エッセイ『銀座ウエストのリーフパイ』
銀座ウエストのリーフパイの印象をもし尋ねられたならば、「清楚なお菓子」と答えるかもしれない。たとえば、大人の女性がしとやかな振る舞いでもって、ストレートの紅茶なんかと一緒に品良く食べる。そんな光景がこのリーフパイにはよく似合う、―ような気がしてしまう。なぜだろう。リーフパイの箱の包みが美しい光沢感あるクリーム色だからだろうか。あるいは金色の細いリボンできれいに蝶々結びされているからだろうか。ひょっとすると、ウエストの喫茶室を訪れた際に目にする店員さんの身なりの清楚さや所作の丁寧さから、そんな連想をしてしまうところもあるのかもしれない。
サクッとした食感のリーフパイは、その名のとおり木の葉の形をしている。ひとつひとつ微妙に幅が違うのは、職人さんの手作業によって一枚一枚成形されているからだそう。そして驚くべきは、フレッシュバターと小麦粉生地を二五六層におりたたんでいるそうで、なるほど、だからあんなに軽やかでサックリした仕上がりになるのか、と妙に納得と感動が押し寄せてくる。
パイの表面には白ザラメ糖がたっぷりまぶされてあるので、はじめて目にしたときには結構甘いのかな、と身構えてしまったけれど、食べてみればそれは想像していたよりもずっと甘さ控えめだった。それにパイにありがちな油っぽさもない。リーフパイを持った指先はべたっとせずに快適なままだった。
原材料を見ると、バター・小麦粉・砂糖・卵、となんともシンプル。添加物も加えず、上質な材料で作られているパイはサクッとした優しい味わい。ゆえに銀座ウエストのリーフパイは、大人も子供も問わず、おいしくいただけるお菓子なのだと思う。
とはいえ先にも述べたように、自分のイメージとしては大人が品良く食べるお菓子というイメージがなぜか頭にあるため、食べるときにはなるべくガツガツかじりつくのではなく、清楚な感じでいただこうと努めている(あくまでなるべく)。ストレートの紅茶をあわせ、サクッと軽やかな音を響かせながらリーフパイを食べる時間は、そこがどんなシチュエーションであれ、とても優雅なお茶時間になるような気がするからだ。
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銀座ウエストのリーフパイから想像した
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