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おいしいものから生まれる小さなストーリー

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「おいしいもの」から想像した小さなストーリー(小説)&エッセイ集です。
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#エッセイ

おいしいものから生まれる小さなストーリー(小説&エッセイ)

『おいしいものから生まれる小さなストーリー』は、実際にあるお菓子等を物語の種として、そこ…

エッセイ『豊島屋の鳩サブレ―』

 鎌倉市民でも神奈川県民でもない自分だけれど、鳩サブレ―にはなぜだか子どものころから親し…

エッセイ『ユーハイムのバウムクーヘン』

 いまでこそ、いろんなメーカーのバウムクーヘンを知るようになったけれど、子供のころから馴…

エッセイ『資生堂パーラーの花椿ビスケット』

 花椿ビスケットの美しい缶を見ると、胸がときめく。  それは子どもの頃、祖母の鏡台にあっ…

エッセイ『船橋屋のくず餅』

 はじめてくず餅を食べたとき、不思議な食べ物だなあと思った。  乳白色のこんにゃくみたい…

エッセイ『銀座ウエストのリーフパイ』

 銀座ウエストのリーフパイの印象をもし尋ねられたならば、「清楚なお菓子」と答えるかもしれ…

エッセイ『巴裡 小川軒のレイズン・ウィッチ』

 レイズン・ウィッチというお菓子をはじめて食べたとき、ちょっと苦手だな、と感じたのは、今思えば、自分がまだ子供だったからかもしれない。そのときは洋酒の香りがきつく感じられて、本来ならばおいしく感じるはずのふくよかなレーズンさえもなんだか苦手に感じてしまい、それ以降、レイズン・ウィッチは自分のなかで特に関心のない、遠いところにあるお菓子になってしまった。  なので長らく自分から率先してレイズン・ウィッチに手を伸ばすことはなかったのだけれど、大人になったある日、誰かのお土産か何

エッセイ『銀座木村家のジャムパン・あんぱん』

 いつだったかジャムパンを買おうと銀座木村家に立ち寄ったとき、そこには当然いちごのジャム…

エッセイ『Daisyのケーキドーナツ』

 子供の頃のドーナツといえば油で揚げたちょっと小さめのドーナツで、そのドーナツには粉砂糖…

エッセイ『西光亭のチョコくるみクッキー』

 はじめて西光亭のクッキーを見たとき、かわいい!だけでは済まされないような、なんというか…

エッセイ『成城石井のコーヒーゼリー』

 成城石井のコーヒーゼリーを知ったとき、驚いたのはその原材料のシンプルさだった。コーヒー…

エッセイ『とらやの羊羹』

 ときどき無性に餡子が食べたくなる。  小豆特有の、濃くも穏やかなあの甘さを、口いっぱい…

エッセイ『モロゾフのデンマーククリームチーズケーキ』

 チーズケーキが好きである。  子供の頃、生クリームや甘ったるいものが食べられなかったわ…

エッセイ『ヨックモックのシガール』

 異動の季節になると、箱入りのお菓子を胸に抱え、挨拶まわりをする人が次から次へとやってくる。  以前、勤めていた職場は部署人数が多く、気がつくとデスクのうえにはお菓子がいっぱい、という状態になることがこの時期よくあった。そのとき、何を持ってまわるのかはわりとセンスが問われるところで、ときたま個装されていない当日賞味期限のお菓子を持ってきた人が、「忙しくて、いま食べていられないよ」とひんしゅくを買っている姿を目撃したこともあった(ひどい反応だけれど)。  そうしたなかでヨッ