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エッセイ『西光亭のチョコくるみクッキー』

 はじめて西光亭のクッキーを見たとき、かわいい!だけでは済まされないような、なんというか、インパクトがあった。

 たぶん、手描き感あふれるりすの絵から、他の菓子箱にはない独特な人の温もりのようなものを感じたからかもしれないし、絵柄によって微妙に異なるりすたちの表情が、皆それぞれに豊かで生き生きとしていたからかもしれない。カラフルで、ユニークで、愛らしいそれらのりすたちに、気づけばすっかり心奪われていた。

 そんな魅力的なりすの絵が有名な西光亭のクッキーは、自分で食べるのにはもちろん、人にちょっとした気持ちを添えて贈りたいときにとてもいい。箱にはすでにメッセージが書かれてあるので、そのときどきの気持ちに合うものを選んで贈る。同じメッセージでも絵柄がいくつかあるので、そこからまた気持ちにピンとくる絵柄(あるいはりす)を選ぶのもたのしい。

 ちなみにわたし自身も、今まで何度か西光亭のクッキーを人に贈ったことがあるけれど、たいてい受け取った相手は最初に「おっ!」とりすの表情に注目して、それから「可愛いね」とか、「面白いね」とか、おのおの感想を述べて、概ね反応は上々だ。

 無論、素敵なのは外見だけではなく、中身もしかり。

 小箱に入っているのはチョコくるみクッキーで、開けるとなかには粉雪のような粉糖にまぶされたクッキーが四つ、コロンと行儀よく並んでいる。
 
 食べてみれば、砕かれたくるみのザクザクッとした歯ざわりたのしく、でもすぐにホロホロッと口のなかで崩れていく儚さもある。上品な甘さのなかにあるチョコのほろ苦さがくせになり、あと一つ、あと一つ、と、気づけばあっというまにすべて食べ終えてしまうのはわたしだけだろうか。

 そして食べ終わった空き箱は、かわいいから捨てずに取っておく。なので、我が家にはいくつか空き箱がある状態になっているけれど、今のところどれも小物を整理するのに役だってくれている。

 というわけで、西光亭のクッキーを自分なりにつとめてコンパクトに言うならば、
 選んでたのしい。もらってうれしい。食べておいしい。眺めてしあわせ。    
 そんな心躍る素敵なクッキー、なのである。

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ちなみにこの絵は画家の藤岡ちささんによるもの。
大学卒業記念に、当時アルバイト先だった西光亭に一枚のりすの絵を贈ったことがきっかけで、このクッキーのパッケージの絵を描くことになられたそう。素敵なエピソードです。

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西光亭のチョコくるみクッキーから想像した小さなストーリーは
こちらから♪


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