エッセイ『巴裡 小川軒のレイズン・ウィッチ』
レイズン・ウィッチというお菓子をはじめて食べたとき、ちょっと苦手だな、と感じたのは、今思えば、自分がまだ子供だったからかもしれない。そのときは洋酒の香りがきつく感じられて、本来ならばおいしく感じるはずのふくよかなレーズンさえもなんだか苦手に感じてしまい、それ以降、レイズン・ウィッチは自分のなかで特に関心のない、遠いところにあるお菓子になってしまった。
なので長らく自分から率先してレイズン・ウィッチに手を伸ばすことはなかったのだけれど、大人になったある日、誰かのお土産か何