デート・レイプの実態|「性的同意」とメディアの性情報⑥
顔見知りの相手から、「同意のない性交渉」の被害にあったという女子学生は珍しくない。某高偏差値大学に通う19歳のサユリは、こんな体験を吐露した。
その男性は、避妊具すら着けないままに、サユリの体に接触してきたという。その後、彼を避けるように彼女は日本へ戻った。
同じ大学の女子学生リナは、「映画を見よう」と誘われて男友達の家へ遊びに行ったという。
顔見知りの相手による同意のない性交渉は、「デート・レイプ」の1つである。今回の取材で、少なくない数の女子学生がデート・レイプの被害にあっている事実を目の当たりにし、背筋が寒くなった。
相手の男性たちは「家に来たんだから彼女もそのつもりだろう」と思ったのだろうが、ここに挙げた女性たちは「料理を作ってあげる」「映画を見よう」といった男性側にとっての「口実」を無邪気に信用して、家を訪れている。
なお、内閣府の調査(2018年)によれば、無理やり性交などをされた被害経験のうち、相手が「全く知らない人」であった割合は女性・男性の被害者ともに約1割に過ぎない。ほとんどの被害は、顔見知りの相手から受けている。
しかも、やや古いが科学警察研究所の強姦に関する調査(2000年)では、発生場所で最も多いのは「自宅」で、3割以上を占める。一般に性被害は、「夜道で見知らぬ人から」というイメージが持たれているが、現実は「家の中で知り合いから」というケースが中心なのだ。
これはすなわち、「家で2人きりになる」という行為に深い意味を持たせない被害者と、勘違いして(もしくは意図的に)強引な性行動に及ぶ加害者との間に、デート・レイプが発生しやすい状況を示しているといえよう。
男性向けメディアが手ほどきする「建前はH目的であることを隠して家へ呼べ」という誘い方を鵜呑みにすると、いざとなった時に悲劇を生む可能性があるのだ。女性が家へ来たからといって必ずしも「暗黙の了解」ではないことを、男性は肝に銘じた方がいい。
(カタカナ名は仮名)
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