新知事就任記者会見で垣間見えるか 鹿児島の「今でもない、前でもない」未来
7月12日に鹿児島県知事選の投開票があり、無所属新人の塩田康一氏が新知事として初当選しました。塩田新知事の就任は本日7月28日で、同日に就任記者会見が県庁舎で行われる予定です。意外かもしれませんが、会見を主催するのは県ではなく、鹿児島県政記者クラブ(青潮会)です。
知事定例記者会見について、青潮会はこれまで青潮会加盟社ではないフリーランスなどの記者にあれこれの制限を課してきました。当初はフリーランスの参加は全く認められず、紆余曲折を経て参加が認められるようになっても、挙手や質問を禁止されてきました。
(鹿児島県知事会見のフリーランスの参加や質問に関する経緯がわかる記事を、寺澤有さんがnoteでまとめています.。https://note.com/yuterasawa/n/n69f03f2dfcc5 )
さて、今回の鹿児島県知事選は、戦後最多の7人が立候補した混戦でした。
特に、2期目を目指した自民・公明推薦の現職・三反園訓氏、無所属元職で立憲県連が推した伊藤祐一郎氏と、無所属新人の塩田氏の三つ巴のデッドヒートでした。
組織の後ろ盾のない塩田氏が競り勝ったのは、経産省出身という経験と54歳の若さに加え、「今(現職)でもなく、前(元職)でもない」の選挙中の呼びかけで「新しい鹿児島」をつくってくれるのではという有権者からの期待を集めた結果ともいえます。
塩田氏が、選挙戦での訴えを本気で実行し、一票を投じた「ひとりひとりの」有権者の期待にしっかりと応えるならば、鹿児島県知事定例記者会見が改善される可能性があります。
当選後の南日本新聞インタビューで塩田氏は定例記者会見について「県民に情報発信する重要な場」で「双方向のやりとりを大切にしたい」(2020年7月14日)と述べています。
そして、青潮会幹事社の共同通信社久納宏之氏から昨夜7月27日晩にフリーランスに一括送信で届いた令和2年7月21日付改定の「青潮会主催の記者会見に関する規約」では、質問禁止条項は撤廃されています。
塩田新知事の会見では、鹿児島県で初めてフリーランスにも質問権が認められることになります。
ただ、参加について青潮会が策定した規約を理由に、フリーランスへの参加制限があります。
私は、就任会見に参加する旨の通知を就任会見主催者である青潮会にしましたが、7月26日に幹事社・久納氏から「塩田康一新知事の就任会見について」という書面が届き、参加を断られました。
「庁舎管理の観点からも」「記者会見室への入室はできません」との付言もついています。
同書面に記載された理由は以下のとおり。
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➀記者クラブの規約に法的根拠がないとのご主張の下、規約に従う考えはないとの意思表明をされ、県庁舎や会見場の秩序を維持する信頼関係を構築できなかったこと
②記者クラブ非加盟社の方の参加要件として規約が定める、報道目的での会見参加を証明するための「半年以内に2回の署名記事」を事前に提出いただけなかったこと
私が➀の意思表明をした段階で、いまだ質問禁止条項は存在していました。
青潮会が内部で作成した規約に基づき、県庁での知事記者会見で参加者に取材制限を与えることについて、法的根拠がないということに関するやりとりは、別の機会に書きます。
私は青潮会にはこれまで、上記の参加条件にある署名記事に加え、「記者としての実績が証明できるもの」として、提出記事に対する原稿料収入の源泉徴収票や税務書類も提出し、受理されて鹿児島県知事の会見に参加して来ました。
私が知事会見に行くことが他の目的ではないことを、これまで青潮会は了解してきたということです。
「会社員ではないから身元がわからない」いう要請や「信頼関係」についても、青潮会にも県広報課にも度々足を運び、秩序を乱す目的がないことをご理解いただけるように、出来ることはしてきました。
知事会見参加への交渉当初は、職歴や学歴も質問されてお答えし、卒業証書を見るまで信用できないといわれ原本をお持ちしたこともありました。
今回の幹事社にも同様に、報道目的であることを対面でご挨拶をしてお伝えしました。秩序を乱したり進行の妨げになるようなことはしないことも伝えてあります。
それでも「半年以内に2回の署名記事」を、青潮会が指定する限定的な媒体で発表し続けていなければ、青潮会は「報道目的」がなくなったものとして参加を認めないということです。
県庁という公共空間で、公人の情報発信の場となる記者会見場で、表現の自由にかかわるような規制をする規約を、私人である青潮会が作り公共空間で規制すること自体が問題とされるべきではないでしょうか。
私は、行きます。
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