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無力な私


インドネシア人は、とても社交的で感じがいい人が多い。
同僚の話によると、小さいころから
「他人と目が合ったら笑顔で挨拶する」
ということを学校でも教えられているそうだ。

日本から来たばかりの頃は
会社の同僚だけでなく、
ショッピングモールのトイレの掃除係の女の子もとびっきりの笑顔で挨拶してくれるので、初めはびっくりして、ドキドキした。

でも実際に仕事をしてみると、
・お願いした仕事はすごく感じよく引き受けてくれるけど、期日までに上がってこないとか(たぶんお願いしたときに、できませんと言えなかった)、
・期日が迫っていても取引先に強く言えなくて、スケジュール遅れ
など「いい人=仕事ができる人」ではないことも多々あるとわかってきた。

来て半年くらいまでは「これが、日本だったら…」と比較して、
思った以上に進まない仕事にイライラしたり、不安になったり、本当にびっくりするくらい血圧が上がった。(もとから高いのに…)
日本で同じような状況になったときは、自分で仕事を引き取って無理やり進めたりしたけど、ここでは偉そうにしていても、インドネシア語もできない私には何一つ自分でできることがない。


初めての地方出張

そんな中、突然地方に出張に行くことになった。
ローカル社員3人と私。
早朝4時半、初めていくガンビル駅で待ち合わせ。
約束の時間から15分経ってもやってこず、真っ暗闇の中、本当に不安だった。
結局はみんな、朝ご飯を買ってて遅刻した、ということだったけど、なかなか肝が冷えた。

そして特急列車に乗って3時間。


バンドンに到着し、早々に仕事を済ませ、学生時代をバンドンで過ごしたローカル社員は、すぐさまお気に入りのお店でランチをしたい!だの、美味しいチョコレートケーキを買って帰りたい!だのすっかり観光モードになっていろいろ案内してくれた。
とっても楽しかったけど、仕事は私って一緒に行っても行かなくても大して変わらないなあって感じで、特に役に立ってないよね?
と自分の無力さを再確認した出来事だった。


自分の無力さを実感したからこそ、変化した気持ち

でも、そんな自分の無力さを思い知る毎日を送っていたからこそ、
当たり前の仕事なんて無いんだと思えてきた。

多少のスケジュールが遅れても、お願いしたことが形になる。
トラブルがあっても、何とか乗り越えてきちんと納品される。
全てローカル社員のみんなが一つ一つ交渉し、解決し仕事を形にしてくれるんだと感謝の気持ちが湧くようになった。

日本にいたときの

「できて当然。なんでできないの?」という考え方から
「実現できたのはローカル社員のおかげ。私ができないことをやってくれてありがとう」

という気持ちに変わってきた。


本当に毎日、日本じゃ考えられないいろいろなトラブルが起こるけど、今はローカル社員のみんなと一緒にサバイバルゲームをしている気分で乗り切ろうって思っている。


今日は何が起こるかな?どうやって攻略できるかな?
それぞれの持ち味を生かしながら、一緒に楽しめるチームになるように頑張っている。

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