅くとも一か月後までに記事を上げます。
 そういえば、前の記事でも言った通り、今後どこかのタイミングで文芸批評をやりたいと思います。批評というより分析といったほうが正しいかもしれません。作品の良し悪しなんて分かりませんし、面白いと思った作品を分析する方が性に合ってますしね。ということで、いろいろ勉強した結果、イーザーの考えとポストコロニアルの考え方を中心にやってきたいと思います。まあ、それについては本格始動するときに記事としてまとめておきますね。

 ということで、ここまでのお相手はmaziceroでした。次の記事でお会いしましょう。

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