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おいしいものから生まれる小さなストーリー

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「おいしいもの」から想像した小さなストーリー(小説)&エッセイ集です。
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これまでの『おいしいもの』一覧

これまで投稿した「おいしいもの」(小説、エッセイ)を以下に一覧にしてまとめました。(全12…

短編小説&エッセイ集:おいしいものから生まれる小さなストーリー(全文)

『おいしいものから生まれる小さなストーリー』は、実際にあるお菓子等を物語の種として、そこ…

小説『羊羹と犬と梅の花』

おいしいものから生まれる小さなストーリー〈番外編〉をお届けします☺ 以前投稿した『羊羹と…

エッセイ『資生堂パーラーの花椿ビスケット』

花椿ビスケットの美しい缶を見ると、胸がときめく。 それは子どもの頃、祖母の鏡台にあった薄…

小説『思い出はビスケット缶のなかに』

***** 銀座の街を父とふたりで歩いている。 秋晴れの空の下、よそ行きのスーツで決めた…

エッセイ『船橋屋のくず餅』

はじめてくず餅を食べたとき、不思議な食べ物だなあと思った。 乳白色のこんにゃくみたいな見…

小説『あの夏の恋』

***** あの夏、榊くんはしょっちゅう我が家を訪れては、兄と二人でゲームに興じていた。就職活動を終え、時間を持て余した大学四年生の彼らは、当時高校生だった私にはかなり大人に見えたけれど、でも、ゲームに夢中になっている姿はまるで無邪気な小学生のようにもみえた。 私はゲームにこそ参加しなかったけれど、榊くんが来たときだけは兄の部屋に行って、画面のなかでせわしなく動く小さなキャラクターたちを一緒になって目で追った。 そしてその視線はときどき、気づかれないよう、そっと榊くんに

エッセイ『銀座ウエストのリーフパイ』

銀座ウエストのリーフパイの印象をもし尋ねられたならば、「清楚なお菓子」と答えるかもしれな…

小説『しあわせな音』

****** 鳥のさえずりが聞こえてくる。 丸めた毛布のうえでまどろんでいたマロンは顔を…

エッセイ『巴裡 小川軒のレイズン・ウィッチ』

レイズン・ウィッチというお菓子をはじめて食べたとき、ちょっと苦手だな、と感じたのは、今思…

小説『贈り物』

****** カシくんの漢字は「樫」くんだけれど、私のなかでカシくんの漢字は「菓子」くん…

エッセイ『銀座木村家のジャムパン・あんぱん』

いつだったかジャムパンを買おうと銀座木村家に立ち寄ったとき、そこには当然いちごのジャムパ…

小説『ジャムパン同盟』

****** 「ねえママってば聞いてよ」 とスズが言うと、 「ほんと、あの子たちってばね」…

エッセイ『Daisyのケーキドーナツ』

子供の頃のドーナツといえば油で揚げたちょっと小さめのドーナツで、そのドーナツには粉砂糖がたっぷりまぶされてあって、生地はぎゅっと詰まっていて、食べるとちょっと、喉に詰まるような感じがあった。 そんなドーナツに合う飲み物の定番は牛乳で、たぶん、ドーナツの甘さや油分、そして粉っぽさを、牛乳のまろやかさがほどよく中和してくれていたのだと思う。 Daisyのケーキドーナツは、そんな昔懐かしい記憶を呼び起こしてくれるドーナツだ。 パンを買うために立ち寄ったデパ地下でたまたま売られ