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【今更聞く!】人工呼吸器って何!?②

前回の続きです。

申し遅れましたが、今回の参考文献はこちらです。


前回はざっと歴史を辿って、陰圧式・陽圧式があるということを説明しました。

今回は機械から患者までどういった経路を辿っていくのかと、どのような動作モードがあるのかを見ていきましょう!


このブログでは、こんな感じで僕が気になったことを調べて皆さんに紹介しています。
興味が沸いたら他の記事も覗いてみてください!


回路

回路と聞いて思い浮かべるのは中学時代の理科ですよね。
あの時は回路の中に電気を流しました。

「回路」という言葉には「輪になって循環するもの」という意味があるらしく、人工呼吸器の空気が流れる道も回路と呼ばれています。


ちなみに僕が初めて「回路」という言葉を聞いた時、ホッカイロのカイロだと思いました。
あるあるだと思います。(ですよね?


そして、人工呼吸器の回路の図がこちら

画像1

(テキトーに探していたら調度いい画像を見つけたので、問題があったら言ってください。)

ちょっと分かりづらいかもしれませんが、下から入ってきて、肺を通って上に抜けていっています。

-本体側

まずは左側の人工呼吸器本体の方を見て見ましょう。

本体側

最初に外から酸素と空気が入ってきていることが分かると思います。
患者に空気を届けなくてはいけないので、空気が入ってくることは当たり前ですね。
それに加えて患者の酸素量が足りていない場合は追加で酸素を加えていきます。

肺炎とかで肺機能が低下している場合は多めに酸素を送ってあげます。
一方で、呼吸をする筋力がないだけの場合とかは肺自体に問題は無いので、純粋な空気だけを送っていくわけです。

この調整はガスミキサーで行います。

僕はDTMをやっているので、この感覚はリバーブのミックスを調整している時に似ているなーと感じます(伝わる人にだけ伝われ)。


この時の調整量はFiO2(Fraction of inspiratory Oxgen:吸入中酸素濃度)と呼ばれ、空気のみ、酸素を追加で加えていない状態のFiO2は21%です。

何で21%なのか分かりますかね?

そう。空気中の酸素の割合が21%だからです!


そして、機械で設定された流量・流圧で呼吸器の外へ押し出されていきます。
空気たちの壮大な旅の始まりです。

ちゃんと逆流しないように弁も付いていますね!


-本体の外側

外側

呼吸器を抜けた空気はまず最初に加温加湿器に入っていきます。
ここでは文字通り温度を加えたり、湿度を加えたりするわけなのですが、これは本来人間のある機関で行われています。想像つきますかね?


実は人間の「鼻」が行っている機能です。
鼻は空気を人体に適した温度や湿度に変えてくれています。
たまに口呼吸になってる人がいますが、あれ、結構危ないので気をつけた方がいいですよ。

気管切開で喉から直接空気を送る人の場合、空気が鼻を通らないんですよね。
なので機械で温度やら湿度やらを調整してあげているわけなのです。

加温加湿器用の水にも気を配らなくてはいけないのでちょっと管理が大変そうですね・・・


そんな「人工鼻」を通った空気は人体にやってきて、二酸化炭素に変換されて外に出てきます。

呼吸器に帰る前に通るのがウォータートラップ

吐いた息って結構湿ってるもんじゃないですか。
そんな水滴が機械に入っちゃったら大変!!
なのでその水滴を取り除きます。

平面図だと分かりづらいのですが、ウォータートラップは回路内で最も低い場所にあります。
高いところにあったら意味ないですからね!

ちなみに、機械と同じくらい水滴が入るとやばい所があります。
人間の体内ですね。

なので、機械の近くと人間の近くは水滴が入り込んだりしないかしっかりと回路内をチェックする必要がありますよ!


動作モード

最後に人工呼吸器の様々な動作モードを簡単に解説していきます。



「恐らく何らかの略称であろうアルファベットがいくつも並んでどれがどれやら・・・(*_*)」
となること必至の動作モードたち。

そんな動作モードですが、実は意外と単純。

患者の自発呼吸がないから人工呼吸器が全部呼吸をさせるか、自発呼吸があるからサポートする程度にしておくか、それだけです!
この「患者の自発呼吸具合」がどの程度なのか、段階を踏んでいるから種類が沢山あるんですね。

しかも厄介なことに、会社によって名称が違います!!!

ひえ〜!
やめてくれ〜〜!
せっかく覚えたのに全然役に立たないじゃん〜〜〜!!!

ってなっちゃいますよね・・・

この記事ではある程度メジャーそうな名称を取り扱っていきますが、皆さんが実際に人工呼吸器を目にした時はどのモードがこの記事内のどのモードに対応するのかを調べてみた方が良さそうです・・・


ちなみに、
「人工呼吸器って怖いわぁ。ちょっとでも変なところ触っちゃったら死んじゃうかもしれないんでしょ?」

画像4

と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
家庭用人工呼吸器は簡単に設定いじれません。
それに、ちょっといじっただけでやばい状況になるような人は退院できませんので安心してください。


さて、
先程も「患者の自発呼吸具合」と話しましたが、
患者の自発呼吸の頻度が低い方から順に

ACV→SIMV→PSV→CPAPとなっていきます。

プレゼンテーション1

1個ずつ順番に見ていきましょう!


-ACV

Assist Control Ventilation:補助調整換気

自発呼吸が無い人〜かなり弱い人に対して使われます。

このモードの特徴としては、基本的には機械が全て呼吸をさせてくれますが、患者が自発呼吸をしたと感知するとその弱々しい呼吸をアシストするように換気量を変えてくれるところです。

そのため、全身麻酔から覚醒していない人にも使われます。

皆さんが麻酔ぶっ刺されて気絶している間は、こいつで呼吸させられていたのですね。


-SIMV

Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation:同期式間欠的強制換気

うわあああああ
やめてくれえええええ
それ以上英語と漢字を並べないでくれええええ

と感じさせられるこの名称
天才的ですね。これ考えた人。

間欠的ってのは連続的ではないということです。
途切れ途切れって意味ですね。

で、何と同期しているのかと言うと、患者の呼吸です。


自発呼吸が少なかったり弱かったりする患者に合わせて、数回に1回だけ換気を休むとかして患者の自立を促します。
ダラケてる大学生のママかよ。

患者の自発呼吸がトリガーとなって、その瞬間は休むんですね。
そして、本来呼吸が行われるであろうタイミングで呼吸が行われなかった場合は強制換気が行われるという仕組みです。


その際に、患者の呼吸だけでは換気が不十分だと判断されれば、その自発呼吸にも補助が入るという親切っぷり。
これであなたも安心ですね。


麻酔が切れているとはいえ、まだ覚醒しているとは言えない状態。
そんなときに使用されたりします。


-PSV

Pressure Support Ventilation:圧補助換気

自発呼吸のある人はこちら。
先程のSIMV同様に、患者の呼吸開始をトリガーとして機能します。

患者の呼吸で足りない分をサポートしてあげることで、患者の仕事量を軽減させてあげることが役割となっています。

こう考えてみると、呼吸止まっても対応可能なSIMVモードって凄いですね。


-CPAP

Continuous Positive Airway Pressure:持続気道陽圧

手術も無事終わり、麻酔もかなり抜けてきました。
あなたに付けられた人工呼吸器もそろそろ役割を終えることでしょう。

そんな人工呼吸器抜管直前に使われるモード。

ほぼ自発呼吸のある患者に使われます。


常に空気が送られ続け、気道に軽く圧がかかっている状態にしてくれます。
そうすることで呼吸の負担が軽減されるわけですね。

要するにPEEPをかけながらついでに呼吸の補助も行ってくれているわけです。


ここで謎なのがPEEPという言葉。
こう、当たり前のように謎の略称使ってくるの腹立ちますよね。


PEEP

Positive End Expiratory Pressure:呼気終末陽圧

これは動作モードではなく用語です。ややこしい。

気道に一定の圧をかけ続けて常に少し開いた状態にしておくことです。


何でそんなことするの?
という理由ですが、

皆さん、風船を膨らませることを想像してみてください。

画像6

あれ、最初ってめちゃくちゃキツくないですか?
その割に1度膨らんだらあとはスルスルっとスムーズに膨らんでいく。  

実は閉じているものに空気を入れるのってめっちゃ大変なんですよね。
少しでも隙間が出来ればそこからどんどん空気が入っていくので、それ以降は全然力を入れる必要ないのですが・・・

これと同じことが肺でも起こります。
閉じてる肺を広げるのってかなり力が必要になるのです。
なので、予め少しだけ肺を広げておこうということですね。

呼吸の力が弱まっている人にはありがたい話です。

ただし、高いPEEPをかけすぎると、それって肺にダメージを与えていることになるので注意が必要です。


こんな感じの軽い補助を入れつつ必要あらば呼吸も介助するって如何にも完全回復直前って感じしますよね!


おしまい

というわけで、今回はここまで

患者に対してのケアとかまでは勉強してません!疲れてしまったので!!

気が向いたら続き書きます。
気が向かなかったらもうやりません!



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