見出し画像

丁寧な暮らしと今を生きるということ。

私の生まれ故郷は、青森県の日本海側(津軽)の小さな町。
太宰治と吉幾三の生まれ故郷でもあります。
この町に、90歳を過ぎてテレビや雑誌に取り上げられるようになった
笹餅名人の桑田ミサオさんというおばあちゃんがいます。

ミサオさんちは、私の祖母の家の道路を挟んで反対側の先にあり、大正8年生まれの祖母と昭和2年生まれのミサオさんはお友達でした。

小さい頃から祖母の家に遊びに行くと、ミサオさんが作ったお餅などがあり、近所では有名だったと記憶してます。
祖母もお味噌や漬物を作るのが上手で、いつも祖母宅の裏の畑は花や野菜で賑やかでした。
そんな祖母が80代前半であっというまに重度の痴呆になってしまいました。
入った施設が居心地が良かったのか、結果99歳まで大往生しましたが、お味噌の作り方などはヒントすら聞けなかった。
幾ら当時若かったとはいえ、祖母の技術の一端すら学べなかったことに関しては未だ後悔。

ミサオさんが本を出版した時は、台湾にいました。
小さい時から知っている近所の餅名人が、あの年齢になってから脚光を浴びることにとても勇気づけられたし、亡くなった祖母の暮らしぶりと重なって色んな思い出が蘇ってきて、改めて自分の原点を感じた瞬間でもありました。

2年前に会いに行った時、次は笹餅の作り方を習いに来いって言ってもらったけど、それから中々行けなくて、その間にミサオさんも施設に入ってしまい、
あ、また習えなかった
なんて思っていたら
ミサオさんから笹餅作りを習った方が笹餅講座を始めると聞き、キックオフのモニター講座に参加させてもらうことができました。

ミサオさんが笹餅を作り
日々を暮らしていた工房にて
大事なのは"あんばい"
自分の手で感じること


フワッと香る笹。
癒される香りが充満します。


作り方の工程は難しくない。
でもその裏にめちゃくちゃ手間のかかる作業がたくさんある。
その作業をひとつひとつ丁寧にやるか手を抜くかで、出来上がる笹餅は全く別のものになる。

例えば、笹餅に使う笹。
山に笹を取りに行き、丁寧に洗って、形を整え冷凍保存するのだという。
何回洗うか
どう冷凍にするか
解凍はどうするか
笹だけとっても枚挙にいとまがない。

ちょうど工房に発売になったばかりの雑誌があった。

苦労があったから今の自分がある
自分はそう思えているだろうか


そこに書いてある記事を読み、
ふと気づいた。
どうしてミサオさんがフォーカスされるのか。

それはいまの日本人が忘れてしまった

丁寧な暮らし

を、ミサオさんが笹餅を通してみせてくれるからなんじゃないだろうか。

いつも何かに追われ、
周りを気にして体裁を整えて去勢を張って
そうした毎日しか過ごせてない私達
いや、少なくとも私自身
今を生きてると言えるだろうか。

私はいつか、日々の何もない暮らしを楽しみたくて今頑張ってる。
けど、その日が必ず来るとは限らない。
馬鹿みたいに無理して、
自分を自分で追い込んでいたら、
いつかの前に倒れてしまうかもしれない。

だからこうやって時々息を抜く。
脳のアイドリングを一回やめて
何も考えず没頭する時間を作る。
まだまだ出来てないけど、
何かがないと休めないけど、
自ら作っていかなきゃと思う。

会いに行ったときのミサオさん
笹餅飽きたから違うことやりたいって言ってた
休みたいじゃなくて、
違うやりたいことあるんだ(笑)


講座が終わったあとに先生が
お腹空いたよね、乾麺茹でましょって
私はネギとちくわ切りました
みんなで台所仕事って
どうしてこうも楽しいのかしら
管理人の周さんは小学生時代のピアノの先生
でもピアノ教えてもらった記憶は
ほぼないw
いつも他の子達と一緒に歌歌ったり
色んな催ししてくれて楽しかった


伝承なんておこがましいけど、
自分なりに何かを受け継いでいけたらいいな。

#地方文化
#笹餅
#丁寧な暮らし
#mayumico

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?