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愛用のトートバッグ


多分10年以上愛用していたトートバッグの取手が取れた。昔祖母の家にいたメリーによく似た黒猫の柄で、だから気に入ってきたのに。
ドアノブにかけてたら、何かの拍子に足に引っかかりとれてしまったのだ。
なぜ足に引っかかったのかもわからないが、とにかくあり得ないことに右の小指に引っかかって千切れたのだ。

「あーあ、壊れちゃった‥」と心の中で思った。無事なほうな取手には、前の会社で元カレがふざけて取り付けた商材のバンドが括り付けてあって、何年も何年もそれをつけっぱなしにしていたのだ。別れてからも。
外すと縁も思い出も切れてしまうと思ったのか。

そこまで考え、気に入って何年も使っていたトートバッグが壊れてしまったのに、「あーあ」としか思わない自分に驚き、同時にすごく疲れているんだということを認識した。
お気に入りのトートバッグが壊れたこと、それについて悲しむことができないくらいに。

その日は早く寝た。
翌朝もトートバッグは取手が取れたままだったが、私は少しだけどうしようか悩んで、結局安全ピンで取っ手を修繕した。まぁ、軽いものなら入れてまた使えるだろう。


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