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遺品整理を受けたきっかけ①


ご縁あって、遺品整理をお受けする事になった。
うだる様な暑さが続く大阪市内。
突然の旅立ちだったのだろう。
部屋の中は、ほんの少し前までTVを見て、お茶を飲んでいたかの様な空気感が漂う。

暮らしている時は、誰かに見られる前提で生活をしていない訳で
部屋を見れば、その人の考え方や生活の癖がよくわかる。

なぜ、整理業者でもないうちに、こんな話が舞い込んだのか。
依頼主には、モノだけでは片付けられない事情があった。

亡くなったのは、30年近く別居していた奥様だった。
仲が悪かったわけではないそうだ。ただ、お互いの価値観を
認め合った結果、別に暮らす事になった。のだそう。

一度も愚痴など言われた事はなかったが、本当のところは
どうだったのか。罵声を浴びせられる覚悟で亡くなった事をご友人に知らせると、皆一様に「ご自慢のご主人様でしたよ」と。
会話の中に登場している自分は絵に描いたような善良な人柄で
本当にそんなふうに思っていたのだろうか。
今となって知る術は、残された生活空間だけ。

室内には、大量の手紙や日記があり、自分で確認するべきだが、
自責の念がこみあげてきて手をつける事ができない。
せめて最後は幸せだったのかが知りたい…。

そこで、紐解きの依頼が入った。
玄関で手を合わせ、扉をあけると、
数々の情報が目に飛び込んでくる。

一緒に暮らした期間は4年ほどだったそうだ。
しかし、4年とは思えないほど、お二人の癖や考え方が
似ている事に気づく。
どちらが影響を及ぼしたのか、もともと同じような性質だったのか。

『夫婦』というのは、よほどの「縁」がないと結ばれないそうだ。
単に好きや愛しているとは、違う深い縁なのだろう。

単純に『モノを整理する』だけではない。想いを扱う。
だから、お引き受けする事にした。
来週末から本格的に着手する。
さて何が見つかり、どう伝えるのか。
来週は、体力勝負だ!!





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