旧姓併記を利用しよう

【仕事上旧姓を使う方へ】

はじめに

弁護士や裁判官の場合、所定の機関に届け出をすれば職務上旧姓を使用することができます。一般企業にお勤めの方やフリーランスの方も旧姓使用をしている方は相当数いると思われます。

結婚をする前に一定のキャリアを積んできた人は旧姓を使用したいという思いがあるでしょう。特に、判決や研究論文を書いてきた方などは、新姓にすることによって、見かけ上キャリアが断絶してしまうので、そういう要請は多いと思います。最近、政府もそういう要請に対して、新旧両姓併記を様々な場面で認めるという形で柔軟に対応してきています。

そもそも夫婦別姓を認めるべきではないか、という議論はここでは措いておき、私が経験した不便とその対策をご紹介します。これから姓を変更される方、旧姓使用をされている方には、よりスムーズに手続を乗り切っていただきたいと思います。

運転免許証

私の場合、婚姻した時がちょうど免許の更新時期と重なっていました。ラッキーと思って、新姓で更新し、新しい免許証を義母に見せて喜んでもらいました。よかったと思ったのもつかの間、婚姻から数年は、証券口座の名義など気づかないところで様々なものが旧姓になっているんですよね。その配当の受け取りなど様々な手続で、新姓だけの運転免許証では対応できないんです。ですので、常に戸籍謄本と住民票を持ち歩くようになりました。

運転免許証の場合、2019年12月から、旧姓併記が可能になっています。それ以降、新たに姓が変更した方は変更手続と同時に併記手続をとることによって旧姓併記にすることができます。それだけでなく、従前に姓を変更した人であっても、更新するかに関わらず、併記手続をとれば住所変更のような形で併記がされます(再発行でない場合は手数料は無料だそうです)。仕事上旧姓を使用される方もそうでない方も、ぜひこの併記をすることをお勧めします。

印鑑登録カード(マイナンバーカード)

印鑑登録証明書を発行してもらうときには、印鑑登録カードが必要となります。このカードについても、併記手続をとっておくと、新旧両姓を併記した印鑑登録証明書を取得できます。これは、2019年11月に施行された住民基本台帳法施行令等の一部を改正する政令によって可能になったものです。これから姓を変更される方は、その変更の手続を行う際に、併記手続も行っておくと、手続が1度で済みます。

この併記手続が可能になる前に結婚等された方は、改めて併記手続を別途行う必要があり、そのためには戸籍謄本などが必要になりますのでご注意ください。

マイナンバーカードでも、この併記手続は可能です。

なお、パスポートでも一定の条件のもと併記は可能なのですが、旧姓をカッコ内に記載する形式が海外の出入国管理で誤解を招き、トラブルにもなっているという話を聞きます。その形式が改められるまでは併記は控えた方が無難かと思います。

まとめ

旧姓使用をしている方、それを予定している方は、運転免許証、印鑑登録カード、マイナンバーカードの旧姓併記手続をとると便利です。事前に併記手続を知っておけば、改姓の際に手続を一度にまとめて行うことができます。

私の場合、この併記手続ができていなかったがために、役所に合計3度足を運んだことがありました。その際の腹の立ちようといったら。皆様にはぜひ軽やかにスムーズに事を運んでいただきたいと思います。ご参考になりましたら幸いです。


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