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【1094/1096】正しく、よく観る

その昔、境界性パーソナリティー障害(BPD)は、ほかの心理療法がうまく作用しないという症状で、その治療は困難だった。そのBPDに特化した精神療法として、弁証法的行動療法(DBT)を開発したマーシャ・リネハンは、Validationに重きを置いた。
このDBTを学んだときの先生が、Validationは、日本語に訳すと承認、認証、検証、などとなっていて、翻訳にぴったりの言葉がないと言っていた。あえて言えば、「有効化する」というのがましな感じだと。
しかし、とにかくValidationが大事!と、相手の話をValidationするというのを練習した。これがなかなか難しい。
共感して傾聴する、というだけではないからだ。
そうした中で、Validationとは、正しくよく観て、その正しさに裏付けというか、意味を与えるということではないかと思うようになった。

そして、Validationすると、やはりすごく安定する方が多い。
受容する、承認するとは、ちょっと違う。
共感するというだけでもない。

正しくよく観るというと、正しさに反応する人もいるだろうと思う。
絶対の正しさなどないから。
けれども、その人がもっているものが、今現在、有効かどうか? それがどのように有効なのか?を知らせるということは、その人の認識を改めたり、新しい気づきを得たり、起きたことの意味をとらえなおしたりすることができる。
Validationすると、相手が驚いたり、意外に思ったりすることが起きる。
そして、「初めてそう言われた」となることが多い。
そうすると、自分を否定してダメ出しすることが止まる。
それがValidationが産む変化だと思う。
小さな一歩ではあるが、とても大事な一歩なのだ。

だから、出来得る限り、正しく観る、正しく観ようとすることが大事だ。
自分の思い込みや感情に飲み込まれることなく、そのものを観ること。
そのもの、そのありのままを観ること。

表からだけではなく、裏からも。
光のあるほうだけではなく、陰の部分も。
あますところなく、フェアに観る。
自分のことも、相手のことも。

自分がこのnoteを始める頃に、「まっすぐ観る」と表現していたことは、こういう観方を現わしていたのだなと思っている。

では、また。

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Mayumi INABA
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