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2日続けて道ゆく人に親切にしてもらえた話

普段の生活の中で、ありがたいことに、
家族や友人、仕事仲間、知り合いに親切にしてもらうことはよくある。
本当に日々、助けてもらってばかりで感謝しかない。

でも、この2日間、なぜかたまたま続けて、
全く知らないただの通りすがりの人に助けてもらった。
些細な出来事ではあるのだけど、
なんだか今のご時世、通りすがりの人に関する悲しい事件をニュースで見たり、
人同士の距離感が開いていく中…、

こんな親切な人がいるなんて…世の中まだまだ捨てたもんじゃない…😭なんてありがたい世の中🙏🙏と、
思わず拝んでしまった。


それは、昨日の暑い暑い昼間、1回目の親切に出くわした。

午前中、用事を済ませるため、私は朝から往復40分かけてとある駅まで自転車を走らせた。

更に午後、別の用事があり、同じ駅までまた自転車を走らせる。
今度は、後ろの席に娘を座らせて。

我ながら、1日2回も同じ場所まで自転車で、
トータル1時間20分猛暑の中をよく走ったなと思う。

道端の木に止まったセミが激しく泣くので、
落ちてくるんじゃないかとヒヤヒヤしながら
こいでいた。

私はあの、予測のつかないセミの飛び方と羽音と、
ぶつかった時のあの音が苦手だ。

娘もセミが大の苦手で、
セミがいる木の近くを通るたびに、
『ぎゃーっ!!』とセミより大声で叫んで、後ろから
私の背中にしがみつくので、たまったもんじゃない。


そんな私達親子は、その日の用事を無事に終え、
駅から自宅に向かって最後の復路を走り出した途端、
ガッチャン!!と激しい音を立てて
自転車のチェーンが外れてしまった…!


こいでもこいでも、スッカンスッカンで全く進みそうにない感覚。
きっと自転車に乗ったことがある人なら一度やニ度は体験があるはず。

絶対無理とわかっているのに、そのまま何とかこいで進んでやろうと、変な闘争心がわくのはなぜだろう。


さすがにコレはむりと判断し、娘を下ろして
チェーンをいじってみる…。


ダメだ、なんか複雑なチェーンで全然直し方わからん…と途方にくれ、
自転車を担いで、歩いて帰るのか?とか、
せっかくバス代ケチって頑張ったのに、結局自転車だけ置いてバスで帰宅…?辛い…

と頭の中で瞬時に色々考えて、
『近くに自転車屋さんがあったらなぁ…😭』と娘に話していたら、

会社勤め風な、
同い年かちょっと上くらいの制服姿の男性が
チラチラ私達を気にしながら横を通り過ぎて行った。

しばらくして、私が真剣にチェーンと睨めっこしている所へ戻ってきてくれて

『お手伝いしましょうか??』と声をかけてくれた。

声のかけ方がジェントルマンすぎて、惚れる…😭
しかも、一旦通り過ぎたのにまた戻ってきてくれた。

たぶんお昼休憩から会社に戻る途中だっただろう雰囲気を醸し出していた。

その人はすぐさましゃがみこんで、
指が真っ黒になりながらも、チャチャっとチェーンを上手いこと器用にかけて、
ペダルをクルクルって前後に回して、
瞬殺で直してくれた。

『すみません、指が真っ黒になってしまって…』と私が言ったら、

『全然、こんなのお構いなく』と爽やかに笑った。

私が娘と『すごーい!』と感動しながらペダルをクルクル回して、もう一度お礼を言おうと顔を上げたら、

もうその男性は颯爽と歩いて去ってしまっていた。

その時の私には、彼がタキシード仮面みたいに見えた。


あー、ありがたいー。

人通りがあんまりない脇道だったのに…


彼が、あの時間、あの場所を通って、
更に戻ってきて声をかけてくれなかったら、
きっと私は、自転車のタイヤを持ち上げながら、
歩いて帰っていたことだろう…。
(いや、自転車は置いてバスか…)

あの日あの時、あの場所で君に会えなかったら…

とゆう東京ラブストーリーの歌詞が思わず浮かんできたのは言うまでもない。

彼は、今はこの街でサラリーマンをしているけど、
きっと実家は、しがない町の自転車屋で、小さな頃からお父さんの自転車修理の手伝いをしながら大きくなったに違いないと、ぼんやり考えてみた。

そんな得意の妄想をしながら、

なんて素敵な優しい人なんだ…泣。と感激する私に、
娘は、『お母さんなんか泣きそうになってない?』と、
若干隣でひいている。

帰って旦那さんに話したら、
『いやいや、チェーンぐらい自分で直せるやろ…笑』と、これまたドン引きされた。


確かに、それも一理ある。と納得もしてる自分もいた。



そんなタキシード仮面の優しさに感動した翌日。

私はまた同じ方面に向かって自転車をこいでいた。
(どんだけ)

日焼けするかなと思って、アームカバーを用意していたのだけど、
思ったより曇っていて涼しかったので、
腕につけずに、後ろのカゴに乗せて走っていた。

用事が迫っていたので、結構急いでこいでいた🚲

しばらく一心不乱に爆走していたら、


『すみませーん!!』

と、いきなり後ろから呼び止められた。

え?なに?怖い!!←  と思って振り向くと、


『自転車のスタンドに何かひっかかってますよ!!』と、その声の主が教えてくれた。



↑(再現VTR…笑笑)


どうやら、カゴに乗せていたアームカバーが、
スピードに耐えきれず
勢いよく飛んで、スタンドに引っ掛かっていたらしい。
(奇跡)


声をかけてくれたのは、高校生ぐらいの男の子で、

『たぶんもう一個、後ろのバス停辺りで落とされてました!早く教えなきゃと思って、急いで追いかけたので、もう一個は拾えなくてすみません。』

と、ハァハァ言いながら、ずいぶん通り過ぎた後ろのバス停付近を指差して教えてくれた。


え……またタキシード仮面降臨…😭?笑  
そしてまた、惚れる私。

何の物体が引っかかってるかもわからないのに、
必死の形相で自転車こいでるおばちゃんを
追いかけてまで、教えてくれて、
しかももう一つを拾えなかったことを謝ってくれるなんて…。


私は昨日からの流れに、なんだかとても気持ちがあたたかくなって、また泣きそうになった。


こんなふうに、一見スルーしても大ごとにならないような些細なことを助けてもらったり、
声かけてもらえることが、
こんなに嬉しいことだったなんて。

チェーンの件も、たとえその場で直せなくても何とか解決できていただろうし、アームカバーを無くしたところで、
また買えば良かったのかもしれない。

でも、私は2日続けて、
見ず知らずの人からの親切をもらって、
すぐに自転車のチェーンが直って、全く困らずに娘と帰宅できたし、
アームカバーをなくさずに済んだ。

親切にしてもらえたからこその小さなギフト。

私は、最近、こんなふうに道ゆく誰かを気にかけていたかな。

きっと、気づいていながらスルーしてしまったこと、
たくさんあったかもしれない。


『自分で解決できることは自分で。』
『自己責任。』

そんな言葉が溢れている今の時代。

人との距離(ディスタンス)をとらなくてはいけない、
ギスギスした緊張感のある雰囲気の今のご時世。

怖い事件がたくさんあって、
知らない人とは喋らない、関わらない方がいいと
子どもに伝えざるを得ない今。


もちろんそれが必要な場面もあるのかもしれない。

でも、ほんの些細な困りごとをきっかけに、
知らない人とほんの一瞬、親切とありがとうを交換した2日間の出来事。
なんだかすごく大切なことを教えてもらえた気がする。

大きな社会の流れを1人で変えることは難しい。

でも、少し困った人を助けてあげられるような、
声をかけられるような、そんな自分でいたい。


秋が来るまでまだまだ活躍してくれそうなアームカバーをつけて、無事に直った自転車を今日もまたこぐ。

またどこかで素敵なタキシード仮面と
出逢えないかと変な期待をしながら♡笑


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